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道徳感ゼロ!それいけ!最強魔法少女りんねちゃん!

作者: K.Sさん
掲載日:2026/02/21

短編かも


30メートル級の怪獣が何体も暴れ回っている、この街。

空中を飛び回っていたり建物を壊していたり、もはややりたい放題の状態。


「いやぁぁぁぁぁ!!」

「だ、だれかぁぁ!」

「ま、魔法少女..魔法少女はまだなの!?」


助けを呼ぶ声が響く。

みんなは魔法少女という存在を待っているようだ。

しかし、どんなに経っても魔法少女は現れない。


「だ..だれか..」


誰がどう見てもわかる。

この街は崩壊してる。ここから直すとなると何十年もの時間が掛かるだろう。いや、魔法少女が来ず、このまま怪獣や怪人が暴れ続けてしまえば、修復するのは不可能。禁止エリアになるのも時間の問題だろう。

それに、周りも炎の海と化している。


こんな場所、魔法少女は来るだろうか?。

答えは否、来ないだろう。


1体1体の怪獣の力も計り知れない、助けに来るとして何人の魔法少女を招集することになるか想像もつかない。


そんな中、グレーのフードを被った少女と小さい翼が生え、薄ピンク色をした猫のような見た目の小動物が煙の中からゆっくりと現れた。


「ふぁぁ...ネ〜コ..こんな朝早くから行かなくてもいいじゃん..どうせみんな死んでるって..それに今日土曜だし...」

「りんね!!!はやく!!!はやくぅぅぅ!!!このままだとみんな死んじゃうよぉぉぉ!!!!!」

「だからもう死んでるって...」

「はやく!!生きてる人がいるかもしれない!!救える命があるかもしれない!!はやく!!はやく!!」

「うっ!っるさいなぁ..耳元で大声出さないでくれない?こっちは朝5時に起こされたんだよ?それにここまで来てあげたし..感謝の一言くらい...」


私の言葉を無視し、街の方に夢中。

少しだけイライラするが、目線の先には生存者がおる。


「し..しにたくない..やだ..」


「見て!りんね!!生きてる人だ!!はやく!!!!襲われてる!!はやくしないと死んじゃう!!!!」

「チッ..うざ...」

「...ぁ...り..りんね?..あ...そ..そっか...りんねは変身しないもんね...ご..ごめんね...」


文句を垂れながらも怪人達の前へと歩いていくフードの少女。

ある程度の近づいた後に一匹一匹、怪人と怪獣に指を指しながら数えていく。

そして、数えるのをやめる。


「...いすぎ..もういいや適当に..30体ね」


怪獣や怪人をあらかた見た後に人差し指と中指をクロスさせる。

ネーコはそんな私の動作を不思議がる用に見て首を傾げる。

なにしてるの?とでも言いたげな表情。

私はそれを横目でみる。黙ってたら可愛い小動物なのに..。


魔法少女に力を与える存在だが、特に思うこともない。


目線を街を襲ってる怪獣や怪人の方へと戻す。

クロスさせた指を軽く上へ上げる。



瞬間、街を襲っていた怪人や怪獣が一斉に斬り刻まれる。




さっきまで暴れ回っていた怪獣も、人を襲っていた怪人も人の悲鳴も何もかも聞こえなくなる。

一瞬で事が終わったこの光景をネーコはポカーンと眺めていた。


街に背を向け歩く。これにて一件落着。

まだ小さい怪獣が生きてはいる。だが、そいつらを探すのは面倒くさい。私の視界から消えた時点で奴等は逃げた、もしくは死んだということにでもしておこう。そのほうが楽だから。


ふと、気がつく。

ネーコがついてきてない。


「...ネーコ?なにしてるの?帰るよ?」

「..ぁ..う..うん!」


羽根をパタパタと鳴らしながら近づいてくる。

もし、小さい怪獣が生きてるのがネーコにバレたら探して倒すように言われる。そんな面倒くさい事になる前にさっさとここから離れよう。


「すごい!!やっぱりりんねは凄いよ!!!僕が見てきた魔法少女の中でも一番だ!!!」


ニコニコと私を見ながら笑顔で話しかけてくる。 


休みの日の早朝に私を叩き起こし、普通なら命懸けになるであろう相手を倒せと言われ、その報酬が私の横で空をフワフワと飛んでいる変な生き物からの凄い!と言う言葉だけ...舐めてるでしょ..別に悪くはないけど。


