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01

スターワールドフェス。

それは四年に一度開催される世界最大の魔法少女の祭典。

今年はトウコ達が居る国が開催国となる。

この祭典では幾つかの競技が行われるが、その中でも特に注目を集めているのは美しさを競う美部門と、強さを競う武部門。

各部門はそれぞれ各国から最大三名まで出場が可能で予選を経て決勝を行う。

トウコ、ミリア、ツバキの三名は武部門に出場するも、ツバキは予選で敗退してしまった。

そして、スターワールドフェス武部門の予選が終了し、本戦が開始された。


本戦初日はウサカ国のベル対ウキョウ国のオリビア戦でオリビアが勝利。

二日目はウサカのネール対ミリア戦でミリアが必要以上にネールをボコボコにしてミリアの勝利。

三日目はナガワ国のモミジ対ヤーギ国のルリカ戦で本戦常連国であるモミジの勝利。

四日目はナガワ国のノール対ロシマ国のリリルーヌ戦でこれまた順当通り本戦常連国であるノールの勝利。


そして、フェス武部門の本戦五日目、トウコとウキョウ国のシエラとの試合が始まった。


シエラは攻撃魔法を得意とする魔法タイプの魔法少女でウキョウ国代表ナンバーツーだけあって相当強い。

今までトウコは魔法タイプの相手とは、まともに戦ったことが無かったので苦戦を強いられてはいたものの、まだ本気を出してはいなかった。


「では、そろそろ本気でいきますよ。すぐ終わらないで下さいねっ!」


そう言うとシエラはトウコと距離を取った。


「おう。お前の本気を見せてみろ!」


まだ本気を見せてはいないシエラに内心若干の焦りを感じていたトウコだが攻撃魔法に備え身構えた。

シエラもまたトウコの言葉に対し、その余裕と底が見えぬ強さに焦りを感じていたのだった。


シエラは無数の魔力弾をトウコ目掛けて発射。

それに対しトウコは両手に(けい)を集中し流れるような手さばきで魔力弾を全て跳ね返した。


「ぐぬぅぅ、ならばこれではどうですかっ!」


シエラは悔し気な表情を浮かべながら次の魔法を発動。

すると突然、トウコ目掛けて闘技場の床から二つの鎖が飛び出してきた。

しかし、それもトウコは察知し華麗に避けたが、更に二つの鎖が飛び出し、トウコの左腕と左足に絡みついたのだった。


「うおっ。動かねえ…」


トウコの左手足は拘束され身動きが取れない状態になった。

更に間髪入れず、上空から無数の魔力弾がトウコ目掛けて襲い掛かってきた。


「マジかよ。おい、マジックレジストだ」


流石(さすが)のトウコも片方の手足が封じられた状態で魔力弾を(さば)くのは面倒と判断し、ポン太に魔法を使うよう指示。

トウコ自身は魔法が使えないなんちゃって魔法少女だが、ポン太はトウコのサポートキャラで魔法が使用可能。


「マジックレジストの効果時間は一分じゃぞ?」


「んな事は分かってるから早くしろ!」


「インターバルは五分じゃぞ?」


「分かってるから早くしろっつってんだろがっ!! アホかーっ!!!」


ポン太が当てにならないと判断したトウコは魔力弾を避けながら(けい)で拘束魔法の鎖を破壊。

(さば)く事が出来なかった魔力弾は闘技場の床を破壊しトウコの周りには土煙が立ち込めた。


約一分ほど続いた攻撃は収まったかのように見えた。


「マジックレジストを発動したのじゃ」


「今更発動してどうすんだよっ!! アホかーっ!!!」


トウコが言い終わると同時に、突然トウコの周りは炎に包まれ、更に雷や氷塊がトウコに襲い掛かって来た。


「うわっ。これって…マジックレジストが無かったらヤバかったよな…?」


「死んでおったな」


「いや、死んでたのかよ! 流石に遊んでて負けたとか洒落にならんな…」


トウコは魔法が使えない上に魔法に対する耐性も無い。

魔法による直接攻撃、精神攻撃、状態異常等はまともに受けてしまうが、それらは(けい)を使う事により対応する事が出来る。

しかし今回の様に周りが見えない状態で、何処から来るか分からない攻撃魔法に関しては、その限りではない。


「これで死んだはず…」


シエラはトウコを殺すつもりで攻撃魔法を放ったが、土煙が晴れトウコが無傷と知ると愕然とした。


「殺す気かっ!」


トウコはシエラに向かって叫んだ。


「蘇生スペシャリストのSランク魔法少女が待機しています。なので安心して死んで下さい!」


「ほう…じゃあ俺が本気を出しても問題無いって事だな」


そう言うや否やトウコは一瞬でシエラとの間合いを詰め掌打を放った。


「だからあなたの行動パターンはお見通しって言ってるじゃないですか!」


シエラは例によって防御魔法を発動し、トウコの攻撃を無効化。

だがトウコは更に発勁(はっけい)で防御魔法を破壊した。


「えっ!? う、嘘でしょーっ!!」


「予測出来ても対応出来なければ意味が無いな。こっからは俺のターンだ」


トウコはシエラの腕を掴むと(けい)で半身を麻痺させ、腹部に掌打と共に更に(けい)で内臓破壊を行うとシエラはその場に倒れたのだった。

今まで圧倒的有利に戦っていたはずのシエラが突然倒れると会場は歓声が止まり一瞬静まり返った。

次の瞬間、シエラが負けると言う番狂わせに会場は一気に歓声に包まれた。


そして、トウコの勝利宣言がなされ、この戦いの幕は閉じた。


次の日。


六日目はウサカ国のグロリア対クオカ国のチェスカ。

この戦いの勝者が次のトウコの対戦相手となる。

試合はグロリアの圧勝で終わったが、その時トウコは食べ歩きに夢中になっていた。


・・・


トウコとルミラはまだ食べ足りず、皆と別れて二人でうろうろしていると、背後から声を掛けられた。


「ひょっとして、トウコさんですか?」


振り向くと二人の若い女性が立っていた。

トウコは返事をするも全く心当たりが無かったので考えているとポン太が以前トネシンの食堂で会った魔族と教えてくれた。

トウコはルミラに説明しようとルミラを見ると、ルミラは青ざめた表情をしていた。


「ト、トウコよ…こやつらは魔族だ」


「ん? ああ、前にどっかの食堂で会った食いしん坊魔族だな。えっと…名前は…」


彼女達は魔族のムディーとマルー。

二人もまた世界中の食べ物の食べ歩きを行っていた時に偶然トウコを見かけて話し掛けたのだった。


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