第十話
ジャックは都内某所で監禁されていた。
「ンンンンンン!」
「何を言っているのか分からないけどやっと起きたみたいね」
「ンンン!ンンンンン!」
「少し待ちなさい。貴女には聞きたいことがあるから」
少女はそう言うとジャックの猿轡を外した。
「僕をどうするつもりだ!?」
ジャックは取り乱したように叫んだ。当然だ。彼は今まで真面目に生きてきたのだ。賞賛されることはあっても捕縛されるようなことなど彼自身にはなかった。
「さっきも言ったように神木ユイについて聞くだけよ。貴方は怪しいから。当然、私の望む答えが得られないのならばその答えが出るまで聞き続けるだけだから覚悟しなさいね」
「……それは僕が何も知らなくてもお前が納得しなければ続けるってことか?」
「そうよ。私が納得するまで拷問は続けるわ」
ジャックはこの状況でも打開策は十分あると思った。上司の阿修羅が異常性を察知したらすぐに駆けつけてくれると考えたからだ。
「さて、じゃあ貴方、神木ユイを知ってる?」
「知らないよ」
答えた瞬間に何かが千切れる音がした。
「ア゛ア゛ア゛ァァァァァァァァ!!!!!」
「爪を剥がしたわ。怪物因子持ちならこれくらいで死なないから大丈夫よ。そもそも普通の人間だってよっぽどのことがない限り死なないんだから」
「ウ゛ゥゥゥゥゥ……」
ダクトから吹く風が剥がされた指に当たるたびに決して軽くない痛みを感じた。
「じゃあもう一度聞くわ。神木ユイを知ってる?」
「し、知らない……ア゛ア゛ア゛ァァァァァァァァ!!!」
また一枚剥がされた。一枚目ほどの痛みはないものの痛いものは痛い。ジャックはそのような責苦を少なくとも8回は受けなければならないことを考えると気がおかしくなりそうになった。
「質問を続けるわ。答えなさい」
「知らなイ゛イ゛イ゛ィィィィィィ!!!!!」
「答えなさい」
「知らないって言ってるだろオ゛ォォォォォォォォォォ!!!」
「答えなさい」
「知らア゛ァァァァァ!!!」
「答えなさい」
「知らない……ア゛ァァァ!……」
「反応が鈍くなってきたわね。まぁとりあえず全部剥がしてから考えましょ」
「貴方は神木ユイを知っていますか?答えられない場合は残りの爪4本全てを剥がします」
「知らない!ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!!」
ジャックは同時に4枚の爪を剥がされてしまった。その結果あまりの痛みにショックで気絶をしてしまった。
「気絶しちゃった。起きなさい」
「ウ!ウゥゥゥゥゥ……」
だが少女の攻勢は止むことはなかった。意識を手放すことすら許さなかった。顎を蹴り上げ強引に起こしたことによりジャックの顎は粉砕されてしまいまともに喋ることすら叶わなかった。
「じゃあ質問を変えましょう。神木ユイを殺した人を知っていますか?」
「知らない……」
当然知らないものは知らない。ジャックは神木ユイと言う謎の人物が死んだことをたった今知ったからだ。だが、馬鹿正直に生きていると不幸に見舞われることなど至極当然だ。
「怪物因子持ちは心臓を潰さなければ死なないのよね。なら」
「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!!」
今までで一番大きい絶叫を上げた。腕を持ってかれたのだから当然だ。
「さて、もう一度」
「うーん、ゴメンゴメン。すっかり忘れてた」
「まさか無垢に捕まっているとは思わなかったわ」
「本当に申し訳ない!1日経っているなどとは口が裂けても言えまい!」
「なんで言うんだよ!」
こんなギャグみたいな独り言を言うのは世界でも1人しか存在しないだろう
「あ、阿修羅さん……」
「あれぇ君を監禁していた娘ってどこ行った?外から見かけた時にはいたんだけどなぁ」
「し、知りません……」
「ふーんまぁいいや。とりあえず拘束具解くね。それと結構時間経ってるよねぇ。本当に1日くらい経ってたりはしないよね?ってあれ?気絶しちゃったよ。そりゃそうか。こんな怪我してるんだもん」
阿修羅は怪物因子の力を使いジャックの右腕を体にくっつけた。しかし、爪以下の大きさの怨霊を所持していないため指が10本共先端は見るに耐えない惨状になったままだった。
「さて戻りますか。後で怪物因子使わせれば爪なんていくらでも治るんだし放置だね」