「ネーコ」

「なにりんね!」

「せっかく遠くまで来たし帰りにどこか よって行こっか」

「え!?いいの!!?」


キラキラと目を輝かせながら私を見つめてくる。

なんか子供を相手にしてるみたいだ。私も子供だけど。


「じゃあ水族館行きたい!!!」

「わかった...ネーコってなんでそんな人間に期待してるの?」

「だって!!人間はとっても優しいし!話も面白い!それに文化や技術だって!!!...」


私が人の事を知らないだけだろうか。

ネーコの話の内容があまり頭に入ってこない。


...人間なんて..いすぎでキモいでしょ。



------



私の名前は月輪(つきのわ)輪廻(りんね)

15歳、受験勉強に追われる学生だ。


私は今、命を燃やして戦っている。

何と戦ってるのか。そんなの決まっている。

聖域と言う名の机の上に、魔導書という名の古文の教科書を見ながら、片手にマスターソードという名のシャープペンシルを持つ。


信じられるのは自分の力、自分の能力だけ。


いざ、志望校を目指して..。


「ねぇぇ!りんねぇぇテレビ見てよぉぉ!怪獣が街で暴れてるんだよぉぉ!」


ネーコが慌てたような声で部屋の周りをフワフワと浮きながら無意味に動き回る。私はその声を雑音だと思い、私は無視する。


「......」

「ねぇぇぇぇ!りんねぇぇ!!助けに行こうよぉぉぉぉぉ!!!!」

「......」

「りんねってばぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


ネーコが私の腕を掴み、ゆさゆさと揺らす。

その振動でペン先がずれ、字が歪む。

私はネーコが掴んでいる方の腕を思いっきり振り払った。


「うっざい!!今勉強してる!!静かにして!!」

「..ぁ...ぅぅ...」


集中してもすぐに気が散る。ネーコと一緒だとすぐこうなる。

テレビ..そうテレビだ。テレビがあるからこうなってしまう。テレビがあるからネーコが騒ぐのだ。


もともと私の部屋にテレビなんてなかった。ネーコが勝手に持ってくるまでは。


人助けしようなんて言うが、今君の目の前にこの国の仕組みで苦しんでる少女が一人、助けてを求めて足掻いてる、それは無視するんだ。


「..りんねぇ..勉強も大事だけど..人を助けにいこうよぉぉ...」

「....」

「りんねぇぇ..」

「.....チッ...ネーコはアホでバカでマヌケで無能で役立たずだからわからないと思うけど!今のこの国は学歴社会なの!頭が良ければ良いほど将来いっぱいお金を稼げるようになるの!ただでさえ稼いでも稼いでも金を取ってくる腐った構造してるんだからほんとに勉強って大事なの!言ってることわかる?それかなに?ネーコが私の代わりにお金を稼いできてくれるの?私の代わりに働いてくれるの?ネーコが私の将来を保証してくれるの?そんな事ができるの?できないよね?てか!なんで私が下等種族人間(ごみ)のために戦わなきゃいけないの?それがもうありえないし他の魔法少女に任せておけば解決するじゃん!わかったらもう私のやることに何も口出ししないで黙ってて!ほんとに鬱陶しい!!」

