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手当たり次第も楽しいもので 5

この物語はフィクションであり、実際の(中略)関係ありません。

しかしながらマインクラフトはお勧めしておきます、まる

呼吸を整える。

浅く吸って深く吐く。

体が酸素を求め出すギリギリまで息を絞り・・・一瞬に<吐き出す>!

一気にレッドゾーンにぶち込まれた肺の欲求が、意思に関係なく適量を取り入れる。

しかして万全となった呼吸と、それを以て最適化された身体を引き絞り、巨躯が疾走した。

その巨躯・・・ジオが向かう先には、不敵な笑みを浮かべる男が一人。

小柄な体に特別仕様の外見、最近槍を使っていたせいで忘れられがちだが、格闘家である彼、レザードが迫り来る肉の壁を迎え撃つ。


「ぬははは、チネー」

やけにいい笑顔でレザードに覆いかぶさろうとするジオの顎に向かって、レザードの拳が飛ぶ。


「お前がチネぃ」

足から腰、腰から肩、肩から肘を通して拳へと伝達される、静止跳躍8m超えの破壊力。


<拳技:直突き 決定成功>


放たれた攻撃は、必殺の威力をジオの顎先にねじ込もうとし、


<柔技:交叉法 決定成功>


顎から首筋、肩へとしなるジオの柔軟な体に巻き込まれるように、飲み込まれた。

そしてそのまま、踏み込みの勢いで後方に投げ飛ばされるレザード。


「おおー、飛んだ飛んだ・・・・なんだったんだレザードの不敵な笑みは」

先ほどジオとスパーリングして文字通り腕を引っこ抜かれたメリウがお気楽にギャラリーと化している。


「見た目は逆なのにレザードが剛でジオが柔なのが今日の突込みどころかね?」

携帯食料を頬張りつつ、確かに、な評を出すシオン。


「柔良く剛を制し、剛良く柔を断つ。 今回は柔に軍配ってとこかねー」

キリキリと錐揉み飛行をした末に辛うじて受身を取り着地するレザードを眺めつつ、格闘技能も取ろうー、と心に誓うメリウ。


「さて、着地硬直を取られておしまい・・・!?」

うずくまった姿勢で自身を投げたジオを見上げるレザードの顔には、やはり不敵な笑み。

対するジオは、放った投げのモーションのまま、その場に固まっている。


「どうしたんだろ・・・おーい坊さんー・・・」

メリウ視点ではジオの背中しか見えず、仕方なく彼の顔が見える場所まで移動し・・・・。


一目でわかる事実があった。

ジオは、絶命していた。




「いやー、酷いネこの称号。 素手ダメージも倍だわ」

上機嫌に両手をワキワキさせるレザード。

暇つぶしスパーリング、武器なんか捨ててかかって来い! 終了後の感想会である。

ってか貴様、実はそのこと知ってたな・・・?

何だあの満面の笑顔は。


「しかも壊れないしなぁ・・・最悪素手でやれってことだろうねぇ」

本気で技能取らないとなぁ、と、メリウ。


「いやはや、カウンターが決まったときは正直勝った気でいたんですがねー」

受け流しきれなかったダメージ、つまりは称号で追加された分の攻撃で即死するハメとなったジオが苦笑い。

つまりはカウンター失敗していたら即死二回分が叩き込まれた計算になるわけで。


「あっれ、んじゃレザードがムキムキになったらどうなるの?」

いつの間にかそれなりに素手喧嘩出来るシオンが、どうでもよさそうに呟く。


「えーっと、早くて痛くて躱す小さい人がやってくる、槍と爆発物かいくぐっても、素手で」

あっれ、何その迷惑な人。


「いや、でも実際問題はそう大したもんでもないよ。 直通しで人が死ぬって程度だったら普通に魔法とかで止まっちゃうしね」

素手限定戦ゆえの結果だねぇー、と、お気楽にレザードが締めくくる。


現在時刻09:00。

休日昼間の暇な面々が、暇なことをやっていた、という一場面であった。




襲撃イベントは引き続き行われている。

現在第2フェーズ、防衛、題してシムぼくらのまち。

またはマイ○クラフト。 マイン○ラフト面白いよマインクラフ○、と感染拡大を狙ってみんとす。

いきなり次話、異世界に飛ばされたんだが ~マ○ンクラフト時々匠~ とかでも許される気がしてきた。(という妄想)


