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The Higher World 〜ARゲームの隻眼勇者〜  作者: 松風京四郎
第一章 TSS (The Sparkle Story)編
9/10

イーストウィッシュ寺院

俺達は、レベルアップと資金集めのため、ダンジョンの一つである『イーストウィッシュ寺院』へ向かった。

そのダンジョンは、コトーからも近く、歩いてモンスターを倒しながら、ダンジョンにたどり着いた。


「くっ、ダンジョンに入る前からこんなんでいいのか?」

「まあ、最初の内は仕方ないんじゃない」

「帰りたい」


俺達は、道中のモンスターの戦いでかなり体力を減らしていた。『三本の矢』という話で、一人じゃ出来なくても、三人なら出来るというものがあるが、今の俺達の実情は、それを完全否定している。

一体のモンスターに三人で挑んでいるのにも関わらず、連携が取れず、同士討ち。その内に懐に入られ、攻撃される。それを先程まで何回も繰り返していた。

だから、毛利元就に言いたい。

「バランスが取れなかったら、三本も一本も大して変わらない」と。


「なんか、思った以上に不気味なところだな」

「まあ、ダンジョンだからね」


目の前に見えるダンジョンは、人気のない廃れた西洋の寺院を模していた。


「まあ、死んだら死んだだ。やるだけやってみよう」

「オー!」

「帰りたい」


俺は入り口の壊れた鉄柵の間を通り、中に飛び込んだ。

中には、見慣れてきたゴブリン、白いウサギにツノが生えたアルミラージ、ゴブリンより大きな図体で、のっそのっそと歩く、コボルトがいた。


「これ、やばいんじゃないか?」

「確かにきついかも」

「やめておこう」


俺達は、その大量のモンスターの群れに、少し怯んでしまった。


「レベルを上げたら、すぐ逃げればいい」

「そうだね。やってみよ」

「はあ、仕方ないな」


すぐに怯みを払拭し、武器を構えた。




まず、俺達に気づいたのはゴブリンだった。三匹の群れをなして、勢いよく襲いかかってくる。


「三匹、くるよ」


サキが敵の接近を促す。


「ブルン、ブルン!」


リュートが槍を振り回し、ゴブリン達の注意を引く。


「ナイスだ、リュート。俺が側面から行く」


俺は引きつけられているゴブリン達に向かって駆け出す。

右手に持った刃を地面に向け、振り上げるようにゴブリンの一角を斬りつける。

一撃で体力ゲージをゼロにして、一体を戦闘不能にする。


「やっぱり、人が少ないのは動きやすいな」


さっきから、一回も警告音がならない。敷地が広いところに作られるダンジョンは、街中よりかなり戦いやすい。


「よし、俺もやるぞ」


リュートは、俺の攻撃で気が緩んだゴブリンの一匹を槍で抉り、貫く。


「よいしょっと」


そう言って、放たれたサキの矢が残りの一匹を駆逐した。


「おお〜、うまくいったな」

「やっぱり広いと戦いやすいね」

「ああ、今のはよく出来た気がする」


賛辞をお互いに送っていると、他のモンスターも気づき、俺達の元へ襲撃してきた。


「また、きたよ」

「ああ」




俺達は、アルミラージとコボルトも同様に駆逐していった。

敷地の広いところで、縦横無尽に動き回って戦う。これが、本来のゲームの楽しみ方だろう。


「おっ、やっと済んだか」

「これで終わりなのか?」

「多分そうだよ。結構ポイントも貯まったはず」

「ホントだ。レベル15になってる」

「俺は13だ」

「私は16だよ」


このダンジョンに来て、簡単にレベルと所持金が上がった。

そのおかげで、このゲームの新しい魅力が姿を現した。


「あっ、魔法を覚えてる。やったね!」

「俺はスキルを覚えたみたいだ」

「俺も同じだ」

「これ、どうやって使うんだ?」


俺は、サキに尋ねる。


「THWでスキルを登録して、それに伴った動きをするだけだよ」

「ほ〜、楽しそうだな。因みに魔法は、どうなんだ?」

「呪文を唱えて、スティックについたボタンを押すことで、発動できるよ」

「これがあれば、少しは戦闘が楽になるのか?」


初心者のリュートが尋ねる。


「使い方によるね。調子に乗りすぎて、スキルとか魔法を使いすぎると、MPがすぐに無くなって、隙ができるから注意が必要だよ」

「なるほどな」

「まあ、レベルもお金も上がったことだし、そろそろ帰るか」

「そうね。ミルの言う通りだと思う。リュートもいいよね?」

「ああ、正直怖いから一刻も早く抜け出したい」


皆に確認を取り、ダンジョンを後にしようとするが、そのまま乗り切れるほど人生甘くはなかった。


「ウォゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!」

凄まじい唸り声がダンジョン内に、大きくこだました。


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