懐かしい。おもいこんだら。
実家からの許可は速攻出た。
王太子さまの肝入りの縁談に文句なんかあるわけがない。
一応、アンちゃんと2人で行った。
「先日はどうも。」
「あの、ラブリーチャーミーなお庭番の方??」
「やあねー、イケメンだなんて、照れてしまいますよっ。」
アンちゃん、キャラがブレブレだ。オネエなのか、
違うのか、ボケなのか、天然か。
「一応今度子爵となります。アンディ・ハイバルクです。」
「あら。」
「まあ、浮いた子爵籍を頂いたんですけどね。」
実は次の日。アラン様経由で王妃様にバレたので速攻呼び出された。
「まあまあ。ほほほ。」
王妃様恋バナ好きだもんなあ。目が輝いてる。
「そうだわ、アンディ。子爵になりなさいよ。空いてるじゃない。」
「セバスチャンのおさがりでしょ。」
「元々はレイカのでしょ。子爵夫婦がオーナーのレストランだと箔と格がつくわよ。
私たちも行きやすいし、」
それに、レイカの親御さんも安心するでしょ。と。
「うーーん、まあ、それなら。」
「元々は没落してなくなったローバルク家。
験が悪いから、ハイバルクって改名ね。」
「と、王妃様自らの改名でして。」
「王妃さまが。」
と言うわけでトントン拍子に進んだ。
レストラン兼新居ができるまではどうせ別居なので、入籍はその頃だ。
ヴィヴィアンナ様もエリーフラワー様も喜んでくれた。
こじんまりとした式はあげるつもりだというと、ドレスは贈ると言って下さった。ありがたい。
「何かお祝いに欲しいものがあるかしら。」
王妃様に尋ねられた。
アラン様もうなづいている。リード様もだ。
「あのエメラルドでもいいのよ!王家の宝石、三点セットよ。」
「そんな大層なものいただけませんよ。」
「せっかくのアン・レイの結婚式だもの。大盤振る舞いよっ!
つけたら人目を引くこと請け合いよ!」
暗部の結婚式が目立っていいのか。
それに、アン・レイって。
ひっくり返したらレイ・アン(霊安)じゃないか。
「いえ、王妃様。あのヤロウの家の因縁のあるものはちょっと。
お嬢が付けているのを知ったら、
やはり、私を待っていたのですね!と勘違いすること間違いなしです。」
「それもそうね。アレは明後日の考え方をするものね。」
「お言葉に甘えてひとつお願いがございます。」
「何かしら?」
「これから先なんですが、私に王子様のどちらかの派閥には入れ、とは言わないでくださいませ。」
「それは!」
「アンディさんが、アラン様の側近なのは揺るがない。でも、私はヴィヴィアンナ様やエリーフラワー様とも仲良くやっていきたい。
何しろ、私が、」
そこで息を整えて王妃さまを見る。
「1番お仕えしたいのは王妃様ですから。」
「ま、まああっ!レイカ!」
王妃様はティアラを投げ捨てて、抱きついてこられた。
デジャヴ。
そして2人で、おもいこんだらで始まる、ジャイアントなスターなテーマソングを泣きながら歌いあげた。
どんと、いけ。
「良くわからない歌だけど、ジーンときます!
ははうえー!」
リード様はもらい泣きだ。
「…オマエの未来の妻は頭が回るな。アンディ。」
「はい、アラン様。」