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63話

 さすがに不安になり、沙也加(さやか)に連絡をしようとしたところで──


(はるか)!」


 声が聞こえたほうに振り向くと、なんだか疲れ果てた様子の沙也加の姿があった。


「遅れてすまん!」


 沙也加が謝罪をしてきたので、私は首を横に振る。


「ううん。全然大丈夫」


 と、沙也加が私の顔を見たまま固まっている。


「どうしたの?」と訊ねると、はっと我に返ったような顔つきになる。


「……いや、お互い大変だよな、と思ってさ」


 なぜそう思ったのかはすぐに分かった。おそらく、私の顔に疲れが溜まっているのが見て取れたからだろう。


 ただあえてそれを口にしなかったのは、沙也加なりの配慮なのだと思うことにした。




 私は久々にいつもどおりの日常に戻ったような気がしていた。


 いつもどおりの通常授業を終え、いつもどおり二人で談笑をしながら家までの帰路を歩く。


「もうすぐテストなんて嫌だよ〜」


 久々に沙也加に愚痴をこぼしたい気分であったため、そう漏らしたけれど沙也加からの反応はイマイチだった。


「……だよなー」


 いつもなら沙也加から振ってきてもおかしくないような話題なのに、全然乗ってくれないのはなぜだろう。


 それに、答えるまえに一瞬沈黙があったのも気になるところだったりする。


「テストが好きになっちゃった?」


 そう冗談交じりに訊ねてみても「んなわけないじゃんか」といつものキレがない。


 やはりドッチボールでの件を沙也加なりに気にしているのだろうか。


『今日はあたしンちのほうに来てもらってもいいか?』と沙也加が学校を出るまえに言っていたのもなんでだろう……。


「もうすぐあたしの家だな」


「え? うん。だね……」


 おかしい。様子がおかしすぎる。


 けれど、沙也加が自分から言ってこないことを私のほうから無理やり聞き出すようなことはしたくない。


 ──なら、沙也加がかつて私に言ってくれた言葉をかけよう。


「あのね、沙也加。私に全部を包み隠さずに話して、とは言えない。でも、もし困ってることがあるんだったら、いくらでも私を頼ってほしい」


 すると、沙也加が突如として笑い始めた。


「……こわいよ沙也加」


「だってよ! あたしが前に言ったものほぼそのままパクってんじゃねえか!」


 笑いながら喋っている。沙也加にいつもの笑顔が戻ってきてホッとした。


 と、沙也加の家の目の前まで着いた。


「色々とありがとな。今日は遥にあたしの家まで送ってほしい気分だったんだ」


「全然大丈夫! また明日ね」


 私が沙也加に手を振りながら言うと、沙也加が家の扉の前でわかりやすいほどにすっと顔を曇らせた。


「遥は……あたしと会った頃に比べると随分と成長したと思うぞ」




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