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59話

 彼の言葉によって私の中の答えが歪み始める。


「だから頼む!!」


 先ほどの沙也加(さやか)と同様……と言っていいのかはわからないけど、気持ちは違えど型は類似したお辞儀が私の前にはあった。


 彼の震える手がゆっくりと前に差し出される。


「……」


 ――どうすれば。


 いや、でも――ここで私が沢西(さわにし)の告白を承諾して彼と付き合ったら。悠斗くんの告白を振った理由が無くなってしまう。


 この震えている手を断れる勇気が私にはあるのか。


 沢西と付き合ったら、私のパパへの気持ちはどうなるのか。


 こうやって迷っている時点で、私はすでに浮気の一途を辿っているのかもしれない。


「……ありがとう。でも、ちょっとだけ考えさせてほしい」


 すると沢西が何とも言い表せない表情をしながらくっと顔を上げた。


「一週間以内に答えを出すから、それまで待ってくれると嬉しいんだけど……」


 そして沢西はころりと表情を変えた。


「わかった! 全然待つぜ! 宮ノ森(みやのもり)が納得できる答えが出るまで俺はいくらでも待つから、ちゃんと考えてほしい」


「うん。そうさせてもらうね」


 緊張の殻が解けたのか、いつもの沢西の調子に戻った気がする。


「ありがとな。……宮ノ森はこのまま体育館に戻るか? 俺は戻るぞ!」


「私は行きたいところがあるから、そこによってから向かう。また後でね」


「おっけー、じゃあ後でな~!」と言いながら沢西は体育館の方向に歩いていってしまった。


 沢西の背中を見送りながら、ぼんやりと思ったことがあった。


 私ももうそろそろ答えを出さなきゃだよね……。




 久しぶりの沙也加との帰り道。


「結局沙也加のチームが優勝しちゃったんだもん。凄すぎるって」


「ま、まあな! あたしがいれば百人力ってもんよ!」


 私たちの間にはぎこちのない空気の中で会話が交わされていた。


 それと同時に、私の中で言うか言わぬか迷っている案件が一つあった。


「あのさ沙也加」


「うん? どうしたんだ?」


 それは少し前に行なったドッチボールで、私たちと沙也加のチームで戦ったときのこと。


「私たちのチームとドッチボールで戦ったじゃない?」


「お、うん」


 心当たりがあるのか、少し戸惑い気味の沙也加。


「そ、そのときにさ!」


 やっぱり言わないほうがいいだろうか。……いや、でも! これは今後の私たちの関係も考えると言っておきたいところだし、話始めたときの沙也加の反応を見ると自分でも気づいているんじゃなかろうか……。


「私に……私に対して手を抜いたでしょ……」




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