閑話休題。

要は延々と攻められて街中に侵入されるのが嫌なので壁つくろうぜー、という建築フェイズである。

しかしながらそれをのんびり待ってくれる魔物(鬼畜運営)でもなく、建築班と討伐班に別れざるをえないわけだが・・・。


「建築班、メリウです。 人がいません。 ヘルプ」

絶望に呟いてみても、哀しいかな制作系スキル持ちが、少ない。

いないわけではない、無いのだが・・・


三人って何だおいぃ。


一人は侍ギルドでの顔見知り、剣より魔法寄りの侍さん。

もう一人は、辻ヒール友の会で何度か癒し組をしていたオネェさん。


「・・・どうしましょうかねぇ・・・ひとまず自分、空飛べるんで資材搬入とかしますよ・・・あとは広く浅く木材加工とか金属加工とか化学加工とか料理とか出来ます・・・・スキル1とかですががが」

ひとまず出来ることからコツコツと。

一瞬グロイ物を町の周囲に撒けば勝ちじゃね? とか思ったけど妄想でしたごめんなさい。

そんな町、焼くわ自分。


「あ、ボクは金属加工系行けますんで資材加工とか出来ると思います」

侍さんも挙手、うむ、釘や外板なんかを鉄で作れるじゃないですか、素晴らしい。


「私は・・・一応焼き物とか土関係の加工ができるんですけど・・・」

いいじゃないですか、レンガとか行けそうですね素晴らしい。


「じゃ、なんとか回してみましょうか。 手の開いてる顔見知りを見かけたら、そうですねー、町の入口にじゃんじゃん資材拾って山作らせておいてもらってくださいな。 順次適所に配達します」


「「了解」」


さぁ、働こうか!




顔についている穴という穴から青い体液をまき散らしてリザードマンチーフが膝を付いた。

彼の顎は下方向からの膝蹴りで微塵に砕かれ、もはや生きていたとしても好物の人間を噛み砕くことも出来まい。


「案外素手と手裏剣で何とかなってしまっている件について」

息を荒らげながらレザードが笑む。

討伐組は人数が多いが、地味に敵の数も多くもはや乱戦状態になっていた。

仲間とはぐれて久しいが、周囲での剣戟や打撃音、悲鳴などはひっきりなしに続いている。


目の前には今まさに倒したリザードマンの部隊長死骸。

その傍らには、彼が使用していた魔法の物品であろう槍。

レザードは無言でそれに手を伸ばす。

きっと頑張ったご褒美。

ひゅぅ!


「頼むぜ新しい相棒っ」


<魔法の槍+2 サードフット二代目を手に入れた>


ちょ、システムさん!?




