長い夜。①
活動報告にも書きましたが、118話の背後の母は〜が抜けてました。
先ほど挿入致しました。
申しわけありません。
「はっ、アラン様。実はかくかくしかじか。」
「私たちからも、お知らせしますわ。」
メアリアンさんと、エリーフラワーさんも説明だ。
「あい、わかった。リードのところへ行ってくる。」
早いな、オイ。
「レイカさんもおいで。」
「え?」
「新婚なんだもの。二人っきりにさせてあげなよ。」
「ほほほ。そうね。
とりあえずどっちのお部屋に住むのかしらって、
ーーーー!二人とも寮だわね!
あら、一週間ぐらいホテル暮らしをなさいよ。
ネモさんとこは取り込み中だから、他の所で。」
いきなりホテルの手配を頼むエリーフラワー様。
それは、良い、それは良いけど、
それなら私が修羅場に付き合う必要がない。
ステイホームと行きたいものだ。
「いえ、私も行きますわ。」
メアリアンさん?!
「馬鹿王子にキッチリ言い渡さないと。
彼のお姉さまが、ピピナ様が訴えて来てますの。」
アラン様が優しげな目で見た。
「そうかい、そうしなさい。
さて、父上に手紙を。鳥に頼むか。」
「拙者が参りもうす。」
「そりゃ、ありがたいけどね。ここを守って欲しいんだ。
リード達が帰るまで王子達を、キューちゃんとね。」
キュー。
キューちゃんが子供たちの横にたった。
その姿は守護神のようだった。
「今度、キューちゃんにアイツらを焼いてもらおうか。その方がいいかもな。」
物騒な事を呟くアラン様だった。
うーん、何故私も。留守番したいよう。
あら、メアリアンさんが私の手を握って離さない。
ちょっと震えてる。
やはり心細くて怖いんだな。
そりゃそうだよね。ピンポイントで狙われてるんだもん。
でもさ、握るなら兄の手では?
「レイカ、お兄ちゃんはいざという時、剣を振るわなければならないから。頼むね。」
アンちゃんが手を打って笑ってる。
「まったく真面目なんだから。」
「あ。兄上おいでになったんですか。」
ここはネモさんのホテルのロビーだ。キラキラと金髪がライトに照らされてリード様が立っていた。
もう、夕暮れだ。
「さっきオマエんちに寄ったよ。エドワードとキューちゃんが子供達を見てるよ。大きくなったな。」
「可愛いでしょう。」
リード様が笑った。
「ああ、きっとウチの子も可愛いぞ。」
「お生まれになるのは三月ですか、才女殿が一月か、同じ学年ですね。」
ほほう。王子様たちもそんなお話をするのだな。
そのうち教育について語りそうだ。
ちゃらららん♪早期教育の精霊が出そうだぞ。
「アラン様。」
ネモさんだ。走ってきてる。
「今どうなってるんだ。婦女子はヴィヴィアンナさんが連れて行ったんだろう?」
婦女子を腐女子と脳内変換してしまう私だよ。
「兄上。そちらは問題ないです。ヴィーとローリナさんがひとりひとりに寄り添ってます。」
「王子と後の2人ですけどね、そこのコテージに入れてます。」
指さす先には白熊が守ってるコテージがある。
「バラけさせなかったのか?」
「ええ、アラン様。それにアレから出たら捕食されるよ、とは言っております。」
「出たことにして、捕食させれば?」
アンちゃんはサラリと言う。
「ふん。オマエ達が侵入者か。」
「あんたは誰だ。」
「ご挨拶だな。お美しい我が弟は知ってても、王太子の私を知らんのか。」
「アラン様?アラン様ですか!」
「ほう。マスター殿はおわかりになるのだな。」
「ガルダイン様。腹をくくりましょう。
グランディ王国の王太子様と第二王子様。そしてネモ公。断罪に来たのですね。
それで、その黒い服にベールを被ってるのが占い師様ですね。」
こわばった顔をするメガネ男こと、セディだ。
「それに、あなたは黒い悪魔か?もしかして?」
「おや、マスター。俺のことまで知ってるなんて
情報通だなあ。」
「じゃあ、ギガントを滅ぼした立役者か。
