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あけましておめでとうございます。

本作は「少女漫画マインド春日とリアリスト宇津井君」シリーズです。

「少女漫画マインド春日とリアリスト宇津井君の七夕の過ごし方」を読んでいただけると、より楽しんでいただけると思います。

http://ncode.syosetu.com/n3078cu/

七夕は宇津井くん目線の話でしたが、初詣は春日目線でスタートしております。

「宇津井くーん。おまたせー」


私のスペシャル素敵で神様みたいな彼氏が目に入った。

とたん私は100万馬力を手に入れたように走りだす。

宇津井くんは、ちょっと困ったように眉を寄せてため息をついた。

ため息ついても相変わらず恰好いい!!すきーすきー大好き!


「ちょ、走らなくてよかったのに。それに、待ち合わせまでまだ時間ある」


むっなんですと。

本当は待ちわせの30分前から着いていたいのに。

過去、何度か待ち合わせの30分前から待っていたのだ。

なのに毎回、色々な人に道や街の名所や、何故だか私の個人情報をきかれる。宇津井君が来る頃には人だかりが出来るのだ。たぶん、局地的にお上りさん警報でもでてたのかもしれない。きっとそうだ。

それから宇津井君はせめて15分前、それも変な場所を指定してくる。

私としても、30分前に着く理由は少女漫画みたいに「まだかな~」とか「今日どんな服を着てくるんだろ」みたいな気分を味わいたいのと、デートのシュミレーションのためだ。けれど、いつも邪魔が入るのでそれは諦めていた。

ただ、納得できないのは宇津井君が私よりいつも早く来てしまうことだ。

最愛の人をこんな寒空の下に待たせるなんて!!


「聞いてる?僕の話」


「うん、うん」


「聞いてないな」


は!聞いてなかった!


「走るなってことだよね!」


宇津井君はもう一度ため息をついた。


「その後だよ」


ありゃ。

その後かーなんて言ったんだろう。

もう一度聞いたら、たぶんまたため息つかれちゃうかな。


「もういいよ、行くよ」


宇津井君はきょろきょろと周りをみてから、私の背中を押した。

私はぎゅっと彼の手を繋いだ。


「ふふふ、初詣楽しみ~がんばっておしゃれしちゃったよ」


宇津井君はなぜだか顔を赤くして急に早歩きになった。

いつもながら宇津井君はよくわからない。

そこもミステリアスでウルトラ恰好いいのに。


今日の宇津井君はベージュのダッフルコートにカーキのズボンだ。

はぁぁ。シンプルな恰好が宇津井君にはお似合いだ。

いつも制服ばっかりだから新鮮でいいなー

いやいや、制服だって宇津井君にはとってもお似合いなのですよ!


宇津井君は早歩きして、少したってから小さい声で言った。


「にあってる」


それから顔を真っ赤にして、またすたすた歩く。

うきゃぁぁぁぁ。


「う、嬉しい!」


「声、大きい。聞こえてるよ」


「うん!うん!あ、忘れてた。あけましておめでとう!」


宇津井君はピタリと立ち止まって苦笑いを向けた。


「それをさっき言ったんだけど?」


ぎゃん!

な、なんとわたくしめは1年で1度しか聞けない宇津井君の「あけましておめでとう」を聞き逃したのかぁぁ


「あ、あああああ」


「なんでそんな真っ青な顔してるの?」


「初あけましておめでとうが・・・」


「あぁなんだ。そんなこと」


「宇津井君。そんなことじゃありません。ねぇもう1回」


「はいはい」


「うう・・宇津井くんの・・はじめて」


宇津井君は私の口を手で押さえた。


「ちょっと、変な言い回しはしないで」


赤い顔でぶつぶついってから、歩き出した。

変な言い回しってなんだろ。


「宇津井くん!今年もよろしくね」


「・・・うん。よろしく」


今年も宇津井君はシャイだ。







春日は自分が美少女という自覚がまったくありません。

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