何か大切なのか。何が真実なのか。
「そこで、ビッキー嬢は真っ赤になった。
ガルダインは惚けた顔をしてね、
そこへまた、リード様が叩き込むんだよ。
何故、会ったこともない占い師と結婚しようと思ったんだ?
だいたい無理矢理連れてきて、はい。っていうと言うと思ったのかい?
あ、そうか、ご自分の美貌に自信があるんだったね。
そこで、あいつ、塩を振られた菜っ葉みたいに萎れちゃってさ。くくく。
本当に君を愛してるのは誰なのか考えたことがあるのかい。
兄弟を見返す?女性は道具じゃないんだよ。
それにね、あの占い師は死者の声を聞くものだよ。
残された者たちが亡くなった家族と繋いでもらって、心の安寧を得てるんだ。
未来の預言者ではないのさ。
君がやったことは、思いこみでこのブルーウォーターに攻めて来たんだ。わかってるのか。ときつくおっしゃってね。」
うわあ。
「そこへネモさんが。
ブルーウォーター公国は独立が認められてるとはいえ、グランディ王国の中にある。
そこへ、第七王子が独断で武力で押し入ってきた。
砂漠の国デイーロンがグランディ王国とブルーウォーターへの宣戦布告したと捉えることになる。と
きつく言ったわけ。
するとさ、あのバカが。
そんな!大袈裟な!たった女ひとりさらおうとしただけじゃないか!ってね。」
そこでエリーフラワー様がため息をつく。
「思ったよりぐちゃぐちゃね。
この先の展開として、フェミニストのネモさんが大激怒。アンタんとこもギカントみたいに虫に襲わせてやろうかあ!文字通り草も一本も生えない砂漠にしてやろうかあ!!って言ったんじゃない?」
「それで忠臣の2人が頭を下げて、
我らの首で怒りをお納めくださいでござるー!ではないでごわすか?」
アンちゃんがふうっと肩をすくめてお手上げのポーズをする。
アラン様もやってたな。うつったのか。
「まアその展開もあったけどネ。
まずは、いきなりビッキーちゃんが馬鹿王子に張り手をかましたのさ。
バシン、とね。
いーい、音がしたわよオ。
馬鹿っ!貴方はお姉さんがギカント王にさらわれるように側妃にされた時、誓ったんでしょ!
お姉さんみたいな人を出さないように強くなる、
王が亡くなったから戻って自分が王になって、いい国にするんだって!
言ったじゃないっ!!ってさー。
いやあ、甘酸っぱかったねえ。」
アンちゃん。裏声で身をくねらせながらビッキーちゃんになりきっての再現だ。
ちょっとキモイかも。
「その純真な少年が姑息なヤツになったわけね。
女を道具にするような。」
「ビッキーちゃんは彼の最後の良心でござるな。」
「そこにピーターのおっさんがさ、
ビッキーちゃん。
今の彼はあのクソ野郎、トラフの奴が女性たちに酷いことをするのを見てみぬふりだった。
女性を大切にしなくなってるのじゃよ。
いや、女性だけではないな。馬賊の仲間も結果切り捨てていた。
キミだけは何とか守っていたようじゃがな。
って。」
「で。それから、どうなったの?」
アンちゃんが薄く笑って私の額をつついた。
「あ、痛。何よ。」
「レイカちゃんの大好きなヴィヴィアンナ様の登場ですよ。」
あら♡
「彼女はずっと様子を伺っていたのさ。リード様の合図で静かに現れた。
ホワイトタイガーに守られてね。(きいっ、悔しい)
女神のように威厳と荘厳な輝きに満ちていた。
こんにちは。お嬢様たち。
私はヴィヴィアンナ。ここの宰相のリードの妻ですわ。
ってね。女性達に微笑みかけた。
彼女は空気を変えるよね。動物達も落ち着いて殺気もヨダレもひっこむし。
五人娘たちとビッキーは見惚れてね、顔が真っ赤になったよ。
皆さま方。お辛い目にあったのではございませんか?
ここには貴女がたを苦しめるものはおりませんよ、
ネモさんは貴女たちをただ、助けたかったのですよ、と。」
「目に浮かぶわあ。うう。」
「レイカちゃん、貴女までうっとりする事ないでしょ。やけるわね。」
「それでアンディ様。そのままヴィヴィアンナ様は女性たちを連れてご退出に?」
「そう、メアリアンさん。察しがいいわね。
そこにローリアさんも来たよ。
私はネモの妻です。前の夫には監禁されて繋がれて、酷い目にあいましたの。
少しはお気持ちがわかると思います。
さあ、一緒にいらして。
2人で連れていった。暖かいお湯に入りましょうね、怪我はありますか?お医者に見せますか?って言いながら。
女性たちは緊張がほぐれたのか、わあわあ泣いていてね。」
今日はホテルの奥の部屋に泊まらせるのだという。
「オー・ギンとオ・ツナとか、クノイチが呼ばれてた。世話兼見張りだよ。」
「残りの男どもはどうなるのでござるか?」
さあな。と言ってアンちゃんは黙りこんだ。
「馬鹿王子は処分されるのでは?」
「かもしれませんね。今、リード様とネモ様が話しあってるんです。私は抜けて来ました。
あのツートップが決める事ですから。」
エラーフラワー様がニヤリと笑った。
「アラン様なら処分するわね。」
「ええ、ダン!ダン!ダン!とやって、ころ、ころりですね。」
コロリころがる、木の根っこ?
「じゃ、レイカちゃん、今までのことをアラン様に報告に行ってくるわ。」
「うん、行ってらっしゃい。」
「私がどうしたんだ?」
「アラン様?」
「王都への直行ルートを使ってみたのさ。いいね、
早く来れて。
ーーええと?結婚おめでとう、お2人さん。」
「ありがとうございます!」
それからアラン様は難しい顔をした。
「エドワードの説明は聞いた。詳しい話を教えてくれないか。
今朝王都を出たばっかの義妹のメアリアンが、何に巻き込まれたのか。」