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12話 

「えっとー……それは、その、宮ノ森(みやのもり)さんが宮ノ森さんのお父さんのことを、本気で好き、ってことだよね……?」


 さすがに悠斗(はる と)くんでも、自分の同級生の女子が本気で父親を好きだなんて信じられなかったのかもしれない。


「そう」


「お父さんと、本気で付き合いたいってこと──だよね……?」


「そう」


「「……」」


 お互いに気まずくなってしまい、私たちの間には沈黙が落ちる。


 けれど、私たちの脚が止まることはなく、目の前にはショッピングモールの出口が見えてきていた。


「私ね、中学の頃は眼鏡をかけてて前髪もぱっつんでザ・根暗って感じだったの。だから、見た目も今とは全然違くて、クラスに伝達事項だけを喋る人はいても、友達と呼べる人は誰もいなくて――」


 ふと隣を見ると、私の隣を歩いている悠斗くんの横顔が見える……と思っていたけれど、彼は聞き上手なこともあってか私のほうをちゃんと向いてくれていて、私と悠斗くんの目がバッチリと合った。


「でね、……って興味ないよね」


 目が合った恥ずかしさを紛らわすようにそう言うと、悠斗くんは無言で首を横に振った。


「……じゃあ、続けるね。それで私には友達と呼べる人がいなかったんだけど、ある日を境に私はクラスの一部の集団の、いじめのターゲットになっちゃって――」


 何故だろう。沙也加しか知らない私の思い出したくないはずの過去。なのに、今はなぜだか私のほうから他人にそのことについてペラペラと喋っている自分がいる。


「でもね。その時に私を助けてくれた子がいるんだけど、その子は今でも私と仲良くしてくれてて――実は高校も一緒で、もしかしたら悠斗くんも知ってるかもしれない子なんだけど……」


 って、なんで私、悠斗くんにこんな話してるんだろう。


「ごめん。ちょっと自分でも話の終着点が見えなくなっちゃった。ただ、そういう過去があったってことを悠斗くんにも伝えておきたかったの」


「その、宮ノ森さんを助けてくれた人って、男子?」


 と、悠斗くんが口を開いた。


「ううん、女の子だよ。尾仲 沙也加(おなか さやか)っていう子なんだけど、知らない――よね?」


「……知らない、と思う。顔を見たらわかるかもしれないけど」


 そうだよね。まあ、知ってたからって「あー、あの子ね」で終わりそうではあるけれど。


 と、私たちはショッピングモールの出口を通過した。


「ねえ、これからどうする?」


 悠斗くんは一瞬迷った末に、


「もう時間も遅いし、帰ろっか。宮ノ森さんの家まで送るよ」


「そう? なら、お言葉に甘えて。あと、私も悠斗くんって呼んでるんだし悠斗くんも私のことを遥って呼んでいいよ」




「ただい――ってママ」


「あ、お帰り、遥」


 私が家の扉を開くと、ちょうどそこにはママが立っていた。


「そういえば、遥。明後日のバーベキューの件なんだけど、いつも朝、遥と一緒に学校に登校していってる子も誘ってみれば、と思ったんだけど。沙也加(さやか)ちゃん? だっけ」


 バーベキュー。……そう、私たちは明後日の日曜日に久々に家族でバーベキューでもしに出かけよう、ということになっていたんだけど──


「わかった。誘ってみるね! でも、いいの? 家族だけで行こうとしてるのに」


 すると、ママは迷う素振り一つ見せずに、


「いいのよ~。遥のお友達もママとパパなら大歓迎よ! その沙也加ちゃんって子がどんな子なのかママも気になってたし」


「わかった、ありがとー」


 ただ一つ、懸念点がある。




 私は弟の部屋のドアを二回、ノックした。


(ふう)くーん! 開けていいー?」


 すると、すぐにドアが開いた。


「なんか用?」


 やっぱり、最近の風くんは口調が少し不良っぽい。


「あのさ! 明後日に、家族みんなでバーベキューに行くじゃない? それで、私の友達も連れて行きたいな、と思って……ダメ、かな?」


「別にいいけど」


「え、ホント?」


 風くんは呆れ気味に返事をする。


「うん」


「やったー! ありがと、風くん! 風くんこそ彼女を連れてきてもいいんだぞ~?」


「……」




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