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特殊クエストも楽しいもので 2

心ある者たちへの警告板。

今、シオンのポケットに入っているヨド○シあたりのポイントカード大のそれが、今回のキーアイテムである。

記された内容は、過去栄えた文明の遺産が悪用されるのを止めてくれ・・・というようなものである。


「なんというか、曖昧だよなぁ」

シオンがこぼすのも無理は無い。

なんせこのカード、クエスト開始場所などは記されていない。

ただ過去の遺産が悪さしてるようなら止めれ、という一文を所有者たちに伝えるだけのもの・・・だと、思って、いた。

その場に、もうひとつのキーアイテムを持つ大男が現れるまでは。


「やぁ、今日はウチのこの本じゃなくて、シオンのプレートのクエストやるんでしたかな・・・おおぅ?」

片手に古代技術書を携えたジオがその場に現れた瞬間。

イィィィィイィィン! と甲高い音と共に警告板が振動した。

そして、古代技術書に向けて警告板から謎の光線が射出される。


ぅぼっ、っと、火がつくような効果音とエフェクトをまとわせて、ジオの手にあった本が・・・灰になって地面に落ちた。


「・・・ええー、と、その、なんだ、えーーー?」

急展開にジオもシオンもついていけず、首を傾げるばかりとなる。

ジオは元アイテムだった灰を確認するためノロノロと首を巡らせ、シオンは怪光線を放った板を観察せんとし。


「「おお?」」

二人同時に、驚きの声をあげることとなった。




レザードとメリウ、インしたぉ!

ってか、何かあったのかいシオンにジオ?

面白い顔してるけど・・・。


「どうでもいい話でもしようか。 メリウが女性体になるとメリウ子ということで、昔風に丁寧読みするとおメリウ子になるわけだ。 で、それを略すとおメ「「「言わせねぇよ?」」」」

本当にどうでもいい話をしだしたメリウを三人がかりで封殺し、レサードは愉快な表情だったシオン、ジオに事情説明を求めた。


「あー、ワチキとジオ、変なクエストアイテムっぽいのもってたじゃん? アレが、どうやら双方に関連があったらしくて、つい先刻、こんなになった」

シオンがレザードに、掌に乗る程度の板を差し出す。

淡く白銀に輝くそのプレートには、


<特殊クエスト:古代技術の断片 開始>


と、記されていた。

そして、それに続く記述にクエストスタート位置が記されていた。

そこは、今となっては懐かしい匂いのする、あの場所だった。




ジオは、古代技術書の灰山から出てきた、警告板と同様の色をした鍵を、机の引き出しの鍵穴に差し込んだ。

音もなく自動に開く引き出し。

その中には、真っ赤な丸いボタンが、一つ。


「押した瞬間、ででーーーん! アウトー! とか無いでしょうな・・・?」

言いつつ、なんの躊躇も見せずに押してのけるジオは、やはり狂っている。


カッチン!


なにか金属製の留め金が外れたような音が響き、それ以外は、変化なし・・・。


「セオリーだと、隠し扉の施錠解除、とかだよね」

メリウはランタンを片手に周囲の壁を調べ始める。

右曲りだが左手の相棒、ダンディが立てかけてあった辺りの壁から、ぐるっと部屋を一周する。

・・・残念ながら、何も変化なし。


「んー、じゃ、あとは床とかかね」

石突でガツガツ床をつつき始めるレザード。

途中から興が乗ったのか、高速なリズムを刻み始めて動作も派手になっていく。

スト○プみたいなもんかね?