「..ぁぅぅ...ご..ごめん....ごめんよぉぉ..」


あ〜ちょっとスッキリした。


多くの人は受験という壁を前に不安や焦り、苛立ちを感じる。

私もそれを感じる一人だ。

寝ていても緊張ですぐ目が覚め、何をしていようが不安が消えない。


唯一この不安や焦り、苛立ちを消せる方法があるのだとしたらそれは集中してる時か単語を暗記してる時。

それ以外でイライラや不安が消えることはない。


...。

私が怒ってから部屋が物凄く静かになった。


少しだけネーコに目を移す。

怒られたからなのかブルブルと震えながらべッドの上で泣いているようだ。


......。


「...私の近くにいたいなら静かにしてて」

「..ぅぅ....」


ちょっと言い過ぎた。



------




寝そべり、たけのこの里を頬張りながらテレビを見る。

テレビに中継されている光景は怪人がとある政治家を襲おうとしている瞬間。


「私こいつ嫌いなんだよねぇ...死なないかなぁ..」

「......」


今見ているこのチャンネルは魔法少女だけしか見れない専用のチャンネル。

怪人や怪獣に襲われている人達をメインに流しており、これを見てから魔法少女達は現場に向かうようになる。

そんなチャンネルを私は休憩中に見ている。


「おぉ!良い!やれ怪人!」

「.....」

「あと少し!うわ!魔法少女が来た!!早く!何倒れてるの!怪人根性なさすぎ!!あー!!最悪!何倒してるの!!これだから魔法少女は!!」

「......」

「..はぁ...なんでこんな奴助けるの?ここで死んでたほうがよかったでしょ..」

「りんね..死んでいい人なんてこの世にいないよ..」

「ネーコはアホでバカでまぬけで無能だからわかんないと思うけど、この政治家は未成年と淫行して、謝罪もしないで、未成年のせいにして逃げようとしてるカスだから死んでいいんだよ..いや現に逃げれたのか」

「.....」

「それにこいつ成人女性を14歳からにしよう!みたいなこと言ってるし」

「......」

「本当キモいよね」

「.....りんねぇ..いんこうってなに?」

「..もういい勉強するから話しかけないで」


「ぅぅ....」



------



時計を見る。

時刻は3時35分。


「ふぅ〜〜...」


今日はここまでにしておこう。

これ以上勉強しても頭には入って来ない。

..疲れた、怪人や怪獣と戦うよりも勉強が一番疲れる。身体的にも精神的にも..そう、疲れるのだ。


だが、まだやらないといけないことはある。

スーパーに平日分の買い物をしにいかなければならない、それにご飯を作って洗濯物も取り込んで、そうだ..醤油もなかった、買わないと。


それに国からの奨学金の紙も書かないといけない。たしか月曜日までだったはず。

銀行にも行かないと、いや、土曜日に窓口は開いてない?。家賃も..そろそろ払わないと。

またバイトしないとダメなのだろうか..。


後のことを考えれば考えるほど嫌になる。 

一生寝ていたい。


「りんね!テレビみて!!怪獣だ!!」

「.....」


こんなこと考えないといけないのも全部この国のせいだ。

老害の考える頭のおかしい仕組みに私達の様な若者が合わせないといけないのだろう。


..いや、政府の言い分も理解はできる。

この国で暮らしていく上での義務。そう..理解はできる。別に私も全部が全部悪いなんて思ってない。

それに政府公認の魔法少女になって活躍すれば、お金も稼げるし、学費も全てただにしてくれる。それに名前も売れてファンだって増える。

これだけ聞くなら誰だって政府公認の魔法少女になりたいと思うだろう。なんだって聞くだけなら魅力的。


「りんね!!助けに行こう!!!」

「....」


ネーコの声を無視し、クリアファイルの中にしまってあった紙を手に取り目を通す。 

自宅の郵便ポストに入っていたこの紙。政府の奴等が送ってきた紙。

家族が魔法少女になった家庭にだけくばられる。その内容は魔法法規税(まほうほうきぜい)について。


....なんだよ魔法法規税(まほうほうきぜい)って。

これが最初に来る感想。


次に文面に目を通すとこんな事が書かれている。


【魔法法規税の納付について】【我々の身近の魔法少女達の将来のために】


.....内容がおかしい。

私が知りたいのは魔法法規税がなにに使われているかだが、明確に何に使われているかは書かれていない。延滞金や税についての説明をして誤魔化そうとしてる。

それに、なぜ命懸けで街や国のために戦う魔法少女達からお金を徴収するのか。


「大丈夫!一人で行くわけじゃないから!絶対に他の魔法少女も加勢しに来てくれるよ!そうなれば怖いことなんて何もないよ!それに他の魔法少女と友達になれるかもしれないよ」

「.....」


ネーコの話を薄っすらと聞きながら、魔法法規税の紙の内容を読解していく。

文面を読み進めていけば行くほどわからない。無駄に長いし。それに、魔法法規税とは全く関係ない内容を4回5回と説明してくる。この棒グラフや円グラフも何のためにあるのかわからない。


最後の一文として【魔法法規税対象の家庭は納付をお願いします】とのこと。


私は魔法法規税の紙を最終ページまで読み進めた後、塵も残らないほど切り刻んだ。


「魔法少女達と仲良くなれば、もう一人で戦わなくても良くなるんだよ?みんなと一緒に協力していけるんだよ!」

「....」


他の魔法少女。

私と同年代だったり、年上年下だったりするのだろう。

魔法少女はそれぞれ違う力を持っている。協力するということは、自分に足りない能力や相性の悪い相手だったりするのを、みんなで力を合わせて乗り越えていくということ。はっきり言って私には不要。


