第六話 空間
亡霊の森。
突如爆発が起こり、小鳥たちが逃げ出す。
爆発の原因は九壊山のエルゼ。
強力な爆発による破壊スキルを使用するアバーハイトだ。
「【不可説不可説〈転〉】!」
「【星爆】」
光線と爆発が激しくぶつかり合い、めろんの左手とエルゼの右足を吹き飛ばす。
「【起死回生】!」
めろんが叫び、腕が再生する。
(出血が始まる前に再生させる事でダメージを最小限に抑えている・・・)
「【疾風迅雷】!」
めろんの頭上を突風と雷撃が通り過ぎる。エルゼの胸に激突する。
吹き飛ばされ、木に叩き付けられるエルゼ。
「【驚天動地】!」
「【彼岸〈惨烈〉】」
彼岸花が空中に大量に咲く。
「何だ・・・?」
動きを止める紅王。
彼岸花の雄蕊と雌蕊が針になり飛んでくる。
「【露防】!」
紅王がバリアを張る。だが次の瞬間。
バリアは見事に粉砕され、紅王は地面を転がり岩にぶつかって止まる。
「紅王!」
祐樹が叫ぶ。
「【起死回生】」
回復する紅王。
「【鉄拳】!」
「【彼岸〈紆曲〉】」
彼岸花の花びらが舞う。
「これに当たらなきゃいいんだろ!?」
かわす祐樹。
「祐樹!危ない!」
アレクが叫ぶ。祐樹がよけた花びらが祐樹の方を再び向き、背中に突き刺さる。
「ぐはっ・・・」
(強い!)
めろんが空中に浮くエルゼを見る。
(スキルパワーの量が桁違いだ・・・)
エルゼの頭上に表示される1982の文字。
「【空間】」
ヴォーンという機械音したかと思うと、エルゼを含む五人は格子状の壁が永遠に続く空間にいた。
「この能力は対象を永遠に続くこの空間に閉じ込める・・・そして」
エルゼがパチンと手を鳴らす。
下から巨大な棘が生えてくる。
ギリギリでかわす紅王。
「この様にどんな物でも生成する事が出来る」
もう一度エルゼがパチンと手を鳴らすとエルゼの後ろに巨大な城が城が建つ。
「ちなみに僕は幻影だ。本体はもう逃げた」
「何?卑怯だぞ!」
「卑怯?『大戦争』での人間の方が卑怯だったぞ?【彼岸〈惨烈〉】」
無数の針と化した雄蕊と雌蕊が飛んでくる。
「【閃光〈三柱〉】」
アレクが幻影のいる城の塔に向かって走りながら針を落とす。
(同じ質量の光線で僕のスキルの速度を分散した・・・)
「【光速】!」
エルゼの幻影の眼前に迫るアレク。
エルゼの本体は森の上を飛行していた。
「幻影が苦戦しているな・・・」
その時エルゼを襲った強い頭痛。
「くっ・・・」
落ちていくエルゼ。
脳内に言葉が響く。
「金森アレク。リストに人物が追加されました。日比谷めろん、窪田紅王、萩原祐樹をリストに追加します」
無感情な機械音声。
「このくそったれ・・・」
エルゼが森に落ちた。