「スタミナがもったいなかったので二刀流して左右二回攻撃で対処してみましたが予想外に強い模様、っと」

愛剣を右に、拾った(殺 し て で も 奪 い と っ た)魔剣+1を左に。

灰色の剣士が大きな二足歩行トカゲ及び小鬼的な何かをぶった斬る。

足元には魔方陣、物理防御の結界を敷き、撃退戦用意。

周囲には敵の群れ、群れ。

既に討伐組仲間の影なく、一時撤退をしている模様。


「なんかあつらえたような状況だけど、これならまぁ、<使う>か」

言うなりひらめく左手。

拾った魔剣は地面に刺さり、ひらめいた左手はうつむいた顔に添えられた。


片方の武器を置いたシオンを見て好機と見たか、周囲の敵が一斉に襲いかかる。

が、それも時遅く。


<灰騎士権能発動>


外道強化仮面ビックグレイと化したシオンが、瞬時に握る左手の魔剣+1。

余さず逃さず膾に切り捨てた。

途中、負荷に耐え切れずに砕け散る拾い物魔剣。

仕方なく柄を投げ捨て、傷一つない愛剣を鞘に収める。

フゥ、っと一息仮面を脱いでしまい込むと同時に、町の方角から多数の足音が聞こえてきた。


「おーい灰色さんー、生きて・・・る、ね・・・・」

駆けつけた討伐班リターンズが息を飲む。

周囲の光景が、あまりにあまりな色彩で満ちている故である。

魔物の血に染まる、青黒い世界。

陽の光の加減か、それは一面灰色の世界に、みえたという。

グレイマジック、ワチキがどこにいるか分かるまい、の誕生である。(ごめん嘘言った)




腕ひしぎ十字固め。

固めた相手の腕が肩口からもげた。


ヘッドロック。

首が。


アームロック。

アー(略


「おやぁ、おかしいですねぇ。 みなさん脆くなりましたか?」

ヒーラー達への襲撃を、獣・・・柔良く制し、さも不思議そうに首を傾げる巨人、ジオの呟きに、周囲の癒し組達の心中は、


(何この化物・・・これがジ・オーガという奴か・・・・)

なにか不穏な名称が付き始めている模様。


「まぁいいでしょう。 さぁ皆さん、反撃開始ですよー。 死人を出さないことを第一に!」


「「「「イキロ!」」」」


癒し組が、戦闘の園へ放たれた。


「さぁ、癒してやるぞ子羊共よ・・・くくくく」

ジオさんに変なスイッチが入りました。




そして場面は町へと戻り。


建築班、装備の破損等で討伐班からドロップした人員を吸収して、膨れ上がったり30人、実に10倍。

そのマンパワーを集めて完成した、元牧歌的な町周囲の木柵だった場所は・・・。


なんということでしょう、レンガをベースに、外部を鉄板で覆い強度を持たせた堅牢な作りの城壁が出来上がったではないですか。

厚さも十二分、高さもそんなに必要か? というレベルまで積み上げられています。

さらには匠(誰だそれ)の小粋な心遣い、レンガ用の材料を城壁建築用地のすぐ前に設定したことによって、深く暗い空濠が出現しているではありませんか・・・・!


「えーっと、その、なんというか、皆様、お疲れ様でした」

建築班空中係、クレーン・メリウが締めとして挨拶した。

さぁ、皆、感想をどうぞ。


「「「やりすぎた・・・!」」」

これだから箱庭ゲーはっ。

やべ、俺明日仕事なのに何こんな時間までっ。

ヘヘ、まだいいぜお前。 俺なんか今からだぜ・・・行ってきます。

ちょ、おま、気をつけて行ってらしてください。

無茶しやがってっ


ってか、もうイベントとかそっちのけで城壁作りに没頭してたよね貴様ら。

おいそこ、後日の増築予定とか組んでるんじゃない自分も混ぜろ! 

ばっか、空中庭園は外せないだろう!

木植えようぜ木!


建築班、実にいい仕事をしていた模様。

そして、建築系スキル持ちが多数誕生したのと同時に、シム・クラフト同好会通称○リーメーソンが発足を果たした。




「ただいまー、ってなんじゃこりゃー」

討伐班リターンズと共に凱旋したシオンは城壁を指をさして半笑い。

灰色の世界のドロップを全部せしめて懐ははちきれんばかりである。

ちなみにサイコロは全部振った。(過去形)


「戻ったら町が城塞になっていた、な、何を言っているかわから(ry」

見慣れぬ新しい槍を嬉しそうに・・・嫌そうに・・・嬉しそうに・・・持ちながら戻ったレザードがPさんのモノマネをし。


「劇的・・・っ」

癒し組に取り巻かれ、しかし彼らの畏れの混じった視線を受けながら戻ったジオが、端的な感想と共に膝をたたき。


「おかえりー、っておまいさんら頑張りすぎ! 荒んだ外見過ぎないか?」

青黒くモザイクに染まった仲間たちを出迎えたメリウが、彼らの惨状をみて絶句し。


襲撃イベント第2フェーズは終了した。




連続クエストと言う旅は、続く。

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