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9話 

「あ、ホントだ! ってか、なんか前よりキモくなってね?」


「それな。さすがブス担当だわ。ブスのくせに、眼鏡外して髪型も洒落ちゃってさー。普通にキモくね?」


──振り向きたくなかった。


それが現実なんだと思いたくなかった。なんでこんなときに、佐藤(さ とう)さんたちが――ここに……。


すると、隣にいる悠斗(はる と)くんが私のほうを見てくる。


「あの人たち、宮ノ森(みやのもり)さんの友達?」


――友達。


佐藤さんたちが友達……? ううん。そんなはずない。私と彼女たちの関係は「友達」と呼んでいいほど美しい関係じゃない。


「……ちがう」


どうにか、言葉を振り絞ることができた。それに、脚がなんだか震えてきた。


たぶん、佐藤さんたちが実際にここにいることを私が現実だと受け入れ始めたんだ。


「おーい、ブスー! アタシらさー、金もうないんだわー。今度会ったときに返すから金貸してくんねー?」


私が貸しても一度だって返してくれたことなんてなかったくせに。


――今の私なら、佐藤さんたちに、勝てるかな。


こちらに近づいてきた佐藤さんたちに私はおそるおそる睨みを利かせてやる。


「何その目、キモいんだけど~!」


隣には、悠斗くんもいる。彼は私が守らなければならない。


私は恐怖で今にも震えあがりそうな身体を、どうにか抑え込もうと試みるが……


「うーわ、ウケるんだけど〜! なんかこいつ変な目つきしながら震えてね?」


そしてケラケラと笑う不愉快な声。


ダメだ、睨みを与えて怯ませるどころか私のほうが怯んでしまっている。


すると、私の後ろから出てくる影があった。


「あの、僕たち今忙しいんでそれ以上は話しかけないでもらえると助かるんですが」


「は? 誰あんた? 今アタシとそこのブスとで話しあってる最中だから割り込んでこないでくれる?」


逃げて、悠斗くん。佐藤さんたちは口だけじゃなくて手も出してくる、とその言葉が声になることはない。


「いや、それは話し合いじゃなくて恐喝だと思うんだけど」


その悠斗くんは今まで私が見てきたどの悠斗くんにも当てはまらなくて。その声のトーンには微かに怒気が孕んでいた。


「ちっ」


佐藤さんが悠斗くんの言葉を聞いて舌打ちだけを残し、私たちの元から去ろうとしたその時。


「……なっ。捕まれ、た……」


その衝撃の光景とともに遅れてやってきた佐藤さんの声に私は思わず耳を疑ってしまう。


それもそのはず。何故か私の目の前では佐藤さんの片足が宙に浮いていて、悠斗くんがあろうことか片手でその脚を掴んで持ち上げていたのだ。


「このままこの脚を上に持ち上げ続けてあげてもいいんですよ」


「……わかった、離してくれ」


流石にスカートを履いている佐藤さんは自分のスカートの中が公の場で晒されると思いそれが嫌だったのか、悠斗くんに自分の脚から手を離すことを要求した。


「いや、それじゃダメだ。もう宮ノ森さんにちょっかいをかけないことを約束するんだったら離してやる。それと、謝れ」


佐藤さんはさすがに男の子相手に喧嘩で勝てるわけがない、と思ったのかその悠斗くんからの提案に「わかった」とだけ返事をした。


宙に浮いていた脚が悠斗くんによって下ろされると、佐藤さんがボソッとその場で「すいませんでした」と言った。


「違う、俺じゃない。宮ノ森さんに謝れ」


一瞬、佐藤さんが不機嫌そうな顔をした。そして「ほら、あんたらも」と佐藤さんが言うと、その場にいた他の二人の女子も合わせて三人で私の前に来てくれた。


けれど、三人とも私の前まで来ても私に目線を合わせずに


「すいませんでした」


「すいません」


「すまん」


と言っただけだった。


「いや、そんな謝り方でいいわけないだろ。 謝るときはちゃんと心を込めて誠心誠意謝れ!」


すると、三人はしぶしぶといった感じで私に頭を下げ始める。


「「「すいませんでした」」」


仲がいいからなのか三人の声が見事に揃った。


すると、悠斗くんが「それでいい?」といった感じで私のほうを見てきた。


「ありがとう」


私がそう発すると、佐藤さんが「行くぞ」とだけ言い、三人は私たちから逃げるようにその場をそそくさと後にした。私が彼らのことを目で追っていると──


「はあ……緊張したー」




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