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世界旅行も楽しいもので 6

あるいは、5(後編)?

とまぁ、それほど引っ張る話でもないので地味に巻きます。


町長に呼び出しくらった→ 強盗退治ご苦労さまでっす! ああ、あと過去の記述に祖先救ったのおまいらなんで讃えよっていうのがあったんで銅像建てるわー → やめて! ←イマココ


<そこをなんとか! そこをなんとか! ・・・ぶっちゃけ休日返上で銅像モデル組んだんで、断られても建てる>


おいぃ、システム(仮)さんよう・・・中身が透けて見えてるゼェ・・・?


「俺の好きな事は、そう言ってくるシステムにNOと言ってやることだ」

いつになく飛ばすレザード。

箱単位のスーパードライは、別に今日中に飲み干さなくても腐らないと思うのだがどうよ?


「銅像・・・静かに暮らしたい弱小一般市民を晒し者にするとは何たる邪悪・・・ゴクリ」

ジオが冷や汗をキャラクターにかかせながら驚愕し。

あ、15年ものはクール便でお願いします、はい。

糞虫とお呼びください閣下。


「あー、なんか嫌な予感しかしないけど、一応どんなのが建つか見ても良いのかね?」

このままでは宴会カラオケのような泥沼になりかねぬ、と、オトナの対応を心がけるシオン。


シオンの言葉を受け、システムさんがドデカい銅像を複数体その場に出現させた。


懐かしの歴史改竄クエスト。

<わるいまほうつかい>に一撃くれるレザードの姿が、そのままに再現されていた・・・ってか、これそのものモデルに石テクスチャ貼っただけだよね?

うへぇ、地味にレザード敵ボスの障壁貫いて殺しかけてたのか・・・惜しかったな。


「おお、一応その背後にも敵兵と刺違えてる我々が配置されてるんですな」

頭のいいAIに即時集中攻撃食らって殺されたジオが、銅像に再現されたラ○ウの死に様みたいなのを見て感動している。


「ああ、たしかにヤッツケといえばヤッツケだけどそれなりに出来はいいやねー」

流石腐っても、腐ってもプロだねぇ、とシオン。

腐って、と連呼した心情はとてもよく分かる。

ああ、確かシオンは真っ向から敵兵に切り結んでノーガードで食らいつつ自分も相手をナマスにする狂戦士っぷりを発揮したんだっけ・・・懐かしいうえにそこだけ見るとベル○ルクみたいでカッチョいい。

ちなみに黄金時代がずっと続けばいいと思っておりもうした・・・orz


「・・・で、確かに自分は最期こうだったけど・・・」

皆がカッコよく散っている再現銅像の中、腹にダイナマイトくくったスライムが爆発している様はまさに超シュール。

ご丁寧に吹き出しで「ぷるぷる! ボクわるいスライムじゃないよ! 我亡き後も第二第三の我が現れて必ずや世に闇をもたらすであろう・・・ぐふっ」という遺言も再現されている。


<町長:喜んでいただけたようで私といたしましても感涙です。 では、早速・・・>


意外に高評価なことに気を良くしたのか、システムさんは事を早急に片つけようと設置を急ぐ。

まぁ、あれだったら・・・的な雰囲気が流れてしまっているあたり、流石腐ってもプロ、略して「てロ」である。


<町長:台座に皆様の名前を刻んで完成です!>


「「「「まてやぁぁぁぁ!」」」」

名前の通りテロるんじゃネェぇぇぇ!

ゲーム内の身バレするような真似しちゃらめぇェェェ!

暮らしは静かに! おたのみ申す! おたのみ申す!


<システムアナウンス:オアシス玄関口に英雄像が建ちました>


町内全域アナウンスが流れる。

流石テロ、人の嫌がることを進んでやろうを体現する奴よ・・・


嗚呼、しかたがない、建ってしまったものは、仕方が無いなぁ・・・・。


無言で踵を返すシオン。

その両手には愛剣二振。

静けさすら感じさせる彼の背中が、こう語る。


「プレイヤー主催イベントクエスト:英雄像を石塊に! 開始します」

「「「応っ」」」


<あれ? 素直に喜んでもらおうとしたはずなのに何故か対立構造が完成して?>


なぁに喜んでますぜ?

楽しい楽しいゲームの始まりじゃないですか・・・こやつめ、ははは。




最後の一歩は、遠いもので。

題名っぽく言っては見たものの、システム率いるNPC衛兵団の硬さに舌を巻く。


<何者かが英雄像を破壊しにきたぞ! 守れ!>


システムが場を盛り上げる様に周囲へ声を撒く。

ポツポツと「あれ、イベント?」「守りきったら勝ちって感じなのかねぇ」「では俺は破壊側につくぜ!」「なっ、裏切ったのか!?」「ボク、この防衛戦が終わったらけっこグアァァァァ」「ああっ、旗立てる前に折られた!?」などとPC達を巻き込んだ祭りに発展。


