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「鞍川は、仮面バイカーに、憧れで、焦がれていて、当時、俺たちは齢も若く、仮面バイカーを演じるのは成人した大人だった…。
まさしく、鞍川は、仮面バイカーシリーズの正義の主人公たちを己の、お兄ちゃん的に見て、応援して応援して、熱くなって……そして、20年前に仮面バイカーV1が、テレビでスタートする…主人公V1バイカーを演じていたのは、…」
「深見さん、です。今も大河ドラマとかで、バリバリ活躍中…V1を演じていた時は35歳でした…。」
「そうなんだよな…そして、V2に、なったのが…」
「…当時、19歳の僕ですけど…。」
「…鞍川、悔しかったんだとよ…ついに、歳下仮面バイカーが出てきたことにな…。」
タケルは、何か腑に落ちず、言う。
「…でもですよ、でも、それって、みんな、いつか、そうなるんですよ!テレビとかのメディアで活躍する人が己より若い人に、なっていく!!それって、当たり前じゃないですか!?」
「…それでも、鞍川は、当時、自分より年下の、お前が、バイカーV2に、なったことが無性に悔しかったんだ……で、それを振り払うように、鞍川は、がむしゃらにがむしゃらに働いて、今の鞍川がある…。」
タケルは一瞬、言葉に詰まる。
でも、立川に言った…。
「ウ、ウィンウィンの関係だ!僕と鞍川さんは、ですね…僕は栄光のV2を演じれた、それを見た立川さんも励みになって、…」
「タケル!……近年、おまえ、老けたよ…本当に老けた…。」
僕の背中に冷たい汗が流れた…。