ミズーリの首を取った。」
ガルダイン王子の声が低くなる。
「あら、有名人じゃないか。アンタもギガントを滅ぼしたかったんだろ?お姉さんがひでぇ目にあったんだってな。」
「何故、それを!」
「私は死者の声を聞く者。未来は見通せない。
ピピナ様が来ている。貴方の背後にはお母様もいる。」
「な、何を言うんだ、出鱈目を!」
「…本当なのですか?本当にピピナ様が?」
「ええ、セティさん。貴方にもお姉さまがついているわ。レティさんね。あのトルフに殺されている。」
「何ですって!」
「トルフが鳥に粛正されたからとても喜んでいるわ。遺体は貴方の国の渓谷に投げ捨てられた。」
「探しても見つからなかったわけだ…。
もうこの世にいなかったのか。」
「貴方はお姉さんを探すのに王子と行動を共にしていたのね。」
「ええ。馬賊に連れ去られたと。似た女性が一緒に行動してるという目撃情報がありましたから。」
「…本当なのか?占い師殿。」
「トルフが。レティさんからネックレスを取り上げた。
それをあの5人のひとり、薄い黄色の髪の娘に渡した。
形見のネックレスは家紋が付いている。
渡された彼女は死者から剥ぎ取ったものと知って嫌がったけど、付けてないと同じ目に合わせると脅かされた。まったくゲス野郎ね。」
「ヤー・シチ。」
「は、リード様。」
「ヴィーのところへ行って回収してこい。」
「はっ。」
くらり。
メアリアンさんがふらついた。
「大丈夫?つかまって!疲れてるのよ。」
「ありがとう、レイカさん。」
「そちらの、女性は?」
シュツ!
アンちゃんがガルダイン王子の首根っこを掴んだ。
「な、なにを?」
「彼女は王妃様の側近だ。それに伯爵夫人だ。
色目を使うんじゃねえ。」
「い、色目など。」
「そうだなあ!キミは自分が美しいから、全ての女性から惚れられると思っていたんだものなあ!」
リード様がゴリゴリと彼の傷をえぐっていく。
「リード様。貴方やアラン様や、それに、ヴィヴィアンナ様!!をしょっちゅう見てるのに。
私も目が肥えてますよ。」
あっ。しまった。疲れてるから口から出ちゃった。
「あははははは!」
アラン様大笑いだ。
「そうか、ヴィーが1番かあ。悔しくはないぞ。悔しくは。」
「まア仕方ないわね。」
「私もあの方をお姉様と呼んでますの。
それからこちらのレイカさんは私の義理の妹ですから。
夫の妹ですもの。失礼な事を言うと、」
メアリアンさんの首からツッチーが外れて飛びついた。
「うわあっ、やめてくれっ!」
「占い師様。その傷は。」
マスターのピーターさんが痛ましげな声をあげた。
「…ギガントが滅びた時この国まで逃げのびました。その時の、傷です。」
「あなたも苦労したんだな。」
「ガルダイン王子。あんたはこのメアリアン嬢をただの平民の小娘と侮っていたんだろう。
平民1人くらいさらっても構わないと。
まず、このアンディ・ハイバルク伯爵の縁戚だ。
奥方の義理の姉なんだからね。
それにね、もうアンタを始末するから言うけどさ、
彼女はギガントの貴族の娘なのさ。
うちのエラ妃の遠い親戚になるんだよ。どっちにしろ国際問題だったな。」
「アラン様!」
慌てるアンちゃん。
…始末って言った?
「構いませんわよ。アンディ様。こういう輩は権力に弱いんですから。それに。」
首の傷に手を当ててつぶやく。
「傷がある女なんて、とないがしろにされるのが目に見えてました。ーー誰がおまえなどと。」
そこに、ヤー・シチが来た。
「ペンダントを回収いたしました。」
「!
ーーーこれは!あああああ、レティ姉のだっ!
畜生っ!!」
形見のペンダントは白い狐の形をしていた。
ちゃらららん、早期教育の精霊。毎日かあさんの
アニメに出てました。すごいインパクトでした。
長い夜は松山千春さん。
友達がファンで「足寄にて」の写真集を見せてくれました。