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1年後は出会って、野心満々な彼女と内心のすでに死んた彼、もうなくて昔ように理解し合うこ

           01 すべての初め

「王女殿下、今討伐獣人国の戦争の重要な会議に関してしています。申し訳ありませんが、お邪魔できません」

「どいて!」

 王宮の大広間の扉は押し開けられて、少女は大広間に入っていった。

 長いまつげ、宝石のような碧い瞳、小さな鼻、とても可愛い顔、唇は春の桜の花びらのよう。すらりとした柔らかさの体、磁器のような真っ白で滑らかな肌。一番魅力的なのは彼女の銀色の長い髪。腰に銀髪が垂れ、彼女の足並みに合わせてゆらゆらと揺れている。

 夜の空の川のようだ。

 その女の子の名前はサン・ルイーズ・クミル、今の国王の娘で、王国の第三王女。

「美貌と知恵が集まった」と言われたクミルは、今も精巧で美しい顔の上に笑みを浮かべていない。

 クミルの乱入で、大広間の貴族たちは討論をやめ、彼女に目を向けた。

「クミル姫殿下だったのか。先日他国を訪問されたと聞きましたが、こんなに早く帰ってくるとは思いません。お疲れ様でした」

 若くて格好が良い貴族がクミルにお辞儀をした。しかし、クミルは彼をちらりと見ただけで、それを無視した。

 彼女の目標はただ一つ、玉座に座っている男だけだった。

 男は四十代に見え、瘦せていたが、目は明るかった。華やかな服装をし、頭には宝石と金でできた王冠をかぶり、目に見えない威厳を漂わせていた。

 彼は王国の国王であり、そしてケミルの父。

「父上、会議を中断して申し訳ありませんが、重要な相談があります」

 毅然とした態度のクミルを見て、国王はため息をつき、勝手に手を振った。

「君たち先に出てくれ」

「わかりました、王様」

 貴族たちは次々と大広間を離れ、国王とクミルだけが残った。

「・・・・・・予定より早く帰るね」

「最後の国を訪問する予定を取り消した」

「外相の君がこんな馬鹿なことをするとは思わなかった。この事のためなら、わが国の名誉は・・・・・・」

「問題はそれじゃない!」

 たまっていた怒りが言葉とともに胸から解き放たれ、空気と混じり、大広間に漂ってる。国王の言葉も途切れた。彼は少し不満そうに眉をひそめた。

「・・・・・・教えでくれ、父上。どうして私が他国を訪問している間に、本国は獣人国に戦争をするの!?」

 獣人国は王国の隣国であり、獣人が支配する国である。もちろんその国民の大多数は獣人。

 この時にあって、扉は開けられて、二人の男は大広間に入った。

「クミル、父皇の決定に何か不満があるのか!」

「それに、さっきの口ぶりは無礼すぎる!速く父皇に謝れ!」

 かれらは国王の息子たちで、クミルの兄たちであった。

 クミルも自分の不手際に気づき、あわてて謝った。

「大変申し訳ありませんが、父上、さっきは私が焦っていたのです。許してください」

「まぁ、いいの。理由を教えてあげるよ。君が他国を訪問している間に、獣人国の兵士がわが国の国境を越えて、村を襲撃し、人々の食糧と家畜を奪い、さらには死傷者を出た」

「そんなこと・・・・・・」

 その言葉を聞いて、クミルは青ざめた顔をした。

「反応を見たら、わからないでしょう?」

「・・・・・・開戦の知らせを知って、急いで駆けつけて来た。理由は・・・・・・聞かなかった」

「ふん、みっともないね」

「・・・・・・父上」

 クミルは片膝をついた。

「お願いします、少し時間をください。獣人国の王と交渉しましょう」

「こんなことが起きたとしても?」

「何か誤解があるのではないかと思ったから。獣人国は建国以来、わが国と良好な関係を保ってきた。彼らの領土では食料を大量に生産することができず、狩猟もままならないので、食料や必需品を大量に購入した。他国は獣人を排斥し、獣人国と国交を結んでいない。だから、わが国だけに頼ることができる。国境を越えて村を襲撃したら、その結果が何になるかわかっているに違いない。誰かに指図されて、そんなことをしたのだろう」