第一に私は私以外の人間の事が好きじゃない。

それは魔法少女も含めて。


嫌いな事は特別な理由がない限り長続きなんてしない。人と関わるのが得意じゃないのに魔法少女達と協力しろ?冗談じゃない、人と関わらないのを条件に人助けをしてやってるんだ。それも私益もなしに。


私益のない善行なんてバカのすること、それを私は人と関わらないという条件付きではあるがしてやってる。


「りんねぇぇ..はやくいこう?間に合わなくなっちゃうよぉ!!」


私益のない善行はバカのすること..。

.......。


瞬間、脳内に閃きが起きる。


「....そうか..私益を作ればいいんだ...」

「りんねぇぇぇ...」


魔法少女チャンネルを見る。

そのチャンネルに映っている風景。私が嫌いな政治家の家の近くだ。


「...ふふ」

「りんね?」

「ネーコ..怪人や怪獣って上流階級とか関係なしにどんな人間でも襲うよね?」


ネーコに話しかけながら、ロッカーを開け、魔法少女活動をするための服に着替える。

実際その服はただのフードのついたグレーのパーカーだ。


「うん!そうだね!ほんと!ひどい奴等だよね!!」

「それでその襲われてる人達を守るために魔法少女が来るでしょ?」

「うん!!ほんと!いい子達だよね!僕達もその子達のためならなんだってしようと思えるよ!!」

「悪い政治家がさ、怪人とか怪獣に襲われてても魔法少女って助けに来るよね?」

「うん!みんな今を生きる大切な命だからね!罪は生きてれば償え...」



「私ね、そういう場合魔法少女の足止めをして怪人や怪獣がそいつを殺すまで時間稼ぎをしようと思ってるの」


そう、私の未来を作るために、私にとって都合の悪い政治家には死んでもらえばいいのだ。


魔法少女に変身するために必要なブローチを手に取る。

別に変身するわけではない、ただ、これは魔力が切れの時に使える。


「.....え.....え?...な...な..なにをいってるの...?」


さっきまでキラキラしてたネーコの目から光が消える。

..あまり見たくない表情。


「勘違いしないでほしいんだけど、怪獣や怪人はちゃんと倒すよ?でもどうせ倒すなら、それならついでに人間社会のゴミを怪獣達に掃除してもらおうと思って。ほら毒を持って毒を制すみたいな?破邪顕正ってやつ?」

「そ..そんなの..だ...だめだよ...ま..魔法少女じゃない....」


呆れる。魔法少女じゃないとはなんなのだろうか。

魔法少女の名前の由来は【魔法を使って法律に反する事を平気で行う少女】これを略して魔法少女というのじゃないのか。


「ネーコは魔法少女をなんだと思ってるの?」

「ま..魔法少女は..怪獣や怪人をやっつけて...正義のために戦って...人助けをして......正しい事をする子達...だ..よ...」

「なら私も正しいね、私は人助けをしてきてるし、怪人や怪獣を倒してきてるから」

「ぇ...ぇ...?」

「これだけ正しい事をしてるんだから..私の考えは正しい、それに私は魔法少女達を殺すなんて言ってない、ちょっとの足止めするだけ」


「...そ...そんなの...だめだ!!!」


ネーコが叫ぶのと同時に私が手に持っていた魔法少女のブローチが取り上げられる。




「あ゛!...」

「そんなことするなら!僕はりんねに力は貸さない!!魔法少女同士で戦うのは間違ってる!!」

「ネーコ私は別に..」

「お願いだよぉぉぉ!!りんねぇぇ!!正義のために力を使ってよぉぉぉ!!そうすれば僕だって..」


ネーコが感情的になる。

同じ生物でもない、残忍な奴等も多い、ミラライ星人には恩を仇で返しているはず人間、なのになぜこんなに必死になってくれるのか。それだけでミラライ星人がどれだけ心が綺麗で優しい生物なのかがわかる。


