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地球より高度38万キロ上空。
世界初のコロニーは、
衛生軌道を約25日かけて周回していた。
普通の人工衛星が、
高度約36,000km辺りを約秒速7kmで、
地球を24時間かけて周っているのに対し、
その10倍近い距離を開いて、
このコロニーが回っているのにはわけがある。
その1つは宇宙廃材の存在である。
デブリとは、
宇宙開発で出た機材の破片などだが、
それは秒速何万キロと言うスピードで飛び交い、
当たれば爪楊枝ほどの破片でも、
ただではすまない破壊力をもつ。
このデブリの大きさから、
地球の周りを飛んでいるのは、
高度1万キロあたりまでで、
それ以上離れれば、
地球の重力の影響が少ないため、
そのほとんどが遠心力で、
宇宙の彼方に飛んで行ってしまうのだ。
このためコロニーが、
高度380,000kmに作られたのは、
デブリの衝突を極力減らすためである。
20世紀初頭に急上したこのスーペースデブリ
(宇宙ゴミ/機材の破片)も、
宇宙星間委員会の活躍もあり、
今では激減して2020年程度にまで減少して
落ち着いている。
宇宙空間平和利用委員会ガイドラインより
そしてもう1つの理由が、
コロニーの大きさである。
大きければ大きいほど、
重力に引かれる力は大きくなり、
地球に落下してしまうし、
遠すぎれば遠心力が勝り、
宇宙の彼方に飛んで言ってしまうのだ。
(ハンマー投げで回転すればするほど、
ハンマーは遠くに飛ぶ様に、遠心力が強いと、
コロニーは宇宙の彼方に飛んでいく。
逆に距離が近いと遠心力以上に引っ張られ、
コロニーは地球に落ちる)
例えば月も地球の衛生である。
その大きさと遠心力が釣り合う場所で、
地球の周りを周っているのだ。
(衛星の多くは地球の近くを回っている)
ただその距離は、
地球の周りを一周するスピードを下げれば、
遠ざける事も可能である。
スピードが下がれば、
地球から離れる遠心力が減り、
地球から遠ざける事も出来るのだ。
デブリ対策もありとにかくこのコロニーは、
地球から少し離れた場所につくられていた。
(地球の周りはデブりが多い)
そしてそのコローニー内は今、
時間をもて余した様々な服装をした生徒達で
溢れていた。
支給された制服は女性の競泳水着のように、
肌にぴったり張り付いた簡素なものだが、
(コローニー内は常に一定の温度に保たれ、
防温効果は必要ないため)
それでも色々な服装の人がいるのは、
この制服には好きなバーチャル服を、
立体映像で体の回りに表示できる
機能があるからだ。
中には浴衣や民族衣装の者もいる。
新しい服を買うときはモバイルから、
欲しい服を選びインストールするだけである。
この場合服は着るものではなく、
表示するもので、この時代の人間は、
服をリバイブすると言っている。