表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/54

初心者プレイは楽しいもので 1

お気に入り機能だけ使わせていただくのもアレなので、気の向くままに書きなぐったブツを置いときます。


一目見たら忘れてくださると助かります。

自分が音声チャットにログインした時点で、友人達はとっくに揃っていた。

普段ならダベりながら個人個人の趣味を消化する日々を送っていたが、今日は珍しく皆で遊ぶこととなっていた。

昨今、雨後の筍のように新作が発表されるオンラインRPG。

しかし数こそあれど、なかなかコレ!と言ったものが見つからないのは昔と変わっていない。

その中で一つだけ。

自分達の仲間内で「おお、コレ、よさそげ? 久しぶりに皆でやってみないかぇ?」と言うものが見つかったわけだ。

で、本日。

そのゲームのオープンβテストが、始まったのだ。


「今度のは珍しくスキル制だよね」


一応の確認のようにつぶやく自分。

ちなみに、友人内・・・身内では経験値を稼いでレベルを上げていく系のゲームをレベルゲー、で、スキルポイントを好き勝手に振り分けて行く割とキャラクター作成、成長の自由度が高いものをスキル制なんて呼んでたりする。

細かな呼び方はその時々のノリで変わったりするが、大まかにはこんなもんだ。


「ん、そだな。 いわゆるチ○ンゲみたいなレベル制ではないね」


即座に返答してくれる友人Y。

ヘッドセットからは、彼のものと思われるクリック音が、あたかも遠くで鳴り響くマシンガンの如くに聞こえてきていた。


「あれ、Yさんや。 今別ゲー中だった?」


FPSでもやってるのかと思い尋ねてみる。


「うんにゃ、今キャラメイク中~」


キャラメイクにそんな連射必要なのか・・・?

連打するとキャラが巨乳にでもなるんだろうか。

ひとまず、たのしm・・・楽しみにしておくことにする。

このお話に変態紳士は登場いたしません。

さて、クライアントのダウンロード及びインストールは昨日終わっているので、後はランチャーを起動してログインっと。

ずびびびびーっと当たっていくパッチファイル。


「って、テスト開始数時間なのにもう新しいパッチ当たってるんかいな」


タイムスタンプが12秒前ってなんやねん。


「大体そんなモンでしょ。 テストに間に合わなかったやつとかが後出しで追加ってだけなんじゃないかね」


まだ開発陣とかは眼を血走らせてキーボード叩いてるんじゃね? と、Yさん。

もしそうならご苦労様です。

今から真剣に遊ばせていただきますねっと。


「で、みんなは職業何にするん?」


能力とスキルの高さに付随する名称でなく、そのキャラの今まで生きてきた背景としての職業、だそうで。

それによって初期スキルの基本値、所持金、持ち物、などなど・・・が決まるそうだ。

かぶったらいけないとかは無いけど、どうせなら同じようなモノは避けるべきだろう、初見ゲームだし。


「あ、ウチは神官で行きます。 坊主最高~ 癒すぜー 超癒すぜー」


そんなYさんの問いに、即時応答したのは友人F。


「テンション高っ、クスリはあれほど控えろと・・・」


ひとまず放置してても面白いけどツッコんでおくことにした。

ついでにFの呼称を坊さん、とでもしておくことにする。


「んじゃ、わちきは剣士で行こうかねー。 剣に生き剣に死ぬぜぇー」


と、Yさん。

ふむ、んじゃ以下、剣士と呼ぶ。


「このゲーム、スキル取れば魔法は誰でも使えるんだっけ?」


クローズドβの感想を見聞きする限りにおいては、魔法必須、物理だけでは死ぬるー、という流れだったような記憶があったので聞いてみる。


「知るかボケー、魔法なんて軟弱なもん取れるかー」


剣士さんも、変なスイッチ入った模様。

チュウニ・スイッチ。


「でも、初期に取っておかないと後付取得は面倒ですなー」


坊さんがボソリと言った。

マニュアルと睨めっこでもしてるのだろうか、えーと、何々・・・とか、つぶやくのが聞こえていた。


「えー、どう面倒なんよ?」


「まず、スキル魔力と魔法制御を取るのに、カルト・・・魔法のギルドみたいなのに入らないといけません。 で、そこからギルド内の地位を上げて、かつ、高い金額やら変な依頼やらを受けて初めて、スキルが取れる、ということらしいですな。 ああ、あと魔力取らないと老化します」


