魔力が尽きるまであと5分。なのに師匠が老後と換気の話しかしてくれない件
物を書いたことがないので、会話劇の練習作品です。
「師匠……この結界、ちょっと穴が空いてませんか……?」
「結界の中も風通しが大切じゃからのう……空気穴というやつじゃな」
「結界で窒息した話なんか聞いたことがありませんよ!? そもそも結界は空気循環の方式が基本じゃないですか!」
「その昔のぉ、膨大な魔力を持った老練な魔法使いが、結界内に立て籠もってしもうたんじゃ」
「そ、その話っていま必要ですか? 結界の穴めがけて、オークに思いっきりぶん殴られてる、いま、必要ですか!?」
「まぁ聞きなさい」
「その魔法使いは結局死んでしもうたんじゃ、なぜだかわかるか?」
「その当時の結界は空気循環方式ではなかったせいで、窒息してしまったとか……?」
「寿命じゃ」
「やっぱ今その話必要なかったですよねぇ!? ほら見て、ちょっと穴大きくなってる!」
「はて、では老獪な魔法使いではあるが膨大な魔力をもっとらんワシは、寿命まで立て籠もるにはどうすればよいか、わかるかのぉ?」
「ボク、師匠の寿命までここ出られないんですか!?」
「安心せい、言うほどかからん」
「縁起でもねぇ!!」
「魔力がさほど多くない、つまり節約せねばならんということじゃなぁ」
「な、なるほど! この穴はわざと空けてあって、その分魔力の消費が節約されているんですね!」
「その通りじゃ」
「けど師匠、どんどん周囲にゴブリンやらオークやらが集まってきてますけど、これあとどれぐらい籠城するんですか?」
「5分じゃ」
「あと5分で助けがくるアテとかってあるんですか?」
「そんなもんはないのぉ」
「こんなダンジョン奥深くにまで潜るベテランであれば、この地獄のような有様を見ればまず自分たちの安全を優先するじゃろうて」
「では、あと5分で何が……?」
「ワシの魔力が尽きる」
「畜生やってやらぁああああああ!! おあつらえ向きに集まり腐りやがって!!」
「師匠、結界を緩めないでください! 結界の外を火炎魔法で焼き尽くします!」
*
「ホッホッホッホッホ」
「……笑い事じゃないです」
「長生きしとると、楽しいことが多くてええわい、ホッホッホッホ」
「ボクにもその長生きを経験させて貰えるとありがたいのですが」
「たぶん10年分ぐらい寿命が縮みましたよ」
「この年まで生きるとのぉ、10年ぐらい誤差じゃ!」
「ボクは毎回、師匠がやらかすたびに寿命が削られてるんです!」
「なんと! おぬし……」
「わかってくれましたか!?」
「エルフじゃったのか!?」
「クソボケアホジジイ!!!」
会話だけで情景を描写するって難しいんですね。