「誰に指図されたの?おかしいね。あの畜生は腹が減ったから、こんなことをしたに違いない。それだけだ」

 第一王子はクミルを見て、吐き捨てるように笑った。

「クミル、君が獣人に好意的なのは知っているが、それは彼らを贔屓する理由ではない」

 第二王子も妹への不満を吐露した。

「そして、獣人国との戦争には、国内の大多数も賛成してた。この事件の后、獣人に対する国民の不満が爆発した。ここ数日、獣人を討つために、民衆は何度も行進した。現実を見てクミル、みんなが君のように獣人に差別をしないわけじゃない」

「・・・・・・でも、でも・・・・・・」

 クミルは納得できないように頭を下げ、唇を噛んだ。

 国王が複雑な目でこちらを見ているのも、よく見えなかった。

「陛下!」

 年老いた貴族がなぜか大広間に入ってきた。彼は何か悪いことが起こったかのように、ひどく慌てている。

「陛下、たった今前線から連絡がありました。昨夜、獣人国大量の刺客が国境を越え、夜陰に乗じて軍隊を襲撃した。無防備で多くの死傷者が出た。その中には辺境伯の息子もいた」

「あの畜生たち!そんな卑怯な手段を使うなんて!絶対に許せない!」

 第一皇子は怒りをあらわにした。

「・・・・・・違う。どんな手段を使ってでも勝利するのが戦争だ。俺たちが甘かった」

 第二皇子は現実を受け入れながらも、悔しそうだった。

「辺境伯の息子・・・・・・たしか、この戦争の指揮者だったのだろう」

「そうです、陛下」

「前線の様子はどうなってる?」

「軍隊は国境まで引き返して負傷者を治療した。辺境の侯爵は自分の息子が殺されたことに激怒し、息子の仇を討とうとする」

「皮肉ね。この戦いで自分の子供に戦功をあげてもらおうと思っていたのに、まさかこんなことになってしまったとは・・・・・」

 国王は額を手でこすり、混乱した状態のクミルを目で見た。

「・・・・・・クミル、君はすぐに前線に出て、今度の戦争を指揮しろ」

 混乱していたクミルは国王の言葉を聞いて、信じられないという顔で顔を上げた。

「・・・・・・私が?」

「父皇、どうして彼女を行かせたのか」

「父皇、クミルには無理だと思いますので、もう少し考え直してください。俺も長兄も彼女よりは似合ってた」

「感謝してくれ、クミル、君にチャンスを与える」

 国王は皇子たちの言葉を無視した。

「・・・・・・チャンス?」

「君はずっと獣人と人間の間の溝を取り除こうとしていたが、今はそれが不可能に見えた」

「・・・・・・」

「この間も大部分の民衆は、あなたが獣人に積極的だったことに不満を持っていた。自分の立場を伝えるために行動する必要がある。そうでなければ・・・・・・君の夢を叶えることはできない」

 国王の言うことが正しいことをよく知っていた。人々の中で自分の地位と名声を守るために、彼女は選択しなければならなかった。

 数年後の王位選挙で重要なことだ。

「確かに、君にとって選択は難しいだ。なにしろ、君は獣人に人気があって、彼らから見れば聖女のような存在だから。もし戦場で獣人を敵にしたら、相手はきっと悲しむでしょう」

「・・・・・・分かりました。行きます」

 クミルは顔をしかめ、両手をしっかりと拳にしていた。

「どうやら君はすでに考え、選択をしているようです。今から準備をしましょう。遠からず、勝利の報を聞て欲しい」

「・・・・・はい、父上。それでは失礼します」

 クミルは国王にお辞儀をすると、身を翻して去った。

 彼女の背後で、大皇子は欲しいものを奪われたかのように不機嫌な顔でこちらを見ていた。第二皇子は冷たい顔をして、ただ両手をぎゅっと握っていた。

 そして彼女の父である国王は、冷たい目で彼女を見つめている。

 罠にはまった、必死の獲物を見つめているようだった。
















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