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20話

「「失礼しまーす」」


 私たちがノックをしたあとにそう発すると、先生からの了承の返事が聞こえた。


 悠斗(はる と)くんがガラガラと扉を横にスライドしてくれる。


 すると、目の前には数多のオフィスデスクが映り、その椅子に座って慌ただしく何かの作業をしている先生たちが飛び込んでくる。


 その光景に圧倒されながらも言葉を紡ぐ。


田島(た じま)先生の机は、どこにありますか?」


 すると、私たちの体育の先生が「そこだよ」とその方向に向けて指差しをしながら教えてくれた。


「ありがとうございます」


 とその先生に向けて言いながら、私たちは指差しされた席の前まで移動する。


「これ……だよね?」


 隣に顔ごと向けながら言うと、


「うん、たぶん……」


 悠斗くんが少し不安そうな声音でそう言った。


「君たち、何を頼まれたの?」


 いつの間にか私たちの横にきていた体育の先生が、優しさを感じさせる微笑みで私たちに訊ねてきた。


「えっとー、名簿表を忘れたみたいで……」


 悠斗くんが私が言おうとしていたことを代わりに先生に伝えてくれた。


「名簿表なら、これで大丈夫だよ。はい」


 そう言いながら、悠斗くんに机の上にあったその『名簿表』を渡してくれた先生。


「これいる?」


 そう発した先生の手の平の上には謎のキーホルダーが乗っていた。


「何ですか、それ?」


 すると、先生は頭をポリポリ掻きながら今にも「参ったなー」とでも言いたげな表情になった。


「俺さ、北海道に週末旅行に行ったのな。それで、そのキーホルダー買いすぎちゃって渡す人に困ってたから、良かったらもらってくれると嬉しいんだけど……」


 私はもう一度先生の手のひらの上に目を向けてみる。


 そこには、地図で見たことのある北海道の形をした緑色のキーホルダーに『北海道』という文字がそのまま書かれていた。


 なんでこのキーホルダーにしたんだろう?と先生のそのセンスに少し疑問を抱いていると


「あ、ありがとうございます」


 隣の悠斗くんが何故か嬉しそうな顔をしながらそのキーホルダーを手に取った。


 私だけが断るのも先生に悪いよねー、と思い、私も先生の手のひらの上に乗っているそのキーホルダーをしぶしぶ受け取ることにする。


「私も、もらいますねっ! ありがとうございます!」


「いや〜、よかったよかった。うちに置いていてもしょうがないからな。もらってくれてありがとな」


 そして私たちは『名簿表』と未だによくわからないキーホルダーを持って教員室を後にした。


 


 五時間目が終わり、帰りのホームルームが始まった。


「えー……急遽これは決まったことなんだが、来週の金曜日丸々一日を使って球技大会をすることになったー」


 どこか気の抜けた声で言う先生をあとに、教室内に一気にざわめきが伝播した。


「おっ。ってことは、金曜日の授業が全部潰れるってことじゃん。ラッキー!」


「え〜。ウチ球技苦手なんだけど〜!」


 など様々な聞こえてくる感想を聞き流しながら、私は隣の悠斗くんに訊ねてみることにする。


「ねえねえ。悠斗くんは、球技得意だったりする?」


 すると、どこか退屈そうな顔をしながらこちらに振り向いた悠斗くん。


「いや、あんまり得意じゃないかな……」


「そ、そっかー……」


 自分で訊ねたのはいいものの、その悠斗くんからの返答に、私はどう答えたらいいのかがわからなくて困ってしまう。


「はる……宮ノ森(みやのもり)は?」


「えっ。わ、私? ――私は、ある程度ならできる、と思うけど……」


 中学のときは、私があまりやったことない球技ばかりだったから、微妙だったけど……じゃなくて! 悠斗くん、今私のことを――。


 と、私がスポーツをできることによっぽど驚いたのか、悠斗くんがあからさまにビックリしたような顔つきになっている。


「ちょっと失礼じゃない!?」と私が言うと、


「あ、いや! そういう意味じゃなくて!普通にすごいなー、って思って……」


 あやしい〜、と思い私が悠斗くんの顔をじーっと見ていると――


「ホントだって! 信じて!」


 そのいじらしさに免じて、私は悠斗くんを信じることにした。


「「……」」


 あれ? 今気づいたけど教室内がすごく静かになってる……。


「仲が良いのは喜ばしいことで先生も例に漏れず嬉しいんだが――今は授業中だから少しは慎めよー」


「「はい、すみません」」


 私がそのハモリ具合に驚き、悠斗くんのほうを再び見ると彼もちょうど私のほうに振り向いたところだった。


「ホント仲良いなー」


 そう言いながら、何故か先生が羨ましそうに私たちのほうを見ている。


「まあいいや」


 そう言ってから、先生はなおも続ける。


「それでだ。――君たちには、球技大会の種目を今から決めてもらおうと思う」




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