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世界旅行も楽しいもので 8

前回の某灰剣士さんの160回攻撃。

計算してみたら、ダメージ総計2万を超えた。

どうしよう、これ。

単純換算700人近く死ぬんですががが。

あ、仮面も使ってないからもっと伸びるのか・・・。

元・砂漠の草原を長閑に歩くいつものメンツ。

突然の災厄で理不尽に滅びるはずだった王家が、滅び以上の理不尽に助けられていたとしたら。

そんなIFの結果を見物に来たわけであるが。


「なぁ、もうやめねぇ?」

レザードは既に回れ右体制。


「同意」

珍しく口数少なにメリウが応じる。


「あー、まぁ、前回が前回だったからああなるのもわからんでもないが」

シオンが一応、大人的に相手側にも理解を示そうかどうか歩み寄りを模索はしてみるものの。


「ふむ、しかし、もう囲まれたようですが」

ジオが諦めたように軽く両手を上げ、降参ポーズ。


土煙を上げて城から溢れ出した騎馬の群れ、群れ。

ムレムレだとぅ、と、どこかの死なない侍が反応するが0.22秒後に地面のシミになる。


<ようこそ! 過去から帰還した英雄たちよ!>

多数の武装兵で包囲しておいての清々しい歓迎。

おいぃ、テメェ等皆戦闘準備万端じゃねぇか?

ジリジリと包囲の輪を縮めてくる騎馬隊に、あっれ、本気で戦闘開始? と、身構えるいつものメンツ。

新しく出来た国を観光にきたのであろうPC達は、早々に城下町へと去っていく。

中には少し離れて観戦の構えな野次馬根性旺盛なものもいるが。


包囲もいよいよ接敵可能範囲程に縮まり。

レザードあたりが空に舞う準備をしようとしたその矢先。

騎馬隊が、四方八方に駆け出した。


「!?」

危うくジャンプを踏みとどまるレザード。

慌てて周囲警戒に移るが、騎馬隊は既にこちらを視野に入れてはいない。


「なんだこりゃ・・・」

シオンも流石に首をかしげ、一応抜いていた剣の切っ先を下ろす。


「行進・・・いや、コレはまさか」

ジオが縦横走りまわる騎馬隊の整然さを確認し、何がしかの合点を得て。


「ああ、これ、人文字でこの国の紋章書いてるや」

<飛行>で上空からそれを確認したメリウが、いつもより半分ほど少ない体積で帰還する。

生きてたけど、半分持って行かれたっ・・・突っ込みが生死を分けるの勘弁なっ。


国の紋章騎馬文字で盛大にお出迎え、と来ると、お次は王様直々に来るのかなー、と適当に駄弁るいつものメンツ。


<な、何故バレた・・・>

早くも中身が溢れでているテ・・・国王NPCが、御付と思われる騎士二名を左右においてやってきた。


<よくぞ帰参された 英雄たちよ!  古の大恩を「あ、長いからカットで飛びます」ちょー!?>

なんか礼を言われて城へ案内されました。




なんか長々と要領を得ない言葉で歓待されて、意訳係のメリウも途中で匙を投げておメ子さんに変身してマクロで踊り続けている事態に発展。

その間になんか本でも読んでいたらしく「くそっ、笑わないつもりだったのに1章の扉絵で持って行かれた・・・シーツと抱きまくら二人組の牧歌的風景は卑怯だろう」などと意味不明な供述をしており、精神鑑定せずに死刑となります。


「おいぃ、ちょっと休憩してたら死んでるんだが・・・」

ふと、目を画面に戻したメリウの中の人が、外の人の惨状に呻く。

いい加減、ツッコミでマジ殺しは勘弁なのだが。


「あー、すまん。 お仕置きマクロのイージーとヘルを間違えたわ」

無表情で片手をチョップスタイルにしてくるレザード。

ああ、やはり犯人は貴様だったか覚えているがいい・・・色々としてやるぞ、色々とな? 「俺、報復は死である、な人だがいいのかね?」ゴメンナサイもうそろそろ死亡回数四桁行くので勘弁。


