第四章★依存…そして別れ‐1ヵ月‐
彼と初めてメールしてから1ヵ月。
私達は9時に毎日電話する事が日課になり、私は彼を優貴と呼ぶようになった。
今日も優貴と電話で話していたが、いろいろと話しているうちに私がもっとも気にしている話題にはいった。
「前から聞きたかったんだけど…。」
「聞きたいことって何?」
「アミは今彼氏居る?」
「居ないよ。優貴は彼女居るの?」
「居ないよ。学校の女の子と話すのは苦手だから。」
(やったぁ!)
優貴に彼女が居ない事がとても嬉しかった。
「何か良い事でもあったの?すごい声が明るいよ。」
「うん。ちょっとね。」
「俺、晩ご飯食べてくるからあとでメールする!待っててね。」
「待ってるね!」
(私はやっぱり優貴が好きなんだ…。)
私は授業中も、寝る前も、ご飯を食べてる時でも、優貴の事ばかり考えていた。
(優貴は私の事をただのメル友としか考えてないだろうな…。いつかは優貴とメールができなくなる日が必ず来る。
だから優貴を好きになった事は認めたくなかったのに…。
このままじゃダメだ!私は彼に依存しすぎてる…。)
私は早く自分の気持ちを伝えたかった。
私達は受験生なので、受験勉強が忙しくなった時に優貴からメル友を辞めたいと言ってくるかもしれない。
辞める前に告白をして悔いが残らないようにしたかったのだ。
(今、メールで告白して優貴とのメールをやめてしまおう…これ以上、優貴に依存してしまったら、彼とメールができなくなった時に私はきっと立ち直れない…。)
私は最後のメールを彼に送る事にした。
『まだご飯を食べてる頃だと思うけどメールしました。突然だけど自分の気持ちをメールするね。単刀直入に言うけど、私は優貴が好きだよ。おかしいよね…会った事もなくて顔も知らない人を好きになるなんて…。けど最後に気持ちを伝えたかったんだ。
後悔したくないから。今までありがとう。頑張って素敵な声優になってね。』
最後のメールを送った後に私は彼からのメールアドレスを受信拒否に設定した。
しかし優貴のメモリーを消すことは、今まで優貴とメールしていた事をまるで否定しているみたいでできなかった。
そして私は一睡もできずに朝を迎えた。