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宇宙漂流記  作者: 夜神 颯冶
タイムクライム  
17/17

12:50

 

それを聞いて少年がますますむきになったのは

言うまでもない。



「人と話すときは、まずベールを脱げよ」



ぶが悪いと思ったのか、

言いがかりのような角度から攻める少年。



おいおい、インドの女性にベールを脱げと

言うのは、衣服を脱げと言ってるような

ものじゃないのか!?



彼女は逡巡しゅんじゅんするようにしばし少年を見つめたのち

ベールを手で上げるような素振りをすると、

その動作に合わせ口元くちもとに浮かんだベールが

ハンカチーフのように空中をただよっていった。



脱ぐのね。



最近はインドもグローバル化が進んでいるようだ。



流されるように浮かんだベールが徐々(じょじょ)

大気に飽和ほうわし溶けるように消えていった。



オーロラが消えていく瞬間はきっと、

こんな感じなんだろう。



アラジンの魔法がとけた先には、

飴細工あめざいくのように繊細せんさいな美女が顕現けんげんしていた。



黒糖こくとうで出来た飴細工あめざいく



その美しさにしばし言葉を失ったのは、

僕だけではなかったようだ。



床に座り込んだままの少年もしばし、

言葉を失っていた。



そんな魔法を冷ますように、

遠くから声がかけられた。



「ユソン、ダメだよ」



そう言ってこちらに駆けてくる小太りの少年がいた。



皮下脂肪ひかしぼうが子豚のように可愛かわいく揺れていた。



それを見た女性が小さくつぶやいた。



西遊記さいゆうき・・・」



猪八戒ちょはっかい孫悟空ソンゴクウ!?



彼女のたとえは、えてして言いえているが、

ただ僕が沙悟浄さごじょうでないない事を祈った。


こちらに駆けて来る猪八戒マスコットもとい、

少年を見ていた孫悟空もとい、盗人がつぶやいた。



「ちっ!フーゴか・・・」



そう言っておもむろに立ち上がった少年に、

駆けて来た少年が話しかけた。



「ダメだよユソン。あやまって」



「なんで俺が悪い前提ぜんていなんだよ!」



「違うの?」



そう言って見つめる少年に、

盗人少年はぶが悪そうに言った。



「わかった、わかった。

 謝ればいいんだろ!

 悪かったよお姉さん。

 それにそっちのあんちゃんも」



そう言うと少年は、

小太りのフーゴと呼ばれた少年をって、

っていた。



「まって僕、息があがって・・・

 ハーハーハーハー 」



引っ張られる子太り少年は息が上がって、

可哀想かわいそうなくらいふらふらで引っ張られて行く。



いつの間にかそんな僕達の一連の騒ぎは、

周りの人の注目のまとになっていた。



そんな様子を遠目に見ていた金髪の美少年が

つぶやいた。



「地球の重力に捕らわれた人間の

 あまるエネールギーは、

 この宇宙では暴走するのか。

 ・・・・・・興味きょうみぶかい 」



そうつぶやいた少年の名はゼノライズと言う。



【ゼノライズ・シュタビナイザー】


 ●月面都市出身。

 ●15歳。

 ●趣味、人間観察。

 


『ゼノライズくん、1点減点』



そう呟いたのはこちらも金髪の美丈夫びじょうふならぬ、

金髪の美女フェミナルである。



【フェミナル・F ・イーシャン】


 ●フランス出身。

 ●15歳。

 ●趣味、読書。



そんなやり取りを見ていた細身の背広紳士が

、二人のやり取りに割り込んだ。



「山猿に宇宙は早すぎたみたいだね」



そうキザっぽく言ったのは、

こちらも金髪のマッシモである。



【マッシモ・ヴァレンティーノ】


 ●イタリア出身。

 ●15歳

 ●趣味、ナンパ。



『マッシモは減点3』



そう言われたマッシモはあわてて弁明べんめいする。



「えっ!?

 3点って酷くないですかお嬢様マドモアーゼル

 こいつが1点で、なんで俺だけ3点」



『聞きたい?』



「教えて頂けますかお嬢様マドモアーゼル



『顔かな』


にっこり笑顔で答えるお嬢様。



「顔で減点って、お嬢様マドモアーゼルはS級。

 まあそこも魅力的なんだけどね、お嬢様マドモアーゼルは」



『マッシモ減点6』



「ノ─────────!?」



頭を抱え本気で落ち込むマッシモ。



そんなマッシモにお嬢様(フェミナル)が救いの言葉をかける。



『10点たまったらお仕置き』



にっこり笑顔で優雅ゆうがに美しく。



「お仕置きって・・・ 」



イタリアの血がそうさせるのか、

マッシモは目を輝かせ華麗かれいに復活した。



お嬢様(フェミナル)のその愛、

 かならずこのマッシモ受け止めてみせます」



ポジティブなのか変態なのか。



多分後者だろうが、このマッシモ黙っていれば美丈夫びじょうふで通用するのだが、しゃべると全てを大暴落だいぼうらくさせる残念な人である。



そんなマッシモの目のはしに、ロービーを

駆けて行く二人の少年の姿が一瞬映ったが、

すぐに興味を無くしてしまった。



このの目に映るのは、

うるわしき女性達のす、

美しき世界だけだった。

 

 

 

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