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閑話 ホワイトデーも楽しいもので

今日も今日とてリア充共は(略

一人寂しくログインすれば<塔>にあふれる「本日予定なし」どもの疎らな人影。

なんと悲しい光景だろうか・・・これは盛り上げねばならぬ。

まぁ、そう言ってる自分が一番寂しいやつなんですがね?

あ、はじめまして。

自分、メリウと申します。(白々しい)


と、言うわけで。

本日はホワイトデーと言う事にちなんで、ローパーに変身して町中にプレゼント! プレゼント! 

ひゅぅ、ピュピュッと迸れ自分の熱きパトス!(具体的には触手から発射される白濁液。 生臭そう)

ほうら貴様ら、ホワイトのプレゼントだぞぅーピュピュー。


「げぇ、触手野郎が出たぞ!?」「逃げろっ、汁まみれにされるぞ!」「・・・あー、今日ホワイトデーだから?」「そんなイベントもあったなぁ・・・」「ホワイトデーってそういう日だっけ?」「リア充にとっては合体の口実だから、大体合ってる?」「とか言ってる間にもう目の前まで迫ってるけど大丈夫か?」「「「「「大丈夫じゃない、大問題だ」」」」」

結構余裕よね、貴様ら。

そんな心のゆとりを持つ貴様らにっ、ハッピーホワイトディ!

ふははは、最近のゲームって粘液表現とか綺麗になったよね! 素敵!

自分は逃げ惑う集団の真ん中に<瞬間移動>し、一瞬止まる連中の驚愕をオカズにビクンビクンしちゃう!


「「「「「ぬわー!?」」」」」


ふぅ・・・。

・・。

・。


リロード完了。


さぁ、次に行くとしようか・・・心待ちにするがいいぞ、んん?

ノリノリの賢者ローパーは、次なる獲物を求めて高速移動を開始した。

お次は貴様を汁ってやるぜぇー♪




「なんという私得光景・・・っ スケブが捗るなっ」

ローパーが去った数分後。

同人ワークの息抜きにログインした痴ロリンさんが事後光景を目撃。

賢者の贈り物に大興奮の図。


後日匿名で掲示板に投稿されたその地獄絵図を基にしたヤオイ乱交絵巻は、腐界住人に「涎ズビッ」と大好評。

<塔>男性会における痴ロリンの危険度レベルが「極大」から「目を合わせると掛け算されるぞ!(メデューサ)」になった、嫌な事件である。




「で、冷静になった皆に高機動二輪警邏部隊呼ばれてそのザマか?」

触手すべてを根本で切断され、血液的な体液でぬらぬらと染まった卑猥物体(触手が無くなって、クリアパーツで作られた電動こけしみたいな外見になってる)の簀巻逆さ吊り(要するに仕置きされたメリウだ)に声をかけたのは、閑話の寂しい三人衆の一角こと侍組リーダー。

<塔>の最上階、空中庭園の縁にある私刑場(大体は迷い込んできたPKか・・・それ以外は、ほぼメリウ用)にぶら下がった卑猥簀巻を吊るすロープを左右にブラブラと揺すってたりする。


「揺するのやめれー、ご丁寧に魔法無力化されてるんだー、回復も飛行も物理無効も出来ぬのだー。 あと体液に濡れた自分の体を見てくれ・・・どう思う?」

すごく・・・卑猥です・・・。

あと、簀巻にされて頭(?)だけ覗いてる姿が、さらに卑猥さのアクセルになっている。

絶対故意犯だろう、これ巻いたやつ・・・腐界の住人か?

リーダーは自分の組の不穏分子のツラを思い浮かべた。

サブリーダーの胃がマッハだな、こりゃ、と、小さくため息。


「今回は珍しくGMに捕まらなかったんだな?」

いつもなら即時ハラスメント通報されて「ちょっと署まで」コースじゃね? というリーダーに。


「あー、いつもの説教くれる人が、今日休みなんだとー」

メリウは、逆さの世界が弓なりに~とかほざきつつ。

テロ(頭の愉快なGMさん、うどん好き)から得た情報をリーダーに流したりした。

ちなみにテロは賢者ローパーの所業を「かまわん、やれ」と黙認どころか推奨した模様。

・・・絶対後日酷い説教されるだろうになぁ、と、リーダーは呆れ顔。


「じゃ、聞くこと聞いたし楽にしてやろう」

抜く手も見せず翻る白刃。

鍔鳴りだけが木霊する、高速の居合抜き。

狙い過たず、メリウを吊るしていたロープを切断する。


「成敗」

「成敗じゃねぇよコンチクショウ」

卑猥簀巻が、当たり前のように<塔>を落下し、流れるように底見えぬ深い深い堀の闇に沈んでいった。




紐無しバンジーも楽しいもので。(ただしゲームに限る)

