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55話

私のほうに飛んできたボールは、見事に私の身体の中心へと吸い込まれていった。


それが落ちないように両腕を、赤ちゃんを抱え込むようにしてボールに添える。


「……やったっ!」


自分でも思わぬ結果に、遅れて喜びが漏れた。


「おぉー、(はるか)ナイスじゃなねぇか!!」


まさかの相手チームである沙也加からもお褒めの言葉を預かる。


「あ……ありがとっ……!」


キャッチしたものは沙也加(さやか)が投げてきたボールではなかったものの、嬉しかったことに変わりはない。



「よっしゃー! イエーイ!」


そう言って沢西(さわにし)が私にハイタッチを求めてきたので、私もそれに応えるようにして彼のその手にパンッと自分の手を叩いた。


私の可愛い可愛い弟の風(ふう)くん、お姉ちゃんやったよ……。


届かないことを知りながらも、心の中で風くんにお礼を述べた。


「行くよ、沙也加!」


周りの人たちのお膳立てもあってか、自分のテンションが完全にピークに達している。


スポーツをして、ここまで気持ちが高ぶるのは何年ぶりだろうね……。


「あっ……」


けれど身体はそう簡単には変わらないもの。


私が投げたボールは見事に相手チームの人、ノールック男子の身体に届く前に、地面にワンバウンドしてしまった。


彼は平然とそのボールを取る。そして彼がそのボールを投げようとした瞬間――


「……くっ!」


なんと、沙也加がノールック男子の前に躍り出てそのボールを遮った。


「どういうつもりだ」


強い口調で彼が言ったものの、沙也加は物怖じすることなく毅然とした態度で言い放った。


「これ以上、他の奴には遥を狙わせない」


「ふざけてんのか」


思いがけないハプニングに審判もどうしたらよいかわからずに慌てふためいている。


「まだこっちは三人も残ってる。それに比べて向こうは二人。このままいけば、時間制限がきてあたしらの勝ち。違うか?」


すると、少し黙ったあとにノールック男子が悔しそうに言葉を漏らす。


「それはそうだが……」


「だろ? なら、慌てる必要はねえじゃねえか。それに、遥じゃなくてもう一人の男子を狙う方法もある」


「……わかったよ」


まだ不満はありそうな様子のノールック男子ではあったけど、何とか事態は解決したようだった。


でも、沙也加……私は――。


「残り五分です」


審判が先ほど慌てふためいていた人物とは思えないような声の張り方で発した。


沙也加が何事か合図をし、ノールック男子がしぶしぶ沙也加にボールを渡す。


それからというもの、私にボールを飛ばしてくるのは沙也加だけになった。それもおそらく本気の投球ではない。だって、この私でもキャッチできるほどのものしかなかったから。


違う。私がして欲しいのはこんなことじゃない。




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