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The Higher World 〜ARゲームの隻眼勇者〜  作者: 松風京四郎
第一章 TSS (The Sparkle Story)編
3/10

剣と魔法の誘い

「ARゲーム?」


美咲の言った意味がわからず、思わず聞き返してしまった。


「そう。今年の夏に発売だって。私が予約しとくから、3人でやろうよー」


話を理解していない美咲に、龍斗が突っ込みを入れる。


「そういうことじゃない。まず、ARゲームとは何か、と聞いている」

「そうだ、それを教えてくれ」


美咲は、どこか可哀想な目をして答える。


「2人とも知らないのー。時代遅れだよー」


こいつの顔面を凹ましてやろうか。


「ARって、まずわかる?」


舐めたような口調で聞いてきた。

俺が答えるより前に、龍斗が答えた。


Augmented(オーグメンテッド) Reality(リアリティ)のことだろう」

「何だそれ?」


思わずそう答えてしまった。


「充、本当にテスト大丈夫なのか?」


溜息を一つつき、続ける。


「直訳すると、拡張現実。元々ある景色とかを、映像でより迫力あるものに見せる技術だ。何十年も前に開発された技術だが、それが今頃になってなぜ登場してくる?」


美咲は、ニヤニヤしながら答えた。


「そ・れ・は・ね。THWに関係するんだ」

「THWに?」

「THWは、私達の脳内から、五感を強化している。それによって、空中に画面を映したりしてるでしょ」

「ああ」

「その機能が、ARを生かすのにぴったりだったってわけ」

「そうか、五感を強化するTHWと景色を強化するARの相性がいいのは、確かに理解できる」


そう言った龍斗の言葉で、俺も納得することができた。


「この融合は一昔前に流行った、VRを超えるものになると思うよ。だからやってみない? 売り出すのは夏だから、夏休みにやろうよー」

「う〜ん、どうする充?」

「俺はどっちでもいいが、あんまりゲームしないからな」

「俺もだ」


悩んでいると、ニヤニヤしながら美咲が提案してきた。


「そんなお二人には、この映像を見てもらわないとねー」




「シンク!」

「シンク!」

「シンク」

「じゃあ、映像渡すから、コネクトして」

「面倒くさいなぁ」


俺はだらけてそう言う。


「まあまあ、美咲に付き合ってやろう」

「しゃーねーな。コネクト」

「コネクト!」


俺達が、美咲の顔を見てそう言うと、脳内で声が響く。


「対象者を確認しました。情報の共有をします」


その言葉が聞こえると、俺の画面に美咲の情報が入ってくる。

数秒後、動画再生の画面が出てくる。


「じゃあ、楽しんでねー。私は、サンドウィッチ食べてるからー」


俺はその言葉を聞くと、強く左目を瞑った。

景色以上に食べ物は、不快感があるからだ。

一度見たことのある食べ物の姿は、小さなカプセルだった。食べれば、食感も味も満足感もあるのに、見た目だけはどう見てもカプセルなのだ。

あの光景を見てから、食事中は一切左目を開かないようにしている。


「充。再生するぞ」

「ああ、わかった」


龍斗が画面に触れると同時に俺の動画も再生される。




「The Sparkle Story(ザ スパークル ストーリー)。

皆さんは、戦いたいと思いますか。魔法を使いたいと思いますか。もし、その願望がほんの少しでもあるのなら、今すぐ私達の世界に来てください。

THWとARの融合によって誕生したこの物語は、きっと貴方の願いを叶えることでしょう。

操作は簡単。付属のスティックで見つけたモンスターを叩くだけ。

対人戦もあり、オンラインスポットであれば、全国の人々とも対人戦が可能になります。ランキングで上位を目指してはいかがでしょうか?

さあ、貴方の輝く物語はすぐそばにあります。貴方もこれを手に入れ、輝かしい一ページを刻んでください。

2055年夏発売。制作フラワーファンタジア」




「おお、なんか凄そうだな」

「でしょでしょ」

「確かに、面白そうではあるが、う〜ん」


少し怒った表情で美咲が訴える。


「とりあえず、やって見てから決めよ。面白くなかったら、やめればいい。でも、私が保証する。絶対面白いから。だから、やってみよー」


素の表情で俺は答えた。


「まあ、夏休みにやることもあんまなさそうだし、俺はやってみようかな」

「ホント?」

「充がそう言うなら、やってみるとするか」

「そうこなくっちゃ!」


美咲は心底嬉しそうな表情を浮かべる。

かくして、俺達3人は夏休みにARゲームをすることとなった。

期待と不安が入り混じる中、ゆっくりと季節は移ろっていった。

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