お誕生日には美味しいランチとプレゼントを。
今日は6月の20日なんである。
ミネルヴァちゃんのお誕生日だ。
ふたちゅ、だね。
(第二子は年明けのご出産らしいよ。)
猫カフェを貸切にしてお祝いしようかな、と思ったけど、リード様と王妃様がご自分達の別荘でやりましょうと。
御招待して下さるそうだ。
「ネモがね、ミネルヴァちゃんにフクロウをプレゼントするというの。」
こっそり王妃様から知らさせた。
それじゃ猫カフェでは無理だなあ。
フクロウといえばエリーフラワー様の代名詞。
王妃様が名付け親になってミネルヴァちゃんと、名をつけたのだ。
ウチの両親も、ではお祝いまでして帰ろうかと参加。
アンちゃんがまだ帰って来ないから気をつかってるんだね。
それで前々日に聞いた。
「差し入れは何がいいですか?ハンバーグ?コロッケ?唐揚げ?エビフライ?ポテトサラダ?」
子供が好きそうなものを聞いた。
ちなみにケーキはカレーヌ様が差し入れるって。
「レイカ、出来ればお子様ランチがいいわ。旗はとりあえず可愛い動物の絵をネモに描いてもらいましょ。」
ネモさん、絵が上手だものね。
「わかりました。えーと、リード様のお子様と三人分用意しますね。」
「それでねえ?」
王妃様がモジモジしてる。
「以前言ってた、巣鴨で食べた、おばさまランチを再現してくれない?大人の分は。」
ごめんねえ、大変なのはわかってるけど。食べて見たいのよ。
と、王妃様のリクエスト。
まあ、ワンプレートランチですからね、
作って盛り合わせて運べばいいですからね。
「わかりました。旗も乗せるのでその分追加で頼んでくださいね。」
ありがとう!と王妃様は喜んだ。
サーモンのマリネ。ミニグラタン(ホタテとエビ入り)。エビチリ2個。白和え。魚の照り焼き。煮物炊き合わせ。唐揚げひとつ。そしてミニ茶碗蒸し。
コレが大人のランチだ。型抜きした白ごはんにゴマ塩をふって、旗を立てた。
お子様ランチはチキンライス(旗つき)、ポテトサラダ、唐揚げ、ミニハンバーグ、ポテトフライ、エビマヨネーズあえ。ミニトマトときゅうり。
忍びの若い子が手伝ってくれたから助かったよ。
お節の重箱に詰めるのを思いだす。
紙カップに詰めて並べる。
余った分は皆んなで食べてね。
お子様ランチと大人のランチは大好評。
ネモさんのデザインの旗も可愛いわ。
キューちゃんなのよ。
「これ、この公国の国旗にします。」
良いと思います。
「あら?レイカ、ひとつ多いわよ?大人の御膳。予備?」
「あれ、ホントだ。」
王妃様が、はっ!とした顔で口を手で覆う。
「…アンディの分ね!陰膳ね!無事を祈ってるのね。なんていじらしい。
もう一週間も帰ってこないんですものね。
わかったわ!アランにきっつく、言ってやるわよ!
ええ!」
「ええと、やめて下さい?本当に無意識なんですよ。
それに陰膳というとなんか縁起悪くないですか?」
「あーん、レイカ、健気だわー!
何やってんのかしら、あのトンチンカン。」
おお、懐かしいわ。トンチンカン。
わからんちんも、とっためちん、
とんちんか○ちん、一休さん?
「何がトンチンカンなんですか…。だいたい今日帰るって手紙書いたでしょ。」
「アンディ!」
「アンちゃん!」
「はっ、王妃様、レイカさん、ただいま戻りました。」
「手紙?来てないんだけど?」
「え!あの野郎!」
「多分、シンディだな。詳しく聞くと不愉快になると思うから、今は説明ナシで。
とりあえずここはお祝いの席だ。
無事で良かったな、アンディ。」
「リード様。ありがとうございます。
ミネルヴァちゃん、おめでとう。コレ、お祝いだよ。」
「あら砂時計だわ。」
「きれーい!」
「今、王都で流行ってます。割らないでね。
こうやってひっくり返すとピッタリと、カップ麺ができる時間なんだよ。
三分間待つのだよ、だ。
ミネルヴァちゃん仕様として、フクロウのマークをつけてもらったよ、ほら。」
…すぐ美味しい、すごく美味しい…
「王都で流行ってるの?
つまり騎士達が今それを持つということは、
携行食としてカップ麺を使用してるのね。
あさ○山荘事件みたいに。」
「あ○ま山荘事件が何かわかりませんけども、色々騎士団もお庭番も大変だったのは、確かです。
携行食持参で残党を狩りました。外で食べるときに砂時計が重宝しました。」
アンちゃんは苦笑した。
「ありがとうごだいましゅ。これから大きくなたら、
いぱい、だーめんを食べましゅね。つかうね。」
「あっらー♡ええ、沢山カップ麺食べてね。」
可愛らしいミネルヴァちゃんの言葉にみんな目尻を下がる。
でも、インスタントはほどほどにね。
後日談。これはレイカも知らない話である。
この砂時計は98年後。
才女ミネルヴァ様の愛用品として、生誕100年記念で博物館に展示される事になる。
同時に国宝に指定された。
この砂時計の用途については謎であるが、
彼女の勉強の友だったとは伝えられているのだ。
彼女の伝記を書いた研究者は約3分だけ仮眠するための目安だったと推測する。
また、他の研究者はティータイムの時間を測るものだったのではと言う。
また、ある研究者はじっと見つめて瞑想していたのだと仮説を立てた。
真実は闇の中である。




