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プロのサラリーマン

作者: はやはや

 僕はプロのサラリーマン。

 サラリーマンは、この世に五万といるだろうけれど、()()を自負している人は、いないのではないだろうか。


 世の中には資格を取り、専門職で働く立派な人や、研究者や新たな技術開発に携わるような特別な人もいる。

 でも、世の中を支えているのはサラリーマンなのだ。


 サラリーマンについて少し言及しよう。


 サラリーマンは、毎月一定の給料が、会社から支給される固定給が一般的。毎月決まった額なので、頑張って働いて会社に貢献しても、給料は変わらない。

 安定している一方で、ダラダラ仕事をしている人にも同じ給料が支給されるので、「けっ! 真面目になんかやってられっか!」と思う人もいる。

 歩合制を取り入れている会社もちらほらあるが、固定給の企業が未だ多い。


 所属する会社の中でチームを作り、協力してミッション完了に向けて仕事をする。

 会社の中には、いろいろな部署がある。事務、経理、マーケティング、人事、営業、技術など。

 ちなみに僕は事務に所属している。

 その仕事の内容は、書類の作成や整理、伝票作成、パソコンでのデータ入力、郵便物の仕分け、電話、来客対応などなど……

 電話などで社外の人とも関わることがある上に、仕事内容の幅が広い。なので、コミュニケーション能力、適応力が必要とされる。


≪≪≪

 

 ここからは僕の日常を紹介したいと思う。

 僕はプロのサラリーマンなので、早めに出勤する。万が一、電車が遅延しても焦らないで済む。

 他にも心がけているのは、身だしなみ。世間がいくらクールビズでも、きちんとネクタイを締め、ジャケットを持参する。暑くてもプロ意識の方が大切だ。

 清潔感や外見に配慮する必要ある営業の社員より、きちんとした見た目をしている自信がある。

 仕事の段取りにも気を配る。仕事はチームでするものだ。だから、自分の仕事が他の人や部署に、どう影響するかを常に考えている。

 自分のことだけではなく、周りへのフォローも忘れない。そんな僕は、社内で上司も部下からめ信頼が厚く、いろんな仕事が任される。

 しかし、僕はそれを全て受け入れることはしない。そこがプロなのだ。


――断る

 これは実に重要な力だ。でも、決して

「できません」「他の人にお願いして下さい」

 といったような、つっけんどんな断り方はしない。


「〇〇を終えた後なら引き受けられます」

「△△の部分はお願いできないでしょうか」

 というように、自分が出来る範囲のことを引き受ける。



 こうやって振り返ると、やはり僕はプロのサラリーマンだ。これからもプロ意識を大切に仕事をしていく。



≪≪≪


「続いてのニュースです」

 風呂上がりにニュースをチェックするのも、プロであるために大切なことだ。世の中の流れや、出来事を把握しておき、誰とでも話ができるようにする。雑談力を養うのだ。


「2045年には、あらゆるものごとがAIに取って代わると言われていますが、無くなる仕事というものも出てきます」

 男性アナウンサーが真面目な顔で話している。

「一例として、このようなものが挙げられます」

 そう言ってフリップを出す。


―― 事務作業

  データ処理や数字を扱う仕事

  測量

  接客  など他にも多数


 僕は目を疑う。

 トップに――事務作業 とある。


 何だって? 僕の仕事がなくなるのか? 二十数年後に、その仕事がAIに取って代わられたら……

 五十半ばで僕は仕事を失うことになる。ようやくプロになったと思っていたのに……



 僕はプロのサラリーマン。

 五十半ばで仕事を失うかもしれないけれど、明日からもプロ意識を持って、サラリーマンを続けていく。



読んでいただき、ありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 素晴らしい主人公のプロ意識に感服しながら、楽しく読ませていただきました。特に断り方、仕事の引き受け方は、さすがプロのサラリーマンですねw  しかし、そんなプロを極めた50代では……! 大丈…
[良い点] 短くてとても面白かった。自分は小説などを読んだりするのが得意ではなかったのですが、そんな自分でも面白く読ませてもらいました。 [一言] 頑張ってください。
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