「まぁ、もう終わるだろうし良いんじゃね?」

あくびを噛み殺してシオン。

中の人は半分寝てる。


「ああ、このゲームはじめてすぐを思い出しますねぇ」

大聖堂に監禁されての説教三昧を思い出したのか、殺意満点の目をしたジオ。

頼む、落ち着いて下さい。

その気になった時このメンツ最強なのは、実はガチで貴方なので。

殿中でござる、殿中でござる。


<・・・と、いうわけで。 特に敵首魁を討ち取ったレザード様に爵位を進呈致します>


なん・・・だと・・・?

ざわ・・・ざわ・・・。


「レザード、お貴族様か・・・遠くなりやがったなぁ」

早くも降って湧いた話を既成事実化するために動くメリウ。

内心では、王様にでもなってカボチャパンツ&タイツでも履いて「朕は満足である チンだけに下半身的になっ」とか言ってればいいさあぶねっ。


「いきなりそんな事言われても困る」

むしろ義務とかが付いて回るー的な展開が予想されて御免被る、と、メリウを狙って射出されたサンドカッターを巻取り機が自動収納するのに任せて嫌そうな顔をするレザード。


「あー、確かにそういうのありそうだな。 ってか、確かメリウも地位的にはお貴族様じゃなかったっけ?」

生まれ云々もあるけど、基本侍は支配階級設定だったんじゃ? と、シオン。


「ああ、そういえば。 ウチは別の意味でそういう感じっぽいですがのぅ」

ジオの呟き。

おお、そういえば宗教的権力者だしねぇ、生まれ的に。

しかし、と、なると。


「ここでレザードが叙勲すると、背景権力無しになるのがシオンだけになるわけだ」

自由人超羨ましい、とメリウ。

ってか、いっそ裸単騎からの王様とか目指さない? と、シオンを焚きつけに入る。

具体的にはカシュ○王とか目指そうぜ!


「ワチキから自由を奪う気か? そんなことしたら、そう、あれだ! お前等の車を燃やす」

ヤメテ! と周囲から悲鳴が上がり、その声に満足して頷くシオン。

ってか現実攻撃マジ勘弁。


<あ、あのぅ・・・叙勲の件に関しまして、ご返答は・・・?>

オズオズと聞いてくる王様。

腰ひっくいなぁ、この国もしかしていい国なんじゃ、とか思う。


「「「あ、OKで」」」

「ちょっ」

ひとまず、レザードは迷わず売ることに。


<では、レザード様に・・・この国の大公位を>

おお、最上位じゃねぇか、と口々に驚愕するメンツ。

コレは好条件、レザードも頷かざるをえま「いいえ」サクッと断ったー。


<そんな、ひどい>

うおお、このテロ・・・王様、持久戦に持って行きやがった!


