48話
「あっ……黒いね」
そう。思わぬことに私の目の下には大きなクマができていたのだ。
そう思っていると咲島が彼女の手を、私の手のひらに当てた。すると手のひらに何かの固体が当たる感触が伝わってきた。
「……?」
私が疑問に思っていると――。
集合場所である体育館に着くと、そこにはすでにたくさんの生徒たちが集まっていた。
普段はなんてことない場所のはずなのに、いつもより立派に見えるのはなぜだろうか。
「やばい。緊張してきた……」
「そんな固くなんなくて大丈夫だって! 咲島は対戦相手を確認しに参ります!」
そう言うや否や咲島は靴下のまま走っていってしまった。
――昔からそうだ。高校でできた友達に初Rineを送ったとき。授業中に音読の番が私まで回ってくるとわかってしまったとき。私たちのクラスがなぜか合唱コンクールに出場すると決まり、その本番の数分前。
出来事の大きさに関係なく、毎回何かをするまえにはドクドクと心臓の脈打つ音が早くなっていくのを感じる。
「姫川さんは緊張、ある……?」
お尻を体育館の地につけながら靴ひもを結んでいる姫川さんの隣に座り、疑問をぶつけてみる。
私がバッグから体育館履きを取り出していると、隣で微笑みながら応えてくれる。
「ありましたわよ。けれど、あることをきっかけに緊張はしなくてもよいもの、という価値観がワタクシの中に埋め込まれましたの」
「ある価値観って?」
「最初の対戦相手は『安森サーカス団』だって! しかもあと七分後!!」
話の途中ではあったけど自然と声のしたほうに振り向く。すると、いつの間にか受付を終えて私たちの元に戻ってきていた咲島が最初の対戦相手を教えてくれていた。
といっても、その対戦相手のチーム名を聞いたところでそれ以外の情報を得られるわけではないけど。……えっ! あと七分!?
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