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The Higher World 〜ARゲームの隻眼勇者〜  作者: 松風京四郎
第一章 TSS (The Sparkle Story)編
8/10

冒険者の街 コトー

俺達はレベルアップを果たすと、その勢いのまま、安全地帯である街の中に飛び込んだ。


「中央都市、コトーへようこそ! 冒険者の方々、どうぞお楽しみください!」


街の前にいるNPCの女性が笑顔を浮かべながら、誘導していた。


「これも、現実にある建物なんだよな?」

「そうだよ。新京都駅をモチーフにできているんだ」


そうサキは答える。これは、俺の住む新京都市限定の街であるが、他の都道府県にも主要の建物がモチーフになった街があるらしい。それをその地区の中心部とし、それの周りに点在する形で、小さな街が存在しているのだ。


「まず、何する?」


俺はゲーム上級者のサキに尋ねる。


「休もう!」

「お前に聞いていない」


リュートを無視し、再度サキに尋ねる。


「とりあえず、冒険者ギルドに行こー。そこで、今後の予定とか体力回復すればいいと思う」

「わかった」

「よかった。休めるのか」


俺達は、コトーの中心部に向かい、歩き始めた。




「なあ、一つ気になったんだが、聞いていいか?」

「うん、何?」

「この俺達の会話してる声って、現実でも聞こえているのか?」

「ううん、聞こえてないよ」

「確か読唇術で認識するだったか?」

「そうそう、リュートよく知ってるね」

「まあ、それなりに調べたからな」

「口の動きをTHWが認識して、脳内のイメージと複合して、他者のTHWに直接伝えているの。だから、現実世界では声は聞こえてないけど、ずっと口だけが動いてる、なんとも微妙な感じになってるわけ」

「うわっ、なんかそれ嫌だな」


奏功している内に、ギルドコトーが見えてきた。巨大な木製の時計を囲むように、ギルド職員のNPC達が座っている。周辺には、ショップや銀行も点在していた。


「受付で、パーティ登録しよう」


そのサキの掛け声で、俺達三人は受付に向かう。


「ギルドコトーへようこそ! 冒険者の方々ですね。私、担当の泉です。ご用件はなんでしょうか?」


黒髪ロングの美女NPCが尋ねてきた。何処と無く、古風な雰囲気と名前である。


「あのパーティの正式登録をしたいのですが?」

「かしこまりました。パーティの方々は、そちらのお二人でよろしいでしょうか?」

「はい。その通りです」

「THW確認しました。サキ様、ミル様、リュート様ですね。正式パーティの結成を承りました。では、パーティの代表をお決めください」

「じゃあ、ミルで」

「おいっ、勝手に決めるな」

「俺はそれでいいぞ」

「私もミルがいいと思う」

「面倒くさいんだが」


苦笑いを浮かべて、二人に訴える。


「まあ、上辺だけのリーダーだから、いいでしょ。大変だったら、私がやるから」

「まあ、それならいいか」


渋々了承すると、泉が頷きを見せる。


「かしこまりました。それでは、ミル様がパーティの代表ということで、登録いたします。パーティ名はどういたしますか?」

「ええっと」

「ワンアイズで」

「俺も同じだ」


サキとリュートが食い気味にそう答えた。


「それって、俺のこの目からインスパイアしたのか?」

「うん」

「右に同じだ」

「なんで俺をそんなに全面に押し出すんだよ!」

「パーティ名、ワンアイズで登録しました。これからは、パーティ内で所持金や武器等の共有が可能になります」

「ええっ、もう決まっちゃったのかよ」


俺の訴えを遮るように、泉が承認してしまった。もう後には引けそうもない。


「その設定は、各自のTHWで行なってください。また、パーティの更新・脱退をしたい場合は、ここを含めた各地のギルドで可能ですので、その場合はギルドにお越しください」

「はっ、はあ」

「わっかりました」

「了解した」


三者三様の返事と共に、ギルドでの登録は終わりを迎えた。




「で、これからどうする?」


俺は正式にパーティとなった二人に問いかける。


「やっぱり、所持金集めとゲームに慣れることを優先して、どこかのダンジョンに向かった方がいいかな?」

「また、戦うのか?」


サキの提案に、リュートが怯えの色を見せる。


「この辺で、どこかいいところあるか?」

「近くだと、『イーストウィッシュ寺院』かな? まだレベルは低いから、どうせ高レベルモンスターは現れないし、敷地も広くて戦いやすいから、いいはずだよ」

「よし、その寺院とやらに行ってみるか?」

「りょーかいです!」

「行かなきゃダメなのか?」

「リーダーの命令だ。おとなしく従え!」

「ぐぬぬ…」


俺は、リュートを無理やり説得させ、少し休憩を取ると、『イーストウィッシュ寺院』に向かい、歩み始めた。

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