見た目も可愛いし.....。


ネーコの言ってる事は理解できる。

人間にはない その真正の優しさが。

もし、私の父と母が殺される前にネーコに出会っていたのなら、私も人に優しくできたのだろうか。


だが、それはもしもの話、それにこの星の生物の頂点がドブカスだからこそ、私も優しくはならない。いや..優しくできない。


「じゃあ...もういいよ....」


ネーコの話はまだ途中、だが、私はフードを被りテレビの画面に目線を移す。

瞬間、私は自身の部屋から魔法少女達がいる画面の向こう側にワープする。


「僕だって.....え...?」


ネーコがブローチ見た後にテレビ画面に目を移す。

ブローチを使わずに魔法を使った事が不思議で仕方がないというように。


「..な..なんで?ぶ..ぶろーち..ここに..あれ..?..ぼ..僕..まだ..力貸してない..よ.?」



------




「「「「「変身!」」」」」


5人の少女がブローチを持ちながら言葉を唱える。

すると一斉に輝き出し、衣装が変わった。それは魔法少女独特の服、言わば戦闘服。 


「私達が来たからにはもうあんし..っ!ねやみちゃん!あぶない!!」

「うわぁ!!」


そんな5人の横にフードを被った人物が突如として現れ、水魔法を放つ。


「ちょっとぉ!!決めセリフ言わせてよ!!」

「つか..なんだよ今の..レーザーか?」

「やっば..靴忘れた..あ...あった..」


事が終わるまで貸してもらうだけ、と自分に言い聞かせながら、倒れている女性の横に落ちている靴を履く。


「フード?..怪人さんかいな?」

「え...え..で..ですが..怪人独特なオーラは感じないですよ..?そ、それに..」

「うん、それに今の魔法なのかな?..方陣は出てないけど」


少女達が私を見ている。


実際、少女達目線だと私のことは怪人でもなければ魔法少女でもない謎の存在と映ってるだろう。


怪人や怪獣には独特な黒紫色のオーラが流れており、魔法少女達はその色を見て敵かどうかを判別する。しかし、私は怪人ではないため、そんな汚いオーラは流れていない。


怪人じゃないとくれば、今度は魔法少女だと思うだろうが、それも少女達目線では不思議だろう。


魔法少女なら魔法を使う際に必ず能力に沿った色をした方陣が出現したり、綺麗なオーラが流れていたりする。しかし、私の場合、方陣も出現しなければオーラも流れていない。


実際、種を明かせば簡単なトリックだったりはする。


オーラが流れない理由は変身をしていないから。

方陣が出現しない理由は極限まで方陣を小さくしているから。


深く考えれば考えるほどわからなくなる理由だとは思うが簡単ではある。

だが、知られた所で支障が出るわけでもない。


「..誰であろうと関係ないわ!私達の役割はなに?」

「そ、そうだね!まずは人を助けないと!!」

「そうねぇ..偉い被害ですわぁ..早めに片付けましょ」

「あ、あの..で..でも..フードの怪人?は..どうするんですか?か..かなり強そうですけど」


何かしら話し合ってる。

そのまま政治家が死ぬまで話し合ってくれれば私も楽なんだけどな..しかし、そう上手くはいかないだろう。


「..静香..あたしらでやるか?」

「...そうね..怪人達や非難は貴方達に任せてもいいかしら?」

「大丈夫だよ!!」

「任せとき!」

「は、はい!」


何かを決断したかのように2人の少女が私の方へと向く、そして残りの3人は怪人や怪獣の方へ向かって行く。どうやら意味のない役決めが終わったみたいだ。


「....」


魔力で強化した水玉を宙に張り巡らせる。

それを見た赤髪の少女がニヤリと笑みを浮かべる。


「水魔法...」

「俺との相性最高じゃねぇか!静香!やるぜ!」

「....」


2人の少女は赤色のオーラと青色のオーラを放っている。炎と水だろうか?。


この子達を見ていて思ったことがある。

この子達は刀やら槍やら、強化された武器を持っているのに、なぜ私は素手なのだろうか、と。


普通は変身することで武器が貰える..だが、私の場合はおそらく変身しても貰える物は魔法裁判(ジャッジ)という能力を持った本だけだ。


その本自体が武器判定されているなら仕方ない、だとしてもおかしいけど。

なぜなら、多くの魔法少女は魔法と武器が別々で渡されているのに対し、私のは魔法と武器が融合しているから。


例えば、目の前にいる赤髪の少女は赤色の槍を持っており、魔法は炎を扱っている。

これは武器と魔法が別々となっているから。


隣にいる少女もそう。

青色の刀を持っており、魔法は水を扱っている。

これも武器と魔法が別々となっている。


しかし、私の場合は本から魔法を出さなければならない、これは私自身の魔法が存在していないことを表している。

本来この本が武器にならなければいけないのに、何故かこの本を使わないと魔法が出せない。


良いところを挙げるとするなら、コピーした魔法を一斉に使える点、そしてコピー時には本を出さなければならないが、コピーした魔法を使うときは本を出さなくてもいいところ。


