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背後の母はかく語りき。

※ここのお話が抜けてました。申し訳ございません。

ここには軽食と飲み物も用意されてる。

極力外に出ないで済むね。


ランド兄は外にいる。ドアの前で見張りだ。


「メアリアンさん、貴女は砂漠の民から何を見たの?」


ソファーに深く沈みこみ重いため息をつく、

メアリアンさん。

そして、紅茶を飲みながら、

ガルダイン王子には亡くなった母君がついてましたの、と話を切り出した。

「まず、鳥に連れさられた小太りな男。あれは王子の伯父です。


第7王子ガルダインは、第二妃の子で、その兄ですね。トルフといいます。


デイーロンは一夫多妻ですから。

トルフは女グセが悪くとても酷いことをしていました。

同行していた5人の女の人たちにも。

と言うか、女性がいないと旅先の酒場とか絡んで狼藉をはたらくので。同行を余儀なくされていた、が

正しいです。

彼には、べっとりと色んなものが憑いてました。

その、ダークな瘴気。アンディ様の3倍はあります。

良く今まで生きていられたこと。」


アンちゃんをそんな例に出さないでよっ。


「シンディさんなら、タメを張れます。」


あら、そう。


「女性に無体を?まさか、その小さな子にも?」

エリーフラワー様の目が見開く。


「いいえ。あの子は王子のお気に入りという事で難を逃れています。それに男の子にしか見えないからトルフのお好みから離れています。」


そこでメアリアナさんは息をついた。

「彼に憑いていた王子の母親から色々聞かされました。そのトルフのことも。

王子が花嫁探しの旅に出ていることも。

ーー占い師に目をつけたことを。」


あの親父が鳥に運ばれてみんな嬉しそうだったものな。



エリーフラワー様がお茶のおかわりを入れてくれる。

ミネルヴァちゃんと王子様達は、猫ちゃんにあやし、あやされて寝ちゃたよ。可愛いな。

大きなクッションに寝かせる。

猫ちゃん達お疲れ様さまにゃ。


「砂漠の民の花嫁探しの旅は有名ね。

結婚前に一度は必ず外に出されるのよ。

でもそれは形だけになったと聞いたのに。」


そりゃそうだ。

「他所の国から攫って嫁にしたら怒りますよ。国際問題ですよ。」


「ええ、レイカさん。本当は多すぎる王子を減らす為だったと聞いているの。

旅に出ても命を落としたり、他国に住み着いてそこの娘と結婚したり。

さっきエリーフラワー様が形だけ、と言ったのは、

もう最近は結婚が決まってる王子と婚約者が国外旅行して帰って来て結婚、てのが殆どなんですよ。」


「詳しいですね。それも、あちらの背後霊となったお母さまから?お聞きになったんですか?」


「いいえ。これは父の側妃で、ガルダインのお姉さまから聞きました。ピピナ様というんですけど。

ガルダインは少年だった頃から良く彼女のところへ来てました。

まだ私がギカントの人間だった頃のお話ですよ。」


「砂漠を越えて?」

「ええ、砂漠とマナカ国を越えて。」

「え、すごい。十代だったんでしょ?」


目をふせて話をつづけるメアリアナさん。

「マナカ国の視察団に混ぜてもらってたみたいで。同腹の姉弟は2人だけだったそうなんです。

彼女が流行の病で亡くなったとき、血の涙を流していました。」


メアリアンさんはゆっくりと息をはいた。

 

「私は。ミドリナ母さんが私に冷たい、とずっと思っていて。優しくしてくれるオババ様や後宮に子供の頃は入り浸ってました。」


「そこで、あの王子を見かけたのね。」


「その、背後霊お母様によると、ピピナさんが亡くなったら、家を飛び出して馬賊になっていたそうです。」


何故だ。

はいからさんの鬼○か。


それに、背後霊お母様。

自分で言ったけど凄いワードだわ。


「凄く行動的だったんですね。」

エリーフラワー様が眉をしかめて、

「それでしばらくは好き勝手に暮らしてたけど、王位が欲しくなったと言うわけね。

最近あの国の王が亡くなって混乱してるとは、聞いてるの。

珍しい占い師を連れて行って、まず、みんなの度肝を抜き、

彼女のチカラで未来を見通す。

今、残ってる砂漠の国の王子は何人だったかしら。」


「三人です。」

「それなら、勝てると思っても可笑しくないわね。

「良くあるお伽話みたいに、1番優れた妻をつれて来たものが後継とか?そうなんですか?」


「平和な時代はそうだったようですよ。

でも今回は、即バトル!でしょう。」


メアリアンさんは頭をかかえる。

「私は未来なんか見通せないのに。せいぜい、生まれてくる子供の魂がわかるだけ。

リーリエさんの映像は特別なんですよ。

いきなりひらめいて。

過去だって、憑いてる人が語りかけてくるからなのに。」


「その最低野郎はなんでついてきたの。

トルフって言ったっけ?」

「王が亡くなって後ろだてが無くなったから、甥っ子の王子様にすがって離れなかったんだって。

あの5人の女の人も彼が連れてきたの。

一応、護衛という口実でね。

…その辺でトルフは打ち捨てるつもりだったようですけど。」


「あのヒョロメガネは?」

「王子の親友です。馬賊時代から一緒。

マスターは本当に剣の師匠みたいですね。」


「あの目力が強いちびっ子乙女は?」

「ガルダイン王子が拾ったようですよ、

砂漠で倒れていたんですって。

それからベッタリと懐いて。彼が心許せるのはこの三人とか。

後の馬賊連中はやはり寄せ集めなので切り捨てて構わなかったと。

時々女の人たちに、ちょっかいかけていたようですし。」



そこへ、エドワード様が帰ってきた。


「ただいまでござる。ちゃんと受理されましたぞ!」


早いな。2時間くらいかな?


キュー。


キューちゃんも得意げだ、超特急だったね。



後ろからランド兄さんも顔を出した。


「良かったああああ!」

半泣きだよ。

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