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異世界恋愛系 作品いろいろ

清らかな心と圧倒的な美しさを持つ彼女ですが、婚約者からはなぜか良く思われていないようです……。~それでも幸せを掴む~

作者: 四季
掲載日:2026/08/11

 ハーブティーをこよなく愛するレフィリアは、硝子細工のような繊細ながら圧倒的な美しさを放つ容姿から『絶対的美女』と呼ばれているが、本人はというとその価値にいまいち気づいていない。


 しかもレフィリアは容姿だけではない。

 性格も良いのだ。

 若干おっとりしている傾向はあるものの、他者を傷つけるようなことはせずむしろ他者の良いところを見つけられるような性格なので、誰からも愛される。


 ただ、彼女の婚約者である青年オレイスだけは、圧倒的な美を持つレフィリアをあまり良く思っておらず。


「レフィリア、またティータイムか」

「はい~」

「お前は相変わらずだな」

「美味しいですよハーブティー。今日は柔らかい味のものなので、オレイスさんのお口にも合うかもしれません~」


 レフィリアが穏やかに接しても。


「ふん、くだらない。ティータイムだとか、ハーブティーだとか、お前は本当に馬鹿な女だな」


 オレイスは冷ややかな態度を崩さない。


「ああそうだ、今日は伝えなければならないことがあってな」

「何でしょうか?」


 やがて氷の剣のような視線を彼女へ向けながら。


「お前との婚約は本日をもって破棄とする」


 何の躊躇いもなく言いきった。


 これにはレフィリアもさすがに驚いたような顔をした。目を見開き、宝石のような青い瞳を僅かに揺らしている。激しい動揺、というよりかは、戸惑い、に近い色が、面に滲んでいる。


「お前はハーブティーを愛しているが、そんな変な趣味の女とは夫婦になってまともにやっていける気がしない。年頃の女なら、もっと、ドレスだとかアクセサリーだとかおしゃれだとかに興味を持つべきだろう。それが普通だというのに、そんな簡単な普通にすらついていけていないお前など、俺の隣にいるに相応しい女ではない」


 オレイスは、彼の中でのレフィリアの悪いところを三十分以上語り、その最後に「せいぜい、似た者同士の変わり者に拾ってもらうがいい」などと心ない言葉を付け加え、去っていった。


 その場に残されたレフィリアは少々寂しそうな顔をしていたけれど、やがてまた目の前のハーブティーへと視線を戻す。


「残念だわ~」


 小さく呟き、カップへ手を伸ばした。



 ◆



 婚約破棄から数年、レフィリアは第一王子ロロに見初められ結婚した。


「やっぱりねー。でもその方がイイって思ったよ。だってあのオレイスとかいう人さぁ、なんかやったら偉そうだったもん」

「それそれ! レフィリアがお嫁にいくなら王家の方が断然いい! そう思う! 同じ意見の群れ!」

「あたしもぉ、そう思ってたのぉ。実はぁ、だからぁ、あんまり言えなかったけどぉ……でもぉ、おんなじように思ってる人がいたなら良かったぁ」


 レフィリアの友人たちは、皆、その結婚を喜んでいた。

 オレイスのレフィリアへの接し方を見てきたからこそ、レフィリアには幸せになってほしいと純粋に願っていたのだ。


 天使のようなレフィリアにもうこれ以上嫌な思いをしてほしくない。

 それは友人らが共通して抱いている願いだったのである。


「やっぱりさー、オレイスとかいう人さぁ、明らかに外れだったよね」

「そうそう! 明らかにレフィリアのこと大事にしてなかったし! レフィリアほどの女の子と婚約しておいてあれはない! 多分、ううん、絶対、同じ意見の群れだと思う!」

「そうなのよぉ。あたしもぉ、まったく同じ思いなのぅ。言えなかったけどぉ……ずっとぉ、実は思ってたのぉ……レフィリアに幸せになってほしいからこそなのぉ」



 ◆



 あれから数年、レフィリアとロロは仲良く暮らしている。


「これが前に言っていたハーブティーなんだね」

「はい~」

「確かに、ミントみたいな香りがする……!」

「前々回のものを好きと仰っていましたので、こちらも気に入っていただけるかと思いまして。今回、思いきっておすすめしてみました~」


 二人は庭園でたびたびティータイムを開いている。

 そしてそこではレフィリアが様々なハーブティーを紹介する。

 ロロは元々ハーブティーには詳しくなかったが、レフィリアを迎えてからは段々興味を持つようになり、今は少しずつではあるがハーブティーについて勉強するようになっていっている。


「すごく美味しいよ!」

「なら良かったです~」

「鼻の奥に残る感じの香りもいいなぁ、爽やかで」


 王子ロロの妻となったレフィリア。これからはもう誰も彼女を傷つけられはしない。王子の妻に対してあれこれいちゃもんをつけられる存在などほとんどいないから。


 彼女はきっと、この先ずっと、幸せに暮らしていくに違いない。



 ◆



 オレイスは資産を失った。


 そしてあっという間に破滅した。


 ……というのも、金銭的な面で非常に厄介な女性と結婚してしまったのだ。


 ハーブティーをこよなく愛す変わった女性など嫌だとよく話していたオレイスは、後に一人の派手な女性と出会い結婚した。

 だが彼女は金遣いが荒くて。

 毎週、毎日、休みなく高価なドレスやアクセサリーを買う。

 オレイスは夫としてそのためのお金の大部分を出さなければならない状況に陥ってしまい、はじめは頑張っていたものの、やがて資産がゼロに近い状態になってしまって。それでも女性の買い物は止まらなかったため、しまいに借金まですることになっていってしまった。


 その結果、命を売ってでもお金を作らなければならない状況に陥り、結果的に彼はこの世を去ることとなったのだった。



◆終わり◆

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