プロローグ
太古の人類も今の人類と同じくらい頭痛に悩まされていたのだろうか――。
ストレスや環境汚染、太陽風など、人類を取り巻く環境は日々変化する――。
ひょっとすると、未来の人類は今以上に頭痛に苦しむのかもしれない――。
トウゥルルルル……ゥゥゥルルル。
クリーム色に黄ばんだビジネスホンが鳴り響くと眉間にシワを寄せ教頭が受話器を取る。
「はいーもしもし」
いや、学校名ぐらいは名乗れよと誰も指摘しない。なぜならば教頭先生だから。どこの学校でも教頭は校長より偉い――。
『……すみません。今日も頭が痛いので休ませてもらえますか』
受話器からは弱々しい女性の声が聞こえる。
「またかね」
教頭はなかば怒りながら受話器を握る反対の手でコードをクルクル人差し指に巻き付けて解くのを繰り返す。
『申し訳ございません』
「頭痛薬とかは飲んだの? 効かないの」
『飲みました。でも治まらないんです』
「病院へは行ったのかね」
『はい、行きました。風邪薬と頭痛薬を処方されました』
「ちゃんとそれ飲んだの」
『はい』
大きくため息をつく。
「あんまり言うとパワハラだのセクハラだの言われるから言わないけどさあ、先生が新学期始まって早々学校を連ちゃんで休んでどうするの」
『……』
「……明日は必ず出てきなさい。いいかね」
『はい』
ガチャンっと電話が切れ――教頭はため息をついた。
「二年二組はいったいどうなっとるんだ」
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