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8話

「ねえ、今日私を遊びに誘ってくれたのはなんで?」


「……なんか怒ってる?」


「ううん。別に怒ってはないけど……」


 たしかに、心なしか少し怒っているような口調になってしまった感は否めない。


「ちょっと不安で……」


「不安?」


「あっ、ううん。気にしないで」


 咄嗟に私の口から出た『不安』という言葉。


 その言葉を発した瞬間、私の中でどこかピンとくるものがあった。


 ――そっか。私は不安なんだ。


「あの、質問してもいい?」


 悠斗(はる と)くんの真剣な声音に私は


「うん。なに……?」


 隣を歩いている悠斗くんは一度間を置いたあとに


「僕を振った理由って、ホントに恋愛に興味がなくてってことでいいんだよね?」


「? どういうこと?」


 悠斗くんが言いたいことはなんとなくわかっていた。でも、私はそれが本当に彼の質問したことと同じことなのか途端に不安になり、私は悠斗くんに質問を聞き返していた。


「……えっと、なんていうか他に好きな人がホントはいるんじゃないかな、って思って……」


 ドキリとした。悠斗くんには気づかれてる。……どうしよう。でも、「私、パパが好きなの」なんて言ったら、ドン引き間違いなしだよね? だからといって、もうこれ以上彼に嘘をつくのはよくないし。


「……やっぱり、他に好きな人がいるんだよね?」


 悠斗くんがこう訊いてきた以上、ここはもう、素直に認めるしかないよね。


「うん。実は……そうなの」


 けれど、どうしてもパパが好きということは絶対に知られたくなくてつい言葉を濁してしまった。って、なんで悠斗くんは驚いたような表情をしてるの!?


「……あ、着いたよ」


 悠斗くんは自分が驚いている顔をしているのに自分でやっと気づいたのか、それを誤魔化すように目の前にある電光掲示板の前で謎の「着いたよ宣言」をした。


「えっ。というか、ここが目的地なの?」


 私が「どういうこと?」という視線で悠斗くんの顔を見ると、彼が口を開いてくれる。


「うん。あのさ、宮ノ森(みやのもり)さんって明日誕生日だよね? だから、誕生日プレゼントをあげたいな、と思って……」


 ──驚いた。


 たしかに、明日の私の誕生日がらみのことなんだろうな、とは思ってはいたけど。まさか、誕生日プレゼントをくれるだなんて。私は悠斗くんからの告白も振ってしまったわけだし、私たちは付き合っているわけでもないのに……。


「――して、私に、そんな……の」


「うん? ごめん。もう一回言って」


「……どうして、私に、そんな優しくしてくれるの……?」


 すると、悠斗くんは優しい声音で答えてくれる。


「それは、宮ノ森さんが、優しいから……」


「えっ、私が……?」


 私は、悠斗くんに優しいと思われるようなことをしただろうか。


「宮ノ森さんが優しいから――僕もそのお返しを少しでもしたいな、と思ったんだよ。それに……好きだし」


「……」


 咄嗟に、悠斗くんになんて言ったらいいのかが思いつかなかった。


「ありがと……」


 私の口から出たのはそんなありふれている言葉だったけれど、それは自分が言われたら凄く嬉しい言葉でもあった。


「うん……それでさ、この電光掲示板は全部の階の店が調べられるでしょ? だから、……まずはここから宮ノ森さんが買ってほしいものを探し出してもらえたらいいかなーと思って」


「本当に、いいの? 私なんかに誕生日プレゼントなんて――」


「僕がいいって言ってるんだからいいんだって! ほら、遠慮しないで選んで」


 強い子だな、と素直に思った。私だったら……――いや、改めて考えてみるとそうでもないのかも?


「わかった、ありがとう。それで、欲しいもの……」


 目の前にある電光掲示板を一通り眺める。


 うーん、私の欲しいもの――なんだろう。流石にコスメを男の子に買わせるのは違うし……。


「ごめん。もうちょっと悩ませてもらってもいい?」


「うん、全然いいよ。そのために、今日は一緒に来てもらったんだし」


 すると、遠くから聞き覚えのある声がする。


「あっれぇー、あれってブス担当の宮ノ森じゃね?」




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