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亡国の姫の傭兵譚  作者: 如月 燐夜
12/14

ダーツ平原関所にて

暫く月一、もしくは不定期更新になります。


御了承くださいませm(__)m

ダーツ平原に到達すると正規兵の検閲が回ってくる。ウミネコが前に出て対応すると、二~三分経つと兵士に呼び出される。


「行軍ご苦労様です!スターリア傭兵団の方々ですね!依頼についてお話したいと上官に呼ばれておりますのでご足労願います!」


「丁寧にどうも。テルノ、アッシュ、ガンズ、ウミネコを連れていく。他の者は待機だ!」


声を揃え返事を受けるとアンナは四人を連れ、先導する兵士に着いて行った。


少し歩くと大きめの天幕に到着する。中には五人の男女がおり、アンナ達が入ってくると目を向けた。



「スターリア傭兵団の方々をお連れしました!」


「ご苦労、下がって良い」


真ん中に座る女性が低く言い放つと案内してくれた。

彼女が総指揮官なのだと思わせる程の威厳を放っている。

スターリアは彼女に見覚えがあった。


(メラニア・フォーツェビッヒ…祖国の女伯爵が何故ここに?死んだ筈…いやまさか…な)


それはスターリアがまだ故郷で、幼かった頃の事だ。当時は三帝国との交流も多少あり、互いの国を頻繁に行き来しては物資や特産品を国境を経て亡国スターシャの首都、ステラリオにも流れ着いていていた。


その西帝国側の交易都市メテナを治めていたのが、目の前の女性メラニア・フォーツェビッヒその人である。


まだ幼かったアンナではあるが、記憶力には自信があり、また人の名前も決して忘れないのである。


特に彼女には見覚えがある。当時二十代になっていなかったメラニアは王城に来る際手土産を持ってアンナを何度も訪問してきた。というのも彼女の亡夫の弟ハレリオがアンナと同年代であり、婚約者候補だったからである。


その彼女が何故ここにいるのか。

それだけが心残りであった。


「スターリア傭兵団の方々ですね。私はこの都市を預かるフォビエと言います。」


「スターリア傭兵団、スターリアだ。この度は宜しくお願い申し上げる。」


「いえ、此方もスターリア傭兵団の方々にお味方して貰うのは利が有りますので…正規の従軍手当ては日に銀貨十五枚、指揮官級の首、若しくは将官の徽章で金貨十枚とします。さて、此処までが通常依頼の話です。この度は大事な話が有りまして…マリアス、後はお願い。」


「私はバルナート王国騎士団副団長マリアスだ。スターリア傭兵団に特別任務を授けたい。成功時には二倍の報酬を約束する。失敗しても多少の報酬は渡そう、承けてくれるだろうか?」


「話次第ではあるが…特別任務ということは其れなりに危険も孕んでいるのだろう?」


特別任務というくらいだ。危険は承知済み…任務次第ではあるが、スターリアは受ける気だった。


「あぁ、まずはこれを見て欲しい。こっちがバルナート王国側、そしてここが西帝国軍側だ。ダーツ平原を挟み二日後には布陣する手筈ではあるが、この中央付近にある丘。此処を奪取し簡易的な防御陣地を築きたいのだ。しかし帝国側も目的は同じ筈であり、この丘に新進気鋭の部隊を派遣するという情報を提供された。要は丘の奪い合いだ、敵もそろそろ動いてくるだろうが、この丘は決して譲れないのだ。今夜にでも出向いていただきたい。どうだろう、頼めるだろうか?」


スターリアはアッシュの方に視線を向けると人差し指と中指を立てている。続いてウミネコに視線を送ると頷いた。ガンズとテルノも同様だ。スターリアはマリアスに向き直り口を開く。


「分かった、お受けしよう。」


マリアスと固い握手を交わし、スターリアは丘に出向く準備に取り掛かった。



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