50話
咲島が放ったボールが相手チームの女の子の身体に当たり、そのままこちらのコートに向かって横に跳ねる。
「キャッチお願い!」
女の子が叫びながらそのボールを追いかけ「了解」と相手チームの男の子が返事をするのと同時に──なんと、両チームの陣地を分ける中間線の少し上を跳んでいるボールを、自分の後ろに向かってレシーブした。
「は?」
咲島の驚きの声とともにボールはそのまま女の子の少し後ろの位置で勢いを止め、その位置で待ち構えていた男の子が落下後のボールを見事にキャッチした。
「なんだあれ!」
興奮しながら、沢西が声を上げる。
「すごい……」
悠斗くんはそう漏らすのがやっとだったみたい。
「俺たちもあれやろうぜ」
「……無理」
沢西がガッカリする横で、咲島は未だに目を丸くしている。
そしてそう思ってる間にも、相手チームの男の子からボールが飛んできているのが見て取れた。
「……っておい!」
沢西が声を荒げた。それもそのはず。なぜなら咲島が沢西の後ろに隠れるなり彼の身体を盾を扱うかのように自分の身体の前に持ってきたから。
「……っぶね」
それでも沢西はボールをキャッチすることに成功した。
その後も互いのチームの攻防戦が続き、相手チームは他の競技をやっているのではないか、と錯覚させるほどにどの場面でもレシーブを駆使してボールをキャッチしていた。
けれど沢西が放つボールだけはどうやら例外らしく、レシーブをするとボールが遠くに飛んでいったり、普通にキャッチしようとしてもそのほとんどでボールを取りこぼしていたように感じた。
「試合終了です!」
ピッピ―と笛を鳴らしたあとに審判が言った。その時点でこちらは沢西と悠斗くんが内野に残っていた。
「まずは一勝できたね。次の対戦相手は『サイダース』だって。友達が戦ったみたいなんだけど、強すぎて完敗しちゃったみたい……」
「完敗って……?」
そう聞きながら、私の中では当然のように彼女の姿が思い浮かんでいた。
「相手チームの内野を一人も当てることなく負けちゃったうえに、開始三分と経たずに決着がついたって言ってた」
「そのチームと俺たちは次の試合で戦えるってことか!?」
テンション上がった沢西が嬉しそうに訊いてきた。
すると、姫川さんが突然口を開いた。
「申し訳ありませんがその試合、ワタクシに内野をさせていただくことはできませんか」
そしてすぐに思い当たる。姫川さんも沙也加と勝負がしたいんだって。
沙也加なら、絶対に外野ではなく内野で出場してくるから。
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