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題一話結集「新鮮組」

 俺は常々思っていたなぜ明治維新に立ち合えなかったのかと。

 

 俺も池田屋に攻め込みたい。なぜその時に俺がいなかったのか。そう思った俺はこのことを親


友の金田君に相談した。


「うん。じゃあ。僕たちで「新鮮組」を結成して池田屋に攻め込みましょう!」

 

彼は力強く宣言した。彼はメガネ君で、頭がおかっぱで背が低くてやせっぽっちの目立たない人


間だったが彼は俺が知っている中でこのときが一番輝いていた。

 

俺たちは「新鮮組」を結成した。俺が局長で、金田君が副長つまり土方役をやることになった。

 

そのためにはメンバーが必要だろう。金田君と相談したところやはり沖田役の人間が必要じゃな


いかということになった。沖田という人物は「新鮮組」の一番隊長でありその剣の腕のみならず


かっこいい容姿だったという。確かにビジュアル面も確保しておいたほうがいいだろうから俺た


ちは沖田枠を埋めるために協議することにした。


「まあその枠は俺が兼任してもいいが、確かにもう一人いてもいいかもしれないな」


「……。早急に探しましょう」

 

金田君は急に焦りだした。なんでだろうか。

 

俺たちは沖田役の人間を探すことにした。金田君が当てがあるというので付いていくことにした。


「あの人ですよ。窓際の後ろの方で話している人です」


 金田君の指の先に二、三人の男がいるのが見えた。その中で一際目立っている男がいた。茶色の長髪、目元はきりっとしていて、顔立ちは恐ろしいほど整っていた。そして、なぜか胸元


ははだけていた。


「うわ。ちゃらいなあ」


「まあちゃらいですけど、僕が知っている中では彼が一番沖田役にふさわしいと思います」


 金田君は誇らしげに語った。なんでお前がそんな誇らしげなんだよ。


「仕方ない。俺には劣るがあいつで行こう。ちなみに名前はなんて言うんだ」


「岡崎勇一というそうです。名前はちゃらくないです」


「なるほどね。岡崎勇一か。確かにちゃらくはないな」


 俺にはやつを引き入れる秘策があった。一発であいつを手に入れる秘策が。俺は助走を着けて走り出した。


「おかざきいぃぃー」


 ボフ


 俺はやつの脳天を揺らしてやった。ハンサム岡崎は地面に崩れ落ちた。


「悪いがハンサム岡崎は借りて行くぞ。金田。こいつを連れて行け」


 周りの連中はあまりの出来事に呆然としていた。

 

こうして俺たちの仲間にハンサム岡崎が加わった。


 もう一人、斉藤一の枠には左利きの木村君が加わった。金田ファミリーの一人なので強引に仲間に入れた。理由は左利きだからそ


れだけだ。


 こうしてついに現代における「新鮮組」が成立した。四人という人数だが正直もう集めるのが面倒なのでこの人数で行くことにし


た。これから池田屋に攻め込むことになったのだが、ここで問題が起こった。


「お、俺をどうするつもりだ」


 沖田枠のハンサム岡崎が意識を取り戻して、暴れ出したからだ。


「だからさっきから言ってるだろ。これから俺たちは池田屋を攻めに行くんだよ」


「なんで俺がそんなことしなければならない」


「いいか。よく聞け。俺たちは沖田枠がどうしても欲しかった。そのためにお前のハンサムフェイスがどうしても欲しかったそれだ


けだ!」


「意味がわからない。それに俺はこれからデートなんだお前たちのイカレタ考えには付いて行けない」


 ハンサム岡崎は期待通りにちゃらい一言を言って俺たちから離れて行こうとした。


「局長。ここは私にお任せください」


 金田君改め土方君が自信ありげに言い出した。なぜかこいつ今日は自信満々だ。


「わかった。任せよう。何か策があるみたいだな」


「ありがとうございます。私にお任せください」


 そういうと金田君はハンサム岡崎君に近づいてそっと耳打ちした。そうすると金田君は顔を青ざめさせて、何やら金田君と口論し


ていた。しばらくするとこちらに二人で近づいてきた。


「局長。岡崎君がぜひお手伝いしたいそうです」


「そうか。やはりそうだと思った。私の目に狂いはなかったな」


 金田君が何をしたのか気になったが突っ込んだら負けだと悟った自分は何も聞かないことにした。


「よろ……しくおねがいします」


 なぜかハンサム岡崎はがっくりと気を落としていたが、まあとにかくメンバーが全てそろった。後は目指すは池田屋だ。

 


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