「え、歳喰うの? マイナスあるん?」


「ありますねー、一定年齢以上になると、老化判定入って能力値とか減る可能性とか・・・ちなみに、老化は魔力とっとくと判定なくなるみたいですな」


正確には魔力を取ると、その取得した年齢で老化自体が止まるそうな。

15歳で魔力取得したらずっと15歳ということかー。

なんて素敵設定。

最初から選択肢ないようなモンじゃねぇか。


「そ れ は ひ ど い 。 俺のロマンがリアルにへし折られる音がしたー」


「はいはいメルトメルト。 ロマンが欲しけりゃ取るだけ取っても使わなければ良いじゃない。 んじゃ、ひとまず魔力と魔法制御は取れる分ガッツリと初期に取る、と。 他にはなにか注意点とかあるかねー?」


「結界魔法は最初にポイントで買っちゃってください。 理由は魔力とかと同じ感じで」


「了解ー」


ポチポチとステータス画面を弄っている(であろう)皆。


「おー、年齢高めにすると割り振れるポイント多めにもらえるねぇ」


「ですな。 魔力を取る前提なら上限年齢でも良いかもしれませんな」


「えー、でも見てくれパーツがなんか微妙になっていかね?」


確かに、年齢高めに設定すると、使えるパーツやカスタマイズ幅は格段に減る。

渋い、というか、いぶし銀、というのが好きならむしろご褒美ですが。


「ん、決めた。 俺、格闘家で行くわ」


今まで挨拶から沈黙を守っていた友人Y二型・・・剣士とは別だが、考えてみれば二人ってイニシャル同じだ。

いいやもう、ひとまずこっちは格闘家と呼称。


「今までずっと悩んでたん?」


「おーよ、生まれ判定で人間限界突破の器用さっての引いちゃったんで、これを生かす方向で行こうかと」


「うっわ、なにそれ強そう。 自分なんか出身地が二つあるって言う何これ怖い、な感じだったのに」


自分の引きの弱さにグッタリする。

ちなみに内容的には二ヶ国語マスター、なそうな。

ただし喋るだけ、読み書きは別途取得のこと。

甘えがねぇな。


「どうでも良いが魔法押しっぽいゲームなのに、魔法使いがいないのな・・・ああ、ちなみにわちきは流派の天才、自分の剣術流派に限り上限突破して鍛えただけスキルも上がってくっての貰った」


「ウチはそれほど華々しいのはありませんでしたなー、なに、鍛えれば凡人が天才を凌駕するなんて日常茶飯じゃないですかー」


おうけい、坊さん。

ちょっと気分が上向いたぞぅ。

だが、自分の生まれ効果を口に出さなかったのが 怪 し い 。

だけど才能組二人(剣士と格闘家)、凡人組(坊さんとオイラ)で、一応バランスは取れてるのかな。

パーティー内ハッピーバランス。

マイナス担当かよ・・・


「ま、いいや。 ひとまず自分も能力値振るかー。 最後、20回目の正直ー」


「おま、まさか今までずっと能力値に振るランダムポイント高いの狙ってたの? 最悪一番低くなりかねなくね?」


「安定志向の平均ちょい上ポイント振り分けなぞ糞食らえ、回数制限あるけど古式ゆかしいWIZ形式じゃからのぅ、粘らせていただきますとも・・・来いよ、来い、こい・・・」


「俺は、ここにいる?」


「スケェェェェべいす。 お、きた」


八相でもポリゴンで出来た凹椅子でもなく。

愉快な数値のランダムポイントゲット。

適当に補正つくラインで能力値に振って行って・・・っと。


「ちょいなちょいな、っと。 筋力と体力、表現力以外の能力値が人間限界になりました~」


と、皆にご報告。


「ちっ。 お め で と う 」


「呪われろ。 お め で と う 」


「チネ。 お め で と う 」


毒づいても祝ってくれる皆が好きさ。

おめでとう、だけゆっくり声なのは気にしないでおくよ。


「なれる職業増えたなー。 を、侍みっけ。 初期装備、日本刀かー。 君にきめたっ」


キャラクターが作成されましたっと・・・。


「お、いいですな。 職によって初期ギルドも変わったと思いますし、侍のギルドは確か、魔力と魔法制御スキルの強化とかも出来ますな。 マジックギルドと冒険者ギルドの良いとこ取りみたいなのですな」


