コント『換気扇の修理』
業者「すいませーん(ドアを強めに叩く)。先ほど連絡をいただいた換気扇修理の田中と申しますー」
住人「あー、はいはいはい(ドアを開ける)。インターフォンあ業者りますよ。見えなかったですか?」
業者「すいませーん。インターフォンあるなぁとは思ったんですけど、ちょっと汚くて押したくなかったです」
住人「普通はそういうのオブラートに包んで言うけどね」
業者「あ、すいませーん。インターフォンあったんですねぇ。気付かなかったです」
住人「今さら遅いよ。本音垂れ流した後だとどうにもならないから。まあいいや。とりあえず中に入って」
業者「お邪魔しますー。一か八か聞きますけど、土足でもいいですか?」
住人「いいわけないよね」
業者「僕、先週までアメリカにいたんですよ」
住人「急になんだ」
業者「もう1回だけ聞きます。土足でもいいですか?」
住人「変わらないね。例え君がアメリカ人だったとしても靴脱がして入れるね」
業者「えー! 僕がレディーガガだとしてもですか?」
住人「なんだそのクソみたいな例え話は。 まずレディーガガに換気扇の修理を頼まないんだよ」
業者「確かに!(爆笑) レディーガガにスパナは似合わないですよね!(爆笑)」
住人「とりあえず早く換気扇を直してもらえないかな!」
業者「じゃあお邪魔しますねー(手を使わず雑に靴を脱ぐ)」
住人「シンプルに行儀が悪いよ。まあいいや。この換気扇なんだけど…。今朝からうんともすんとも動かなくてねぇ」
業者「あー、これですか。もしかして何年か前に1度変えてます?」
住人「え、分かるの? 実は5、6年くらい前かな。1度変えてるんだけど」
業者「まあプロですから、このくらいは。見たところこの家は築10年ぐらいですよね。この換気扇の型はそれよりも新しい型だと思うので」
住人「お、頼もしいねぇ。最初は不安だったけど、ちょっと安心したよ」
業者「任せてくださいよ。僕が同僚からなんて呼ばれてるか知ってます?」
住人「なんて呼ばれてるの?」
業者「田中さんです」
住人「普通だね」
業者「または給料泥棒です」
住人「最悪だね! 再び不安しかないよ。え、君、給料泥棒って言われてるの?」
業者「恐縮でーす」
住人「帰ってくれ」
業者「いやいやいや何で!」
住人「お前みたいなやつは換気扇どころか何にも直せはしないよ!」
業者「そういう意味の給料泥棒ではないですから!」
住人「元来給料泥棒とはそういう意味なんだよ!」
業者「仕方ないですねぇ。値引きしますからそこをなんとか。このまま帰ると部長にモンゴリアンチョップされるんですよ」
住人「なんだその天山みたいな部長は。まあ、一応聞くけど、値引きするといくらになるのよ」
業者「元々が7万円でしたので、これはどうですか?(5本指を立てる)」
住人「5万円? まあ結構安くはなるねぇ」
業者「いえ5万円ではなく」
住人「流石に5000円とかはやり過ぎよ。ちょっと引くレベルだから。逆に怖いよそれは」
業者「6万2千円で」
住人「その手はなんだったんだよ!」
業者「片手が塞がってるもんで。5本しか指がありませんでした(工具箱を持ってる)」
住人「馬鹿が! その手の指も詰めてやろうか!」
業者「腕は確かなので。腕は」
住人「はー。もう他の業者に頼む気力もないから、後は進めてくれるかな」
業者「あざーす。では作業のほうさせていただきます。終わったら呼びますので」
住人「じゃあお願いね」
業者「あ、1つだけいいですか?」
住人「なに?」
業者「修理道具を会社に忘れちゃいました」
住人「じゃあその手に持つ工具箱はなんだよ!」
業者「あ、これは2段弁当として使ってるんですよ」
住人「やっぱりもう帰ってくれ!」