卑猥簀巻は華麗な五体投地を決め、通称ゴミ捨て場、な<塔>の堀の底に着地した。

堀が深すぎて逆に魔法無効化範囲外への離脱を可能にした結果、ギリギリ<黒粘体>発動が間に合ったおかげであった。

間に合わなかったら、落下ダメージに砕け散った布団といい感じに混ざってちょっとカッコいいワタブチマケ状態になるところであった。

あと、布団が砕けるってどんなやねん、と、内心ツッコみたい気分なメリウであった。


周囲は真暗闇、通称肌センサーの気配視覚及び魔力視覚を駆使して、メリウは周囲を見回した。

赤外線スコープ的に映し出される堀の底。

幾ばくかの白骨死体や腐乱死体が転がっているのは、まぁ、アレだ。

未だに自力を過信したPK達等が「この町は俺が支配するッ」とかやって来ては速やかに処理、屠殺されゴミ箱に捨てられるという流れが存在する証拠である。

何体かの遺体わきには、助けてくれる友人知人もおらず、また死体回収NPCを雇っていなかったうっかり屋さんの「キャラ蘇生を諦めきれない幽霊」がいたりして、結構必死に「ヘルプ」のボディランゲージしてきたりする。


「ヘルプの求めにイキロと返すが我らが使命よ<白銀癒手>及び<蘇生>連射」

運良く<蘇生>持ちが通りがかるのを待ち続けていた連中が、メリウの回復魔法によりムクリと起き上がる。

落下ダメージで幾分崩れてしまった高級装備の集団が、即時<灯火>で視野確保をする。

ん、反応早いっていうか、幽霊状態脱してから暗視無くなったって事かー、等と考えるも、既に一仕事終えて興味を失ったあたりが辻ヒール同好会の悪癖。


「じゃ、頑張って脱出してね~」

深さ100mじゃきかないから登るの大変だけどねぇ、ここ。

と、その場を去ろうとしたメリウを取り囲む、生き返った連中。


「まぁ待ってくれって。 あんたこの町に住んでるんだろ? 何回か上から降ってきては町の連中やらに回収されてるの見たぜ? だからよ、町を代表して俺たちへ賠償ついでに身ぐるみ剥がれてくれよ」

自分を取り囲む、ずっと同じような境遇で諦めずに幽霊期間を過ごしてきたせいか盟友関係な連中を見て、メリウは無言。

あー、なんで上の連中、武器防具は毟ってないかなー。

きゃー、たすけてー、犯されるー。(キリッ)


「安心しなって、死体は蘇生所に投げ込んでやるから。 部品が残ってたらな」

言うなり抜かれる得物。

それはシオンの雷神剣にも似て。

剣聖剣。

つまりはこの人<剣聖>か。

・・・そこまで頑張ってたら、キャラ消したくないわなー。


「ひゅぅ、流石ボス、えげつねぇ! いきなり秘奥義だぁ!」

「未練たらしく幽霊ログイン続けてようやく蘇生してくれた恩人にその仕打ちっ、そこに痺れぬあこがれぬぅ」

「あっれ、でもコイツ確か・・・」

秘奥義エフェクトが自分に襲いかかる刹那に聞こえた取り巻き達の声。

ああ、なぁんだ。

コイツラもともと顔見知りか。

んじゃ、一緒に頂きます。


メリウは静かに<ぷるぷる! ぼくまおうスライム!>とネーミングされた処刑用ショートカットをクリックした。


オレサマ オマエラ マルカジリ 。


周囲がスライムプールと化す。

何でもアリなら、ただの剣聖に負けるわけがなかろうよ・・・。

友人知人の<剣聖>共の変態さ加減を痛感しつつ。

メリウはいろいろと、完全消化するのだった。


・・・新キャラ作成がんばって! 超頑張って!

先に手を出したがウヌらの不運よ・・・。




久々に手足を使おう、とばかりに、巧妙に隠された梯子(テクスチャいじって騙し絵状態にしてある某研究狂いの力作)をよっちらよっちら登って青空を目指すメリウ。

そういや最近爺さんの姿見てないなぁ。

今度の閑話辺りで遊びに行こうかなぁ、等とメタりつつ。


「帰還っと。 ふぅ、相変わらずの地獄だったぜ・・・」

かいてもいない汗をぬぐう仕草でイイ笑顔のメリウ。

そのまま足取り軽く町中に。




本日二度目の、ホワイトプレゼント開始。

再び触手が卑猥簀巻にされるまでの実に三十分。

<塔>は大いに盛り上がるのであった。


嫌な方面に。

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