「へー、んじゃ、お友達割引ー、とかあれば皆使えるんかねー」


「いや、流石にそれは無かろう?」


「だよねぇ」


「ん・・・? 今俺もオンラインマニュアル見てたんだがな、なんかそれ、出来そうな気配?」


「「「ま じ す か ?」」」


甘えが無いのかゆるゆるなのか、はっきりしていただきたいシステムの模様。

ああ、だからβテスト、なのか・・・

そんなこんなで、能力、スキル決定後のお楽しみ、キャラ外見エディット~。

これがまた細かいこと細かいこと・・・能力値で身長や体重は決定されるので、無駄にのっぽや豆粒ドチビ、なカスタムは出来なさそうである。

個人的最優秀キャラ作成ゲーム完美○界を、チギった・・・だと・・・!?

こまか、細かすぎて死ぬる・・・これか、さっき剣士のマウス音がバーストしてた原因は。


「二ぃカぁ国ぅ、ばいりんがるー、梅林ガールとか言うとなんか性病♪ っと眼でも青くしとくかねー」


連射、連射、超えろ今こそ毛利名人っ


「せんせー、キチガイがなんか変な歌うたってますー」


アーアー、キコエナイー っと。

髪はシンプルに黒にしてー、その他適当にペチペチと。

ブルーアイズ日本人って感じ。

丁髷じゃないのがちょっと残念。

余のヨロレイヒ~が目に入らぬか~プレイとか出来ねーのかよ。


「オイラできたー、皆はどうよー?」


「わちきはもう作って鯖に入ってみた。 サクッとできたヤツから合流しようぜー」


「了解しましたー、ちなみにウチの坊さんはデカイですぞー」


「俺の格闘家は、なんか、少し小さい・・・」


「オイラの侍は、平均やや下、って感じみたいだのぅ」


身長が数値で見られるので分かりやすい。

さて、それではゲームスタートと行きますか。

あ、でもその前に皆に重要な質問だ。


「「「「で、だれか女キャラにしたん?」」」」


ミンナノココロガヒトツニナッタ。



サーバに入ると、小奇麗な町にキャラクターが出現した。

見回す限り、周囲は割とバリエーション豊かなプレイヤーキャラたちの群れ。

同時参加人数多いなー、狩場で長蛇の列、小さく前習えで三時間待ち! とかのゲームシステムだったら嫌気が差しそう。

基本的には依頼受けて個別エリアに飛ばされて、っていう流れらしいからそこら辺は平気と思いたいががが。

絵は型落ちの相棒パソでもワリと綺麗め(設定普通、高画質描写もあるよっ)、インターフェイスも現状、使いやすい。

コレで左右移動、視点変更、ジャンプ。

モーションがコレで・・・うっわ、無駄に多いな。

土下座のバリエーションだけで3ページとか、マジキチ。(褒め言葉)

アクション系の操作でコントローラとかでやるほうがやりやすいかねー。

ガサゴソとコネクタにコンシューマのコントローラー差し込んでー、ちょいなー。

お、自動設定してくれるとは優秀優秀、今までの連中は反省するように。

衆人環視の中、フル土下座とかの前衛的な体操をした後、


「さて、皆のキャラはどこじゃいなー」


皆と合流することにした。


「おーい、こっちこっちー」


「こっちってどっち・・・あ、オイラのほうに手を振ってる三人がそう?」


ひとまず接近。

友人のキャラクター達を、まじまじと見つめて。

ため息一つ。

分かっちゃいた、いたけど・・・

みんな 野 郎 キ ャ ラ でした。

おいおい皆、長く遊ぶことになるかもしれない?ゲームで、何が悲しゅうて野郎軍団のホッハッ!を眺め続けなきゃならんのだ、すわ、これはオイラがキャラクター作り直して・・・1キャラしか作れないじゃんよ現状っ。


「というわけで、諸君らに最初のミッションだ。 生 ま れ 変 わ れ 」

と、挨拶がわりのジャブ飛ばしつつ、各人紹介開始っ



・剣士シオン

「うっせーバカ、キャベツ投げんぞ」

何故か本当にキャベツを持っている剣士キャラ。

骨太長身ムッキムキ、スタート直後のキャラなのに、やけに強そう。

生まれは南方系キャラベース褐色肌、髪と瞳、衣類にいたるまで灰色つや消し。

強いて言うなら肌以外の彩りは武器だけという潔さ。

今後入手するであろう防具に期待したい。

肉付きとかは流石に剣士ナイズというか、鋭角筋肉我生ける剣なりー、的な何か。


「コンセプトはビックグレイ?」


「ちゃうわボケ、黒でもなく、白でもなく!」


はーい、なんだかんだでロールプレイしそうな考え方じゃね?

