40話
「姫川に言われたくないっての! お前の授業中の笑い声怖すぎだからな」
ひ、否定できない……。沢西の言葉に頷いてしまいそうになるのを必死に堪える。
「そ、それとこれとは別物ですわ!!」
何とも言えない。
「悠斗くん。ごめんね、騒がしくて」
「全然大丈夫だけど」
というか、そもそもなんで集まったんだろう?
「そんなことはどうでもよくて! 今日このメンバーを集めた理由は他でもありません」
咲島が張り切って言うと、言い争っていた姫川さんと沢西が彼女のほうを向くなり、黙り込んだ。
「はい。では、このメンバーは何のメンバーでしょうか! ハルさん、お答えください」
「球技大会のドッチボールに出るメンバー……」
なぜか不安に駆られながらも、咲島のその問いに答えた。
「正解! じゃあ、そのドッチボールに出るメンバーが今この教室に集まっている理由はなんでしょう? 沢西!」
「はい! わかりません」
と、次の瞬間、沢西がビクッと身震いしたように見えた。
咲島のほうを見てみると、彼女が沢西を思いっきり横目で睨んでいた。
「か、顔合わせるのためです!」
震える声で答える沢西がちょっと面白い。
「微妙〜。なんでそんな微妙な答えを出すんだ、沢西!」
「いや、それは俺のせいじゃないだろ!!」
「ちっ」
沢西が声を荒らげる。
「おい!! 今、舌打ちしただろ!」
そんな沢西に落ち着き払った声で咲島が一蹴する。
「耳がキーンって鳴るので、静かにしてください。怒鳴らないでください。大声を出さないでください」
「クソ野郎─────!!」
「私が野郎に見えますか?」
このままだと沢西が帰ってしまうんじゃ……。
「咲島、進めて」
私の真意が咲島に伝わったんだと思う。
「ごめん、言いすぎた」
咲島がそう一言だけ発して彼女はその先の言葉を繋げる。
「ちなみに、どう? みんな、ドッチボールは自信ある?」
その問いに最初に答えたのは、姫川さんだった。
「ワタクシはあまり自信がないですわ。小さい頃からテニスは嗜んできましたが、それ以外の球技はからっきし、と言ったところでしょうか」
「そっか〜。水口は?」
「僕も球技はあんまり得意じゃないかな。そういう咲島はどうなの?」
私も気になっていたことを悠斗くんが変わりに訊いてくれた。
「私は……どっちだと思う?」
今まで一緒に体育の授業をやってきたところから推測をすると……。
「気持ちわり。どんだけお前は私のことかまってちゃんなんだよ」
体力測定、バドミントン、サッカー、ヨガ……あとは──。
「イタっ!」
「乙女に『気持ち悪い』なんて禁句ですわよ」
すると、沢西があからさまに嫌な顔をした。
それにしても……一緒にクラス委員をやっていることもあるんだと思う。ここまで姫川さんとやり合えるのは沢西しかいないと感じてしまう。
「来てやったぞー」
突然、扉のほうからここにいる誰の者でもない声が耳に届いた。
「……!」
驚きのあまり声が出なかった。
人間、ビックリしすぎると声を上げることすらできないのだと、改めて思い知らされる。
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