「.....(あめ)叢雲(むらくも)


宙に浮いている水玉が5人の少女目掛けて飛んでゆく。

少女達はそんな雨の弾幕を見て自身に魔力を纏う。そしてその内の2人が私に向かって前進する。


水玉は少女達に直撃するが、魔力を纏っているならあまりダメージは入らない。


「..見たまんまの威力ね..」

「ちっちぇ技だなぁ!その程度で私達が止まると思ってるのかぁ??」

「.......」

「チッ..なんか喋れよ..つまんねぇ...」


私は接近して来た2人の斬撃や突きを軽々と交わしながら時間を稼ぐ。距離を取ってもいいが、接近のほうが私の狙いはバレにくい。


「へへっ!!避けるのに必死で攻撃することもできないかぁ!?」

「.......(この人..一定の距離を維持し続けてる..なぜ..?)

「........」



******



交わし続けること3分。。

雨の弾幕は止んでいる。


私の事を攻撃して来ていた2人の少女、その他怪人を抑えている3人の少女達に目に見えて疲れが見え始める。


「はぁ...はぁ...はぁ...」

「く..っそぉ...」


赤髪の少女がバタッとうつ伏せに倒れ、変身が解除される。


「.......」


私は始めからこの子達と戦う気なんてない。

私が狙っていたのは5人の魔法少女達の魔力を消費させることだけ。


魔力を纏うというのは一カ所に力を集める、それを維持し続けることは単純に魔法を使うよりも魔力消費が激しい。

魔力纏いながら魔法を使う事は可能ではある。しかし、それは膨大な魔力量があってこそ成し得る技で、私が知る限りではそれができる魔法少女はいない。


ならば魔力纏いをやめて魔法を使えばいいが、それは常に降り続けている雨ノ叢雲を諸に受ける。


最初から雨ノ叢雲を生身で受けていたのならともかく、この子達に関しては魔力纏いで威力を軽減している。今、魔力纏いを解除してしまえば身体(しんたい)が唐突に来るダメージの負荷に耐えきれない。最悪死ぬ。


