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03 逢瀬
その後、その人とは、公園でよく会うようになった。
足を向けているのが僕なので、僕が会いに行ってるから彼女に会えている、にすぎないんだけれど。
僕と会っていない時の彼女が、何をしているのかは知らない。
分かる事は、僕が行くと必ず彼女がその公園にいるという事だけ。
消失病にかかった人は、お腹がすく事もない。眠りたくなる事もない。
生存に必要な欲求も、消えてしまうようだった。
彼女はまるで良くできた人形のように、いつもただ、その公園に佇んでる。
日によってはブランコに座っていたり、滑り台にのぼっていたりと、細かい違いはあるけど。
行くといつも、必ずその公園に彼女はいた。
この世界では、ゆっくりと人が消えていく。
後に残るものなんて、きっと最後には何もない。
それなのに僕は、今日も彼女に会いに行った。
一体、どうしてなのだろう。