41話
「先生、教室はここではありませんわよ」
姫川姫川さんが落ち着いた声音で言った。
「いや、別に教室の場所を間違えてここに来たわけじゃない」
「そうなのですか?」
姫川さんの、本気で先生が間違えてこの教室にきたのだと思っているのがすごく伝わってくる反応だった。
「さすがのポンコツ先生でも、こんだけ教師生活をしていれば、自分の教室は間違えないぞー」
わかりにくすぎる……。だって、先生の教師歴のことを知らないから。
私だけが知らないだけで、実はみんなは知ってたりするのかな……?
そう思い、みんなの反応を見てみる。けれど、誰一人として納得している様子はなかった。
「そうか。私の教師生活のことなんて話したことなかったなー、すまんすまん」
先生がそう言いながら、顔の前で両手を合わせて「いただきます」と同じ手の形を作った。
「先生、来てくださってありがとうございます〜!」
気づけば咲島が席を立って先生の真ん前まで来ていた。
先生と咲島の身長だとほんの少しだけ咲島のほうが背が高いんだな、となんとなく思った。
「大丈夫だ。それで、このメンバーで全員か?」
先生のその言葉で、今なぜ先生がここにいるのかがわかってきた……。
「はい! これで全員です!」
咲島がそう言うと、先生が一枚の紙を鞄から出してきた。
「よし。じゃあ、ここに代表者はチーム名とクラスと名前。他の人は、自分のクラスと名前だけを書いてくれ」
「わかりました!」
咲島が先生の手から直接その紙を受け取ると、それを机の上に置いてポケットに刺さっていたペンで書き始めた。
「名前はこれでおっけーっと。そいえば、チーム名決めてなかったねー」
私たちのほうを見ながら、咲島が言った。
「どうしよっかー」
その咲島の言葉に最初に返事をしたのは、やっぱり彼だった。
「スクリュードランゴンズとかはどうだ!?」
「……ごめん。否定もしたくない」
沢西の提案に、咲島は一呼吸置いたあとにげんなりしながら発した。
「沢西のはありえないとして。でも、チーム名か〜……」
この場にいるみなが思っているであろうことを咲島が代弁してくれた。……たった一人を除いてはだけど。
「誰かいい案思いついた人いる?」
咲島の問いと同時にみながお互いの顔をちらちらと伺い始める。ひとりひとりが「あなたはどう?」とそれぞれ暗に訊ねているのが見て取れる。
「私が決めてやってもいいぞー」
「えっ! 先生が……ですか?」
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