「おかしいなぁ・・・だんだん趣旨がどうでも良くなってきたぞ・・・?」

全員偽名でヒャハーしていたいつものメンツ。

通りすがりか移住組か、スルーできかねる腕のPC達も混じりだしてきて別方面で楽しくなってきてしまったレザードが笑う。


「うぬぅ、バトルマニアが早くも離脱か・・・・時と場合を考えて欲しいものですねそこ危ない怪我人はこっちに集まれぃ我が癒してくれようー」

ダブルスタンダードはやめようぜジオ・・・。


「うおおー、退けどけどかないとワチキの双剣が火を噴いたり竜を噴いたりするゼェー」

シオンの叫びに、竜見てぇー! 超見てぇー! と、外野が反応。

すまない嘘です。 ぎにゃー。 大人って汚いっ。


「虫に変身して近づこうとしましたがシステムさんに阻まれますクチオシヤ・・・」

PCは標的小さくて、もしくは何だ、虫か・・・とスルーしてくれるのにっ。

仕方なく、いっちょ自分が盛り上げるか! エンジョイアンドエキサイティン! とばかりに変身ベヒモス。

オアシス防衛戦真っ只中に、大怪獣メリモス、爆誕。

腐れシステムめが、蹴散らしてくれるわ文字通りになっ!


さぁ、カオスになって参りました。




地平線に沈む夕日。

オレンジに輝く砂漠の美しさを言い表す言葉が、思いつかない。


「そういう時は、綺麗だ、で良いんじゃね?」

隣に立つシオンが、そんなことを言った。


ああ、確かに。

それ以上ない言葉だ。

だから、綺麗な朱染めの砂漠よ、俺はこの言葉を贈ろうと思う・・・レザードはくるりと振り返ってオアシスの玄関口を見る。


「ああ、醜い」

綺麗な夕焼けをバックにヘドを吐く。

血と破片に紛れた地面、とでも言えばいいのか。

町を二つに割っての乱痴気騒ぎの顛末が、これである。

結局英雄像は健在、であった。

というか、数人の破壊者側陣営が果敢なバンザイアタックで同時に攻撃を加えることには成功していたのだが・・・


<システム:破壊不可オブジェクトです>


や り や が っ た な !

ユーザーイベント、ここに崩壊。

おいおいそりゃないぜシステムさんよぅ、と、今度はPCvsNPCの不毛な削り合いに発展。

その後なんだかんだで、日没ノーサイドとなったわけだ。


「いやー、よく死んだよく死んだー」

にこやかにシオンとレザードに近づくメリウ。

なんだかんだで片手で足りぬ数を死んで場を大いに盛り上げたので良しとしている模様。

おい、野望への貯金がくだらなく減ったが大丈夫か?


「あれ、ジオはどうした?」

自分と同様真っ先に自分の欲望(癒し系)を満たしに行った糞坊主の姿を探すレザード。


「ああ、まだ欠損患者とか治してたー」

謎の大怪獣とかがよく踏みつぶしたからねー、プレスプレス、とメリウ。


「お前が犯人じゃねぇか・・・」

お前が率先して治してこいよ、とシオン。

人混み切り裂いて破壊不能英雄像に酷いダメージ与えたのはこの男、他数名の同時特攻。

<だから無理だって!>と弾かれたのはいい思い出・・・にすると思ってるのかクソテロめ。


「いやー、どうにもジオがスイッチ入ったみたいで、失せろ獲物を取るな、とか言われちゃってねー」

ああ、キティちゃん化したジオには近づくな・・・と、震えるメリウ。


「ま、狂人は放置しよう。 で、結局俺らの名前晒されたわけだがどうしたもんかねー」

しゃーないしゃーない、と震えるメリウの肩を叩きつつレザード。

そう、結局壊せない、という最悪の結果に終わった今回の自作クエストだったわけだが。


「痛恨だわなー、今度から全員偽名で過ごそうか」

偽名同好会ここに誕生、かね? と、シオン。

まぁ、それも悪くはないんだけど・・・。


「あー、あれなんだけど、実は細工してきました」

三回目に死んだあたりのことなんだけどね・・・と、自分がヤッたことを告白するメリウ。

おお、と、手をたたき納得するシオンとレザード。

たまにはいい働きをするメリウを讃えつつ。


「「「ミッションコンプリート」」」


三人して、いい音のするハイタッチを決めて本日終了。




追記。

英雄像のネームプレートには、周囲と色の違う金属板・・・鉢金にでもすればちょうどいいかな、という金属板が使われている。

刻まれた文字は、


英雄:○○○○(件のシステム名:牢屋に連行された時の名前をメリウがメモってあった)


過去に繰り広げた悪行の数々


最後に「ただ、それほど悪意がないから憎みきれぬユカイさん」。




追記2。

ジオが頑張りすぎて血を吹いて死んだことを皆が知るのは、後日となる。

(脳内)麻薬ダメ、絶対。




といったところで本日はここまで。


「「「おつかれぃ、ペプシの新作、毒がなくてガッカリ」」」


不味いよりイイじゃん・・・小豆とかモンブランを思いだせ・・・。




では、またそのうちにっ ノシ

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