つまりこの子達は、時間制限があり、魔法禁止、そんな状態で私を倒さなければならなかったということ。


「な..るほど..つかず離れずの距離は..私達2人だけじゃなく..向こうの三人にも魔法を当てるため...」

「........」


手遅れではあるが、なかなかの分析力だ。


目の前の少女もガクッと膝を付く、そして変身が解除される。私はそれを見た後3人の魔法少女達に目線を移す。

魔法を使えなかったのもあり、怪獣や怪人を倒せずにその場に倒れている。


魔法少女達が倒れている奥。

すぐにでも怪人に襲われそうな人間が一人。

太っている男。私はこいつを怪人に襲わせる為だけに魔法少女を止めたのだ。

もちろん犠牲者は、この太った政治家だけに留めるつもり、一般市民はこの政治家が死んだ後、しっかりと助ける。


「..みんな..ごめん..なさい...私の..せいで...」

「......」


怪人は太った政治家へと近寄り、首元を掴む。

首の骨を折って絶命させた後に食べるのだろう。栄養満点な体型をしているだけはある。


「な、なにをしとるんだ魔法少女は!!は、はやくわしを助けろ!!!!」


怪人が太った政治家を壁に投げる。男は激突し、その衝撃で全身から出血し気絶する。

その時に男の胸ポケットから1枚の写真が落ちた。


私からすれば死んで当然の男。写真を拾う。

地面に落ちた写真も、自分が買っていた若い女との写真。


そう私は思っていた。

しかし、地面に落ちていた写真は。


「....」


孫娘であろう女の子との写真。

満面の笑みで少女は映っている。


瞬間、ネーコが言っていた言葉を思い出す。


【魔法少女同士で戦うのは間違ってる!!】

【りんね..死んでいい人なんてこの世にいないよ】

【すごい!!やっぱりりんねは凄いよ!!!】


魔法少女達の為の言葉。

人間の為の言葉。

そして、私に向けた言葉。


こんなカスの政治家でも、見捨ててしまえばネーコはなんていうのだろう。悲しむだろうか、それとも怒るのだろうか。


人間が悲しんでも怒っても、死んだとしても私からすればどうでもいい。


でも。


「...これだから..私は人間が嫌いなんだ...」


ネーコに嫌われるのだけは違う。

ネーコに死なれるのはもっと違う。


私は見捨てるはずだった太った男の方へと向き、歩き出す。

そして水の塊を魔力で強化し、太った男を襲っている怪人へと飛ばす。


それは怪人の目に命中し、標的が政治家から私へと変わる。


今の水塊に怪人を殺傷する威力はない。私が使ってる水魔法はどれだけ魔力を強化しようと怪獣や怪人は倒せない用に作られている。

渇死(かっし)が起こることはないが、所詮は水を生み出せるだけの魔法。戦闘用ではないのだ。


そう、殺すことはできない。

私じゃなければ。


私は魔力で強化した水玉を両の手の平で包み圧縮し、その圧縮してる手の中で水玉を中心に逆流させた水の魔力を流す。


そして狙いを怪人に定める。


「...穹蒼(きゅうそう)


瞬間、両手で包んだ手の先端から、行き良いよく水が発射される。その威力はまるでレーザービーム。


怪人はその魔法に反応する事も出来ずに命中し、消滅した。


「....つぎ」



------




帰り道。

怪獣や怪人を全て倒し終えた後。

負傷者はいたものの、命に別条がある者はいなかった。


「......」


商店街を歩く。

さっきまで怪人や怪獣の被害があったのにも関わらず、人々はそこら中に溢れ、歩いている。


「り〜んね♪」


背後から私を呼ぶ声。

その声の主は家に置き去りにしてきてしまったネーコ。私がフードを被っていないから全身の色は白色になっている。


「.....」

「なんだかんだ言っても、やっぱり助けてくれるんだね♪」

「.....」

「やっぱり僕りんねが好き!大好き!りんね!ありがとうね!みんなを助けてくれて!」


ネーコの言葉。

私が怪獣や怪人を倒した後、必ずネーコから貰う言葉。私はそれを黙って聞いている。


「.....」

「それに、僕まだブローチ渡してなかったのにどうやって魔法を使ったの?僕はてっきり・・・・・」


私が喋らずともネーコは常に話し続ける。


ネーコからの感謝の言葉は普段なら嬉しく思うし照れくさくなったりする。

だが、怪人や怪獣を倒したあとに貰う感謝の言葉だけは、私は好きになれないでいる。


「.....」

「でね〜!僕びっくりしちゃって・・・」


私は人間で、ネーコは宇宙人で。

私は人間が嫌いで、ネーコは人間が好きで。

私は人間なんていくらでも死んでいいと思っていて、ネーコは人間はみんな死んでほしくないと思っていて。

私は人間の為になんか戦いたくなくて、ネーコは人間の為に戦ってほしいと思っていて。

私は人間の黒い部分を知っていて、ネーコは人間の優しい部分を知っている。


ネーコは一緒に暮らせば暮らしていくほどわがままだとわかる。

ご飯を作っているのは私、寝床を容易してるのも私、話し相手になってるのも私、人々を助けているのも私。


ネーコと私の人間への評価はまるで正反対。

それなのになぜ、この関係を続けているのか。


「それに、僕未だにわかんなくて、りんねのあの水の鉄砲ってどうやって出してるの!?あの魔法って水を出すだけだよね?怪人を一瞬でばきゅーんって倒してたけど・・・」


おそらく、私は願っているのだろう。

冷静に物事を考えれもしない、役にも立たない。この感情というもので。

ネーコの人間への価値基準と私の人間への価値基準は絶対に相容れない。


それでも感情をメインにした可能性を願っているのだ。


「....ねーこ、今日は何食べたい?」

「え?う〜ん..あ!カレー!カレー食べたいかも!」

「そう...」


いつの日か。

ネーコが人間の為に戦わなくていいと言ってくれるその時が来ることを。


高評なら

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