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怪化物  作者: 平生
第二章
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第二十四話

 休み時間を挟みそのまま次の時間も文化祭の内容について話し合うことになったのだ。とは言ったものの決めることと言えば各自の役割とそのシフトぐらいであろう。メニューなどは後々に決めていけば良い。


 そしてここでウェイターをやるのは当然一人は決まっている。KOHしかいない。ウェイターは文化祭定番である喫茶店の中でも花形だ。そこにはキレイどころが集まってくる。ここでは男女均等に選ぶ必要があるのでKOH軍団の中の女子は全員駆り出されることになるだろう。そして、KOH自身はと言えばKOH軍団が彼を推薦するだろう、さらに、KOHも元隠キャの癖に自己顕示欲が高いためやれやれと言いながら受けること間違いなしだ。ウェイターなどは当日に楽しむ時間が減るだろうから別にKOHの顔がカッコよくなくても反対するような者はここには一人もいない。


 問題は他の男子だ。このクラスにも美形はいる。だが、そう言う奴らに限って彼女持ちなのだ。彼女と過ごす時間を確保するためにはウェイターなどと言う面倒な仕事はやっていられない。全力で部屋の飾り付けを狙いに行くだろう。そしてそれは怠惰な生徒も同じだ。ここに凄まじい競争が起こるだろう。


 もうお分かりだろうか?そう。ここでジャックは……部屋の飾り付けの役職に就くことができたのだ。そして、蔦根もその役職に就くことになった。他8人程いるがそんなのはどうでもいいであろう。ジャック的には友達が一人同じグループにいるだけでだいぶ楽なので嬉しく思っていた。蔦根は着々と階段を上っていた。


◇◇◇


「波山君。輪っかを作って」


「了解。じゃあ狼讐は折り紙持ってきてくれ。均等に切ってくれよ」


「はーい」


 あれから三週間ほどが経ち、いよいよ文化祭まであと一週間となった。先週からHRの時間も増え、準備を行う時間もどんどん増えていった。その結果、会場の完成の兆しが見えてきた。壁紙などを張り替えたりしなければならないがそれは文化祭前日でも間に合うので今は小道具を作っていた。


 一方、料理班も順調に進んでいた。オムライス、ナポリタンやビーフシチューなどの試作品を作っては改良したりするなど至高の領域を目指して日々研鑽していた。そのせいで会場にかける資金が減ったのは否めないが雰囲気よりも味を重視しようと後付け、現実逃避とも取れる意識をクラス全員が持っていた。


 KOH軍団の接待はと言えば全く順調に進んでいなかった。服などはそれぞれの手持ちの物で揃えたので問題はないがそれぞれがどのシフトで行くかで揉めている。大いに揉めている。


 KOH軍団での内戦では飽き足らず、男子生徒も巻き込んで争い続けている。練習そっちのけに口論している姿を見ると腹が立っているのは他の生徒の共通認識なのだが誰も彼らを注意することはない。KOH軍団と関わると碌な目に合わない。今後の学校生活か一回切りの文化祭かで問われたら誰もが学校生活を選択する。委員長キャラでもそう選んだからこそのこの状況だ。


 この状況を打開できるのはKOHただ一人。等のKOHはと言えば目の前の軍団が争っているのを「僕のために争わないでくれ!」などとふざけているようにしか見えない状況だった。ただKOH本人はこれを自身の本心から言っている。争って欲しくないのは本当だし、早く準備を進めなければと焦ってもいる。だからこそのこの状況だ。


 そんな茶番劇にしか見えないKOH軍団をジャックは一瞥した後に作業へと戻った。主人公なのか?と思えなくもないが実質このクラスでの主人公はKOHだ。だから、大丈夫だ、問題ない。


◇◇◇


 とうとう明日が文化祭本番となった。


「波山君。そっち持って」


「了解」


 蔦根とジャックが最後の仕上げとして作ってきた壁紙を貼っていた。描いたのは二人ではなく、今遠くから眺めている美術部に所属していた女子が一人で描いた。その出来栄えが非常に良く、これだけで金を取れるレベルと美術部顧問も絶賛する程だった。実際、これだけの存在感が凄まじくその他の飾りを撤去するかどうか本気で話し合った程だ。だが本人の希望で残すこととなった。本人いわく、「この作品はその他の作品があるからこそ引き立つんだよ。確かに一つでも目立つかもしれないけど他にもあることによりさらに際立つよ」だそうだ。


 ジャック達には絵のことなどさっぱり分からなかったが本人がそうだと言うのであればそうなのだろうと思いそのままにした状態にした。自分達の努力の結晶を使わないと言うのはなんだかテンションが下がるから体裁を保つための態度なのだがそのことは装飾班のみの墓場まで持っていく約束事であった。実にくだらない。


 料理班は悟りを開き無言で料理を作り続けている。手書きになったのはコイツらのせい。ただものすごく上手くなっている。スムーズな準備、調理、連携どれも完璧だ。だからこそ憎めずにいるのだが。


 一方、ウェイター班はと言えばすっかり様になっていた。たった二日の練習だと言うのにもう物にしたようだ。


 二日前、とうとう堪忍袋の尾が切れた委員長がKOH軍団にカチコミを仕掛けた。KOH軍団は委員長に対し敵意を向けたのだがそこに颯爽と駆けつけたのはなんと…………モブAであった。モブAは自分の身を盾にしてひたすらに罵倒を受け続けると恍惚とした表情で倒れた。その姿を見るとKOH軍団の口撃が一瞬止んだため委員長が一気に攻勢に出て一網打尽にした。


 今回の件でモブA君は失ったものは大きい。そして、得たものは何もなかった。否、一時の欲望を満たすことは出来たので良かったのであろうか?


 そんなこんなで完成した一年A組の出し物が出る文化祭が始まろうとしていた。

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