ダカダンダカダン五月蝿いのだが。


「んー、んじゃワチキは一応部屋の外見てみるかねぇ」

それほど広過ぎもしない隠し部屋から避難するように、シオンが廊下へと消える。


「ふむー、数回押しても何も無しってことは、さっきのアレで終わりということでしょうかね」

未だにボタンを連射していたジオが、やっと諦めて机に手を置く。

そのままそこに腰掛けようと体重をかけた瞬間。


ぐるりん。


机が、綺麗に回転した。




どんでん返しとはまた、古風な。

壁際に設置されていた机だったが、まさか壁と一体化してるとは・・・。

ジオがくるりと回転させた机及び壁の向こう側。

その先にあったのは、長い長い長い下り階段。

頭上には蛍光灯のような照明が設置されており、ランタンは不要になった。

廊下で壁相手に剣を抜きかけていたシオンを呼び戻した一行は、迷わず地下への探索にうって出る。

階段を下りはじめてから数分、未だ底は見えず。


「そういえば、どうでもいいことかもしれんのだが」

と、口を開いたのはレザードだった。


「今の部屋で、シオンとジオはアイテム手に入れたじゃん? その時なんで、板は本燃やさなかったんだろうね?」

続けるレザード。

他三人も、言われてみれば・・・と首を傾げる。


「んー、何がしかのフラグが必要だった?」

シオンが、例えば二人とも手に持っている状態で、とか・・・あ、さっき板、ポケットの中だったような、と、自己解決しそうな勢いで呟き。


「ふむー、実は向きと距離が合わないとダメ、とか」

それもなんか根拠弱いですねぇ、と、ジオが首をかしげ。


「・・・単に、クエスト未実装だったんじゃ?」

余りに余りなメリウの一言に、あ。 と手を打つ皆。

なんというか、ありそうな気は、する。

あの時点で特殊クエストアイテムって表記無かったしねぇ・・・。


「まぁ、正解はシステムさんあたりに聞きたいところですけど、教えてはくれないでしょうし・・・それにそろそろ、着きますな」

ひとまず、階段の終わりに、とジオが言い終わらないうちに。

皆は、拠点の町近くの山の地下深くに、降り立った。




巨大な地下遺跡、だった。

文明レベルで換算すれば、地上と2000年以上は離れているのではなかろうか?

無論、地上のほうが原始に近いという意味で。


「一気にSFになってまいりました・・・!」

ジオのテンションがガチ上り。

流石ローダンシリーズほぼ全巻保持の漢よ・・・。

だが俺らにそれとかギャラクティカとか振られても知らんから・・・。


「可変メック工場とかなら世界が変わるね」

シオンも変な方向でジオに付き合いだす。


「あ、可変フェニホ出たら自分貰いたいー」

そういや昔、サンボル × ライフルマン描いてた腐女子がいてだな・・・とか脱線しだすメリウ。

こんなに熱くして(放熱的に)・・・イケナイ子だ・・・ほぅら、ここ(背面装甲)が弱いんだろぅ?

らめぇ、中に(攻撃が)入って(弾薬的に火がつき)イッ(爆発し)ちゃうぅー。

・・・見たときは、狂人っているんだなぁ、と素直に賞賛した覚えがある・・・。


「これで缶詰工場だったらどうしようかね?」

レザードがメリウの戯言を聞き流しつつ適当につぶやき、ひとまず槍を準備しだす。


「ソイ○ントシステムと申したか・・・?」

レザードの言葉にシオンがおののき。


「ああ、人肉缶詰でしたっけ?」

戦前戦後とかにそういう話が湧きましたっけねー、とジオが平然と答え。


「自分は未だに、エバ○クエストでホビットとかエルフとか人間のピクルスが売っていた衝撃をおぼえている・・・食料として」

メリウは地味な方向でトラウマをほじられていた。


「なんだかなぁ・・・」

話が進まなすぎて、レザードはただ溜息をつくしか無かった。




ある意味、遺跡の中は可変するロボットの生産工場であり、ある意味人肉工場でもあった。

整然と並ぶ、人間が入るサイズのガラス円形槽。

得体のしれない液体に満たされたそれの中に、何かが、いた。


「す、スナ○チャー?」

エンド○スケルトン! スノ○スギ反応! と、テンションが上がるメリウ。

そう、円形槽内部にいる何か・・・金属フレームの骨格を持つロボット、そしてそれにへばりつくように育つ人工筋肉。

人造人間工場・・・もしくは、義体工場・・・か?

