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CASE:2 白石真白 4/4

なぜか初めてオカルトっぽいことが起きた、CASE2 4/4です

デザインされた看板を、業者に建ててもらって、お披露目をした。

「うん、これでよし!」

『私立白石オカルト探偵事務所』と書かれた看板を見て、二人とも笑顔を零した。

「祓い屋」とは違う、「癒し屋」とも違う。

素早く簡単に処理をする。簡単な仕事を請け負う組織として、「探し屋」を設立することにした。

それから、ビラ配りをしたり、ポスターを少し貼ったりして、夜の裏道に入った。

「出る」雰囲気はしていたが、まさか本当に出るとは、二人とも思ってなかった。

紅く光る地面、そこから現れる手。

爪の長さも、筋骨隆々とした腕も、青々とした肌の色も、それは人ではないということは自覚していた。

大きな角が牙が。

それを見た二人は。

回れ右して全力で全身していた、

「ギャアアアアアアッ!!」

陽も、真白も戦う力を持っているはずもなく、逃げることに集中した。

「なんだあれなんだあれなんだあれ!?」

「お兄ちゃん!あれ悪魔でしょ?!デビル!」

「どちらかというとデーモンなんじゃないのか!?」

そう言っていると、陽の中から声がした。

『あー、あいつはアークデーモンだね。中級悪魔」

「あー、なるほど、中級……って中級勝てる!?」

『勝てるよー、今から君たちには冥界謹製の武具を授けよう。二人とも、手を前に出し、力を抜いて』

言われた通りに手を前に出し、力を抜く。

一瞬、陽の中からヘルが消えた感覚がしたが、すぐに戻ってき、手の中に大鎌の持ち手が現れた。

真白の手には右手には少し曲がった、片腕と同じ長さの剣と、丸く、椀型の盾を持っていた。

『説明は後!さっさと倒すよ!』

その声を聞いたあと、陽は駆け出し、デーモンに向かって切りつけた。

「はああああああっ!……あっ」

大ぶりで袈裟斬りによる一撃はあっさりとかわされた。

というか深々と地面に刺さり、無防備な姿になった。

デーモンはもちろんその姿を好機と捉え、巨爪による一撃を入れようとした。

「お兄ちゃんっ!」

真白は迅速に動き、陽への攻撃を防ぎに行く。

『真白!受け止めちゃダメだ!受け流して!』

「わかった!」

ヘルの助言を聞き受け、真白は陽へ当たらないような受け流す。

デーモンの手は深々と地面に刺さった。鎌とは違い手が抜けるのには時間かかるだろう。

攻撃してきた腕を、壁蹴りの要領で高く飛ぶ。

その位置はちょうど頭の位置。

「そこだぁっ!」

体にひねりを加え、遠心力を利用した斬撃。

頭を斜めに切り裂き、デーモンの悲鳴が響きわたる。

「お兄ちゃん、抜けそう?」

「ん……ああ、抜け……たあ!?」

抜けた勢いで振り上げた鎌は、そのままデーモンの顎に直撃。

『わーお……』

「あ、でもコレ、チャンスじゃね!?首飛ばせばいいかい?」

『そうそう。首ポーンっとしちゃって!』

よし、と陽は後ろへと駆け抜ける。

真白は当たらない位置に下がりながらも、デーモンが動き出すのを警戒する。

「はっ!」

鎌は綺麗に首を狩り、悪魔の体は崩れ落ちた。

『やー、説明もなしにごめんねー……あと鎌重いよね?ごめんね?一番軽いのがそれなんだよ』

「……ほんっと重いわ……」

鎌は消えた。真白の剣と盾は残っているが。

「お兄ちゃんの鎌はなんなの?」

「特になんの変哲も無い、冥界謹製の大鎌だよ?」

「あ、そうなの……」

何か特徴的な力があるのか、と期待していたのだろう。少し悲しい表情をしていた。

『けど、真白ちゃんの武器は特殊だよ?そっちも冥界謹製、『吸力の盾』と『放力の剣』。盾は攻撃を受けると受けたエネルギーを吸収、剣はそのエネルギーを利用して強力な一撃を放つんだ。あまり力のない真白ちゃんでも、使えるようになってるのさ』

「これってもしや……チート能力?」

『そこまでの力は無い』

陽の期待をガッツリとへし折るヘルであった。

『チートっていうのは、私と本で読んだけど、圧倒的に力を与えるんでしょ?冥界主人でしか無い私には出来ない。それこそ忌々しいけどオーディンにしか与えられない祝福のようなものさ』

『……そもそもだよ?陽、君は弱い。すごく弱い』

陽に現実を突きつけるため、ヘルは続ける。

『強さには二つ、能力値的なステータスと、所謂『勝てる運命』がある。もちろん陽はステータスなんて皆無なのは知ってるでしょ?だけど、陽の『勝てる運命』は絶望的だ。それこそ、今の君が子供と喧嘩して勝てるのか?という答えは五分五分になる。それが『勝てる運命』なんだ』

「つまり、俺単身で挑めば、アークデーモンには負けていた、そういうことか……」

陽は気を落とした。

「けど……けど!二人なら勝てる!私の『運命』は、いい方向なんでしょう?ヘル?」

『そう。真白ちゃんの『運命』はかなり良い。多くの戦闘で、勝てる方向に向かって導いてくれるよ』

真白は嬉しかった。

たった一人の家族への恩返し。

それが出来るのだから。

「お兄ちゃん、私に任せて。お兄ちゃんは日常で私を守って、私は、非日常の時、私が守ってあげるから!」

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