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36話

「とりあえず……そこにでも座ってくれる?」


人懐っこい笑顔をこちらに向けながら、保健室の先生が言う。


「は、はい……」


その笑顔がとっても可愛くって不覚にもドキッとしてしまう。おそらく、男の子なら即オチ間違いなしだろう。


「久々に可愛い女子が来てくれて、とても嬉しいわ」


「……?」


「確かに、高校生ぐらいの男子はみんな可愛いんだけどね、それでもやっぱり女子にしか出せない本質的な可愛さってものがあるじゃない?」


そういうものなのかな……。私にはいまいちピンとこない。そこまで深く考えたこと、なかったなー。


その考えが表情に出ていたのだろう。


「今は分からなくても、そのうち分かるわよ。……それより、あなたがなんでここにいるかは分かる?」


うーん。自分がここにいる理由……。美術の時間に沙也加(さやか)が教室に入ってきたことに興奮してしまって、なんかこう、ぐちゃぐちゃな感情になってしまったのは覚えてる。あ、そうだ。


「先生。ここに私を運んできたくれた人は誰なんですか? 私、自分でここに歩いてきた記憶はないんですけど……」


先生は首を捻らせながら、顎にそっと手を添えて「う~ん」と考え込む。


「ごめんなさいね。名前は覚えていないわ。……でも、名簿表がここにあるわね」


「ちょっと待ってね」と言って先生が椅子から腰を上げた。


その間に時計に目を移す。と、先生がすぐに戻ってきた。


「ここに名前が書いてあるわ」


そう言って、先生が硬い板とともに紙を手渡してきた。


「一番下のその他の欄のとこ。あなたの名前が書いてあるところの一番右よ」


手渡しながら、先生がそう告げた。


「ありがとうございます」


それを受け取り、先生の言われたとおりに一番下の『その他』という欄に目を通す。


「あれ……?」


名前が違う。念のため紙全体をザっと見てみるけど、どこにも『尾仲沙也加』という文字は見当たらなかった。


ただ……いや、さすがに偶然だろう。


「先生。名前って、これで合ってますよね?」


先生は少し戸惑いの表情を浮かべながら「そうよ」と言った。


頭の中が徐々に真っ白になっていくのを感じる。


(はるか)ちゃんが探してたのは、その名前じゃなかったかしら?」


私が納得いっていないのに気づいたのかもしれない。


「……はい。思ってた名前と違くて……」


そう発しながらも、もう一度一番下の『その他』という欄に目を落とした。


「そう……それは残念ね。ちなみに、遥ちゃんはなんて名前を探してたのかしら?」


先生には関係のないことのはずなのに、先生まで悲しそうな顔をしてくれている。


「『尾仲沙也加(おなか さやか)』って名前を探してたんですけど……知らないですよね?」




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