ほぼスナッ○ャー生産ラインの風情であった。


「で、これ・・・動き出すとか、無いよな?」

なまじ数がいるだけに、いきなり襲われたら面倒だ、と、シオン。


「β最終日に脚付き円盤ヌッコロしたときに、電力不足で施設が云々ってアナウンスしてなかったっけ? その施設が、コレなんじゃね?」

記憶を掘り起こしてレザードが言う。

足音もたてずに慎重に遺跡の奥へと進む一行が、おお、それっぽい! と納得する。


「・・・ん? ちょいまち。 それまでは、施設が、稼動してたってこと・・・にならないかな?」

生産ライン最奥までたどり着き周囲を見回すメリウの視線が、近くの円形槽を行ったり来たり。

周囲の円形槽は・・・中に何も、いない。

空の槽の数・・・10。


「やべ、散れ!」

シオンの叫びが注意を喚起する前に、天井に潜んでいた人型ロボットが一行に襲いかかった!




満身創痍。

まさか口から脚付き円盤と同等の赤色レーザーが来るとは・・・。

息も絶え絶えになったキャラと中の人達は、しばし無言。

途中でロボットのバッテリーが切れなければ、またもや全滅パターンだった・・・。


「どうにか殺しにかかるのが、特殊クエってことで良いのかね?」

ようやく一息ついたのか、シオンが皆に呼びかける。

珈琲でも含んだのか、ゴクリ、と音がした。


「閉鎖空間だから爆炎壁使えないし、フレーム固すぎて曲刀の刃が立たないし・・・パート2がなければ回復装置なだけだった・・・」

一人受け持ちが3体な時点で死を覚悟したメリウだったが、ダンディの防御力と瞬間移動の多用でなんとか騙し騙し戦い切った。


「ウチは案外楽しめましたなぁ。 柔よく剛を制しまくりました」

投げと関節、後はカウンターの驚異。

裁判をかいくぐり覚えた瞬間移動のおかげもあって、ジオはある程度の敵を戦闘不能近くまで捻ったりしていた。

ヤワラこええー。

関係ないが、「柔道、谷○子のアダ名って、浦沢漫画からついたんだよねー」「うん」 「「モンスター」」って話を唐突に思い出した・・・。


「俺の方は通常運転だったなー、来るの分かったら赤レーザーも避けられるもんだね」

もはや人外なのは中の人もじゃないか、と思うレザードの言葉に、皆が少し黙る。

1/60フレームクラスの高速攻撃、マニュアル操作のアクションモードで連続回避しないでください・・・。


バッテリー切れで動けなくなったロボットの手足及び喉部分を破壊しきると、周囲は静寂に包まれた。

ひとまず、これで遺跡探索は終了のようだ。


「クエストも達成表示出てきたし、戻ろうか」

シオンは警告板を拡大して見ながら皆に帰還を促す。

今回は報酬がロボットの破片という、ある意味ターミ○ーターフラグが立ちそうな物品入手だ。

むしろ自分たちで調べてサイバ○ダイン作るべきか?


「周囲散策したけど、目ぼしいものはないですなぁ」

荷物置場っぽい一角に積んであったダンボール箱を小脇に抱え、ジオがシオンに続く。


「っておい、何だその箱、中身なんだよ?」

目ざとくレザードが突っ込み。


「なにか薬液っぽかったので、成分調べて薬でもつくろうかと。 ロボットの人工肉の成長に使ってた薬だったなら、回復薬か再生薬は作れそうな気がするんですよねぇ」

箱の中身を皆に見せながらジオ。

アンプルっぽい容器がびっしりと詰まっていた。


「おおー、魔法だけでなくクスリでも癒しをばら撒くつもりですかい」

そこ方向だけはブレないなぁ、とメリウ。

まだジオに比べて薬調合はスキルが低く、悔しい、だけどジオから買っちゃう! ビクンビクン。 な状態なのがチト悔しい。


んじゃ、戻ろー、おー。




そして、何事も無くクエスト終了。

追撃もなければ爆発オチも無し。

強いて言うなら、報酬が金属製の骨組みだと言うことくらい。

皆で公平に分配し、残りの分はパーティ共通の財布にぶち込む。


さーて、んじゃいい時間なんで落ちますねー。


おつかれさまー。




そんなこんなで、本日はここまで。


また、そのうちに。

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