第二章★返信‐1日目‐
その日の晩、私はあの人からのメールを待ち続けていた。
(もう少し自分の自己紹介をすればよかったのかなぁ…)
時計を見ると午後11時ちょうどになっていた。
何度もセンター問い合わせをしてみてもメールは来ていない。
(もう違う人とメールしてるんだろうなぁ…)
と諦めかけていた。その時携帯電話が鳴りだしたのだ。
私はものすごい早いスピードで携帯電話を手に取り、メールをチェックした。『メールをありがとう。バイトやってたから返事できなかったんだ。
ごめんね。俺なんかでよければよろしくね!』
「やったぁ!!」
私は近所迷惑になるぐらい大声で叫んだ。
『こちらこそよろしく。名前はなんていうの?』
『優貴。ゆうきってよむよ。』
とお互いの事を聞き合ったりしていくうちに私は無意識に寝てしまった。
次の日、(優貴君にきらわれちゃったかな…。)
私はあやまりのメールを打っていた。
打っている途中で1通のメールが入ってきた。『おはよう!昨日は夜遅くまでメールしちゃってごめん。』
という優貴君からのメールだった。
『気にしないで!私も勝手に寝ちゃってごめんね。』
(優貴君って優しいんだな。)
優貴君は女の私よりキレイな言葉遣いをしていて、もちろん、ぶっちゃけとか流行りの言葉がメールに出てくる事はなかった。
『アミは将来の夢はある?』
『ないよ。優貴君はあるの?』
『俺は声優になりたいんだ。昔からの夢だった。』
(夢があるんだ。かっこいいな。)
どこにでもあるような普通の会話だけど、なぜか私は幸せな気分になれた。
私たちがメールし初めて1週間が経った。
『電話したい。優貴君の声を聞きたいよ。』
とメールを送った。
(聞くの早すぎたかな?)と考えているうちに少し遅れて彼からメールが返ってきた。
『いいけど…俺の声は変だよ。高いってよく言われるし…絶対に俺のこと嫌いにならないでね。』
『絶対にならないよ!』
私は電話番号を教えた。
『明日、電話するね。今日は夜遅いから。明日は学校だから寝よう!』
『うん!おやすみ。』
私は寝ようと思ったけど、なかなか寝れなかった。
胸がドキドキして眠れない。
こんなの初めてだった。
(きっと男の子と初めてメールしたからだよね。)
いろいろ優貴君の事を考えているうちに、私は夢の中に入っていった。