生まれてくる命。何を語ろう。
「さて、ミミさん。」
メアリアンさんはミミ様に向きなおった。
ミミさんは涙に濡れている。
信じてたことが崩れていったのだ。
まったく気の毒だ。王様もめちゃくちゃばっさりだよな。
やはりリード様の親だな。あの方と似通ったところがある。
無意識のうちに人を追い詰めるところが。
まあリード様は女癖は悪くないな。そこは良し。マザコン過ぎるけど。
「な、なんでしょうか。占い師様。」
「今ね、メリダが消えた時。貴女への物すごい執着心が流れ込んできたわよ。
アイツは10代の頃から貴女が好きでたまらなかった。
何度も貴女と結婚したいと言って却下されている。貴女の親御さんに。貴女が遠くへ嫁がれたから、メリダも結婚したけど。
貴女が未亡人になって戻ってきた。そこから再燃してる。
奥さんを始末したのも。嫡子を産ませるつもりだったのね。男の子がいなかったから。
貴女の王家の血が濃い息子に跡を継がせたかった。
または、娘を王太子妃にしたかった。
後妻でも正妻。その子は正妃になれる。」
リーリエさんの顔は真っ白で震えている。
「だけど結局貴女にお子様はできなかった。
それではリーリエさんを王妃にするしかない。
後はリーリエさんの教育係だったのよね、
御実家の御両親が亡くなったときも外へ出してもらえなかった。」
「占い師殿。ではこの女を見逃せと?」
「アラン様。彼女は王に執着心はありましたけど、
だからと言って何もしてはいません。止めてもいませんけどね。
彼女が毒を仕込んだわけでもないし、
ハニトラの指南をした訳でもない。
こんな事言っては何ですけども、もう、お子様を持てる年でもないですからね。血筋を利用も出来ないでしょ。」
どこかで静かに余生を暮らさせてはいかがですか?
と続けた。
あっ、ネモさんが見てる。
また可哀想な中年女性に弱い病が出たかしら。
「彼女はそれで良いとしてだな、この毒婦はどうするか?」
うわあ、王様。毒婦扱いかい。
「そうねえ、レイカどう思う?」
「えええええ!王妃様?何故私に?」
王様は面白い物を見る顔になってる。
アラン様は目と口を見開いた。
アンちゃんは私の前にたった。
「大丈夫よ、レイカさん。貴女が失言して無礼打ちになったら連れて逃げてあげるからね!」
矢切の渡しのようなセリフを吐くアンちゃん。
無礼打ち覚悟かーい。
「あの。王妃様。ひとつの意見としてお聞き下さいね。」
「もちろんよ、レイカ。」
「まずご出産なさるとして。それまでの世話はミミさんに頼みましょう。
まあ、彼女だって経産婦ではないですし、料理や洗濯をした事はないでしょうから、大変だと思います。
安定期になったらリーリエさん自身も家事を。
…ここまではいいですか?
嫌だと言ったら即、コレでしょ、首コロリ。」
リーリエさんは何か言いたそうだったけど、私が首のところで手を何度かスライドさせたら黙った。
「ほほほ。イボコ○リじゃないんだから。」
王妃様。実はそのツッコミ、内心待ってました。
「もちろん、最初は料理や洗濯の指導を二週間程つけます。
ちなみに二週間は新人の引き継ぎとしては長いです。一週間のところもありますからね。
そこで文句を言ったり逃げだしたら、ハイ、コロリ。」
「レイカ。貴婦人にそれはキツイわね。ほほほ。」
「もちろん、妊婦さんですから急な腹痛、出血、その時は助けを呼べるようなところに。
あとは、産んでもらうことが目的ですからね。一応お産の専門書は置いておきましょう。」
王様があれ、という顔になった。
「緩やかな粛清をするつもりじゃないの?産ませるの?」
「お子様に罪はありませんよ。生まれてくる場所は選べません。」
アンちゃんが真顔になった。
「以前も言ってたね。レイカさんの世界ではそう言う考えなのか。」
「親がいなくったって、立派に育つでしょ。アンディさんみたいに。」
アンちゃんが真っ赤になって顔を覆う。
「ま、まあ。デモ、私には、ヤー・シチもいたし。
そうね、ふふ。」
王様は笑った。
「あの狂犬が、すっかり手のひらの上だの。」
「ほほほ。その通りね、レイカ。」
「私も立派に育ちましたよ。」
白鬼の声に無言になる一同。
…シラケ鳥が飛んでいった。
しーらけどーりーとーんでいく、東のそーらへ、
みじめ、みじめ。
伊東四郎さんと小松政夫さん。
電線マンも懐かしいです。