それは今後の楽しみということで。



・神官ジオ

「ウチはこの外見に一時間かけた」

でかーい、説明不要っ。

剣士もワリとでかかったんだが、この坊さん、すごく・・・大きいです。

まさに巌とでも言わんばかりの造詣です。

Q:なぜそうも大きくなられたのですか?

A:生まれを呪います

納得した。

というか、体がでかくなるだけで、なにかお得な効果は・・・?

「ああ、体力限界突破ですがなにか? あと、実は一回目で当たり引いて、もうひとつ生まれ効果付きましたがな」


「貴様も勝ち組ぢゃねぇかーーー!」


ここにハッピーバランス崩壊。

畜生、癒しマニアに癒されないのはどういうことだっ。


「でも侍さんや? 考えてもみて欲しい。 狭い洞窟とかあったら、ウチは入れなくない?」


「ああ、それは地味に不幸やもしれん」


一長一短あったんだなぁ。

ひとまずは皆の待ち合わせに便利な体格素敵、という方向で。

あれ、そういや流しちゃったけど、坊さんの、もうひとつの生まれ効果ってなにさ?


「なんか親がギルドのお偉いさんなんで、ギルド員としてのランクが高位スタート、だそうです」


あっれ、坊さんが一番の幸運保持者じゃね?


自分、嫉妬マスクかぶるべきじゃね?



・格闘家レザード

「見てくれ的になんか変わったの出たんでもったいない」


ここぞというときに面白いの引く格闘家キャラ。

あれ、その、なんだ。

上手く言葉が出ないんだが、お前のキャラって・・・


「なぁ、キャラクターデータどっから引っ張ってきたんだ? 出るゲーム間違えてるんじゃないかレベルで美形じゃね?」


ああ、それだ、流石剣士、自分が言いたいことを言い切ってくれた。

あと、中性的なんで女といえば女キャラにも見える気がする。

そう、なんか格闘家のキャラ、本来いじれなさそうな部分まで整った、プロ仕様? NPCデータ? 

集まった時は初期装備のフードかぶってたんで顔分からなかったんだが、一皮剥けばあら美人さん。


「ああ、なんか、器用さボーナスの呪いみたいなヤツらしい。 外見の数値が人間限界突破するんで、特別外見の完成品キャラが選択された」


「ちょ、なにこの子、スターウォー○オンラインのジェダイみたいな扱いかね?」


「あー、面倒ごとに絡まれそうな予感がするねぇ、わちきも」


なんというか、ゲーム内だけですめば良いけど・・・的なのは勘弁願いたい。


「レアな生まれを引いた分、厄介なマイナスが付くわけね・・・あれ、もしかして自分、実はハッピーだった・・・?」


小さな幸せ探しだったら、もうハッピーエンドですね?


「まぁ、周囲三軒大火事の中、お前さんに飛び火しない確率を考えると良いかもな?」


「自分結局アンハッピーエンドですか。 袖擦り合うも多少の怨」


「他生の縁、な。 それにまだ始まってもいねぇよ」


・・・ん、あれ・・・ってことは・・・


「んじゃ剣士さんは、自分に降りかかるマイナスってわかってるん?」


「いあ、正直分からん。 特にはそういうアナウンスは無かった、と思う」


「んー、案外、武芸者みたいなのに挑戦されやすくなるとか?」


貴殿、出来るな! 拙者と死合うていただき申す! ちょいやさー!


「ちょいやさー、は、流石にわちきでも、どうかと思う」


「うい、自分も流石に猛省」


古式ゆかしい「チネー」にすべきであった。





そんなこんなで。


メスキャラ作成云々は・・・・まぁ仕方ない、追加キャラ作成が出来るようになったらで!


「じゃ・・・ひとまずパーティ組んで始めましょー」


さぁさ、ようやく・・・ゲーム、スタート。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