「いいえ」

<そんな、ひどい>

「いいえ」

<そんな、ひどい>

「いいえ」

<そんな、ひどい>


中略


「いいえ」

<そんな、ひどい>


ぷちっ。


ひとまず、レザードの堪忍袋が、切れた。

流石に二時間ほども続けば、そうなるか。

ってか、付き合い良すぎだねレザード・・・いや、卿。


「あはははははははははははははははははっ」

レザードが真っ黒く変質した槍を構える。

ああ、あれは、もう手遅れの目だ。

ひとまず各員、手早く避難を開始した。

有り体に言うと、瞬間移動で消えた。


<そんな、ひど・・・え?>

既に会話マクロを押すことに夢中だった王様・・・中の人テロさんが、間抜けな声を上げ。

艶然と微笑み、けたたましく笑い声を上げるレザードの様子に驚き。


瞬間移動で消えたレザードが、次に引き起こすであろう事自体に理解は及ばず。

結果として。


文字通りの流星となった4枚の手裏剣を露払いに、漆黒の<空の槍>・・・もはやメテオ・・・が、ストレスの元凶を吹き飛ばした。




見晴らしの良くなった謁見の間にて、アフロとなった王様と獣の目をしたレザードが対峙していた。

王様は恐慌状態、対してレザードは、超無表情。


「い い え」

レザードが<分身>のステップを踏み出した。

もはやこれ以上言葉はいらぬ、という流れだ。


<・・・分かりました、そこまで言うのなら、取り下げます>

かくて、大公位サヨウナラ。


「「「おいぃ、勿体ねぇなぁ!」」」

「黙れゴミども」

いつの間にか戻ってきていた外道共との、相変わらずの内戦勃発。

描写すると結構枚数行くのでバッサリカット。

ちなみに決まり手はジオの神様パワー<時間停止>からのヘッドロック×3。


<では、皆様。 代わりにこちらをお受け取り下さい>


王様が手招きし、同時、王座がスライドする。

地下への秘密通路が、口をあけた。

王様の先導で階段を下る。

深い。

もう城の地下深くまでは降りただろうか。

先導する王様の持つ蝋燭だけが光源であったため、彼の脚が止まると同時に、ジオが<灯火>を発動して視野確保に務める。

周囲が淡く照らされた。

それほど広くはない部屋であった。

降りてきた階段の他には、一つしかない、それだけの部屋。

金属製と思しき、その扉。

嫌に見覚えがあるその形状は、いつぞやの海底で見たアレと同じデザイン。


<この国を救った英雄たちに、この国が守り続けた希望を託します>


王様の言葉に、シオンの持つプレートが反応。

覗き込むメンツが見たものは。


<クエスト:中央の希望>


先延ばしにしていたアレが、よりによって、増える結果となった。




「で、ぶっちゃけ、進めたほうがイイのこれ?」

もう面倒になってきたメリウが、ちょうど中の人いるからー、と、王様にぶっちゃけて聞いてみた。

答えが返ってくれば御の字、くらいであったが、今日の中の人はサービス精神旺盛なのか、流石に二時間のループは悪いと思ったのか・・・。


<ひとまずは、皆さんのご自由に。 ちなみに、希望シリーズのクエストは世界規模の埋め込みアップデートの開始キーになっていますので「世界を先に進めたいなら」開始してみてください>


いつになく真剣に中の人が答えをくれた。

先に、進む。

それは、言い換えるなら、後戻りはできないということだろうか。


「ってか、希望シリーズって・・・他にもいくつかあるってこと?」

あと、まさか俺らだけじゃないよね、見つけてるのって。 と、レザード。


<はい。 この中央クエストの発見により、東西南北中央、全てのクエストは既に発見されています>

流石に二つ発見されたのはあなた方だけですが、と、苦笑するテロさん王様風味。


「じゃ、他の見つけた連中も今のところスルー決め込んでるって事だよね」

特に世界規模の大きなニュースって流れてないし、と、シオン。


<ええ、皆さんと同じように。 埋め込み式の開始判断はPCに託されますので、始めるも始めないも、ご自由に>

ニコリ、と微笑み、中の人が王様に手をふらせた。


<では、私はこれにて。 ちょっとみなさんと遊びたくて引っかき回してしまい申し訳ありませんでした>

ではまた~、と、王様NPCから抜ける中の人。


一応これにて砂漠王国改め中央王国の復活報酬クエストは終了のようで。


「帰って落ちようか」

「「「了解リーダー」」」

ひとまず二つ目の<希望>シリーズも放置ということで、本日は終了した。


「「「「おつかれさま」」」」




<ちなみに大公位叙勲を受けていたらレザードさん絡みで連続クエスト発生の予定でしたー>

お姫様との結婚話とかアリましたぜ旦那、とログアウト寸前の皆に言い残すテロ行為があったことを追記する。


その後、やっぱ叙勲受けたほうが・・・もう一度連中殺してきて叙勲受けるべきじゃ・・・YOU、結婚しちゃいなYO!・・・あぁん? という茶番もあったが、いつものことなので詳細は略、ということで。


では、今回はここまで。

また、そのうちに。

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