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【電子書籍化】悪役令嬢に転生したのでノリノリでなりきりしてみたところ、何故か溺愛されている気がしますわ!?【発売中】  作者: 下菊みこと


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年月が経つのは早いですわ

「早いものですわね…」


私はカレンダーを見てぽつりと呟いた。私が孤島の貴族学園に入学して早いものでもう三年。そろそろ卒業も間近ですわ。


「この孤島ともそろそろお別れですわ…」


なんだかとても寂しい気持ちになりますわ。


「お嬢様、荷造りもほぼ終わりましたよ。あとは明日の卒業パーティーを待つだけですね」


「寂しいですね、お嬢様」


「ミシュお嬢様、この三年間、楽しかったですか?」


「…ええ。楽しかったですわ。とても寂しいですわ。」


私は学園とのお別れをしんみりと感じつつ、孤島を散歩することにしましたわ。


「私、ちょっと孤島を散歩致しますわ」


「では、お供します」


「ええ」


孤島は、島全体が学園となっているわけで当然のように学生向けのショップやレストラン、カフェなどもある。


ナディアとオリアーヌ、ソランジュとよく行ったカフェに入ってみる。


「そうですわね…もう卒業も間近なのですし、たまにはいつもと違うメニューを注文してみようかしら」


いつもはチーズケーキとお茶を注文していたのですけれど、今日はミルフィーユとコーヒーにしてみますわ。


「もし、ミルフィーユとコーヒーでお願いしますわ」


「ええ、かしこまりました」


そして、注文したミルフィーユとコーヒーが届く。そこには、いつもはない小さなメッセージカードも添えられていた。


『学園卒業おめでとうございます。卒業するお嬢様に、これからもたくさんの幸せが訪れますように』


「…ふふ」


なんだか、小さな気遣いがすごく嬉しいですわ。ミルフィーユとコーヒーもとても美味しくて、景色も見ながら味わって食べましたわ。


「マスター、ありがとうございます。いつもとても美味しかったですわ。またいつか、ここのチーズケーキとミルフィーユを味わいに来ますわ」


「ええ。ご卒業おめでとうございます。いつでもお待ちしておりますよ」


喫茶店を出て次に行くのは、雑貨屋さん。ここには一人でふらっと訪れることが多かったですわ。色々なものがあって、便利でしたのよね。


「いらっしゃいませ」


いつもの店長の優しい笑顔で出迎えられますわ。せっかくですから、何か記念になるものを買って行こうかしら。


「…まあ、可愛らしいテディベアですわ」


白のテディベアが目にとまる。大きくてモコモコで、抱き枕にちょうど良さそうですわ。


「お嬢様はお目が高い。そのテディベアはこの孤島の限定グッズなのですよ。ほら、このテディベアに付けられたブローチ。これに学園の紋章が刻まれているのです」


「まあ、本当ですわ」


記念品としてぴったりですわ。


「では、こちらをいただきますわ。リゼット、お支払いして」


「はい、お嬢様」


リゼットが払ってくれる。すると店長は変わらない笑顔で祝福してくれる。


「ご卒業おめでとうございます、お嬢様。また気が向いたらいつでもお越しください」


「ええ。卒業後もいつか必ず来ますわ」


「お待ちしております」


頭を深々と下げて見送ってくれる店長。寂しさを感じますけれど、きっとまたお会い出来ますわ。


次に向かうのは、ナディアやオリアーヌ、ソランジュとよく来たゲーム屋さん。賭け事も含めて、色々なゲームが楽しめますわ。


私が一番強かったのはポーカーでしたわね。賭け事ですから、溶かす時は溶かしてしまってリゼットから珍しく説教されましたけれど。でも、依存するほどではありませんでしたのよ?


「お、いらっしゃいお嬢様。もうすぐ卒業ですね。おめでとうございます」


「ええ、ありがとうございます」


「今日はお友達はいらっしゃらないので?」


「ええ。卒業前に、最後の散歩ですわ。最後の一勝負、付き合ってくださいます?」


「もちろんです」


店長と賭けポーカーで楽しむ。けれどやっぱり、店長には最後まで勝てませんでしたわ。


「ふふ、負けてしまいましたわ」


「そうですね。でも、今日は卒業祝いです」


「え?」


「特別に、好きな景品をどうぞ」


ここのゲーム屋さんでは、賭け事で店長に勝つと賞金だけでなく景品も選べたりする。


「いいんですの?」


「ええ、どうぞ」


「では、そうね。その宝石箱を貰おうかしら」


「中身は空ですがね」


「帰ったら色々詰め込んであげるから大丈夫」


そして景品をゲットして、私はゲーム屋さんを出る。


「うん、あとはあのお店に行きましょう」


よく買っていたお弁当屋さんに行く。ボリュームがあって美味しいお弁当屋さんだ。


「もし。サンドイッチのボックスを一つくださいな」


「あら、毎度ありがとうございます。お嬢様ももう卒業でしょう?」


「ええ。そうですわ」


「ご卒業おめでとうございます。またいつでも来てくださいね」


「ええ、きっとまた来ますわ。それまでお元気でいてくださいね」


サンドイッチのランチボックスを持って、浜辺に行く。ここはすごく景色がいい。海を見ながら、サンドイッチを食べる。うん、美味しい。


「リゼット。今までずっと、私に仕えてくださってありがとう。卒業してからも、ずっと一緒にいてね」


「はい、ミシュお嬢様。どこまでもお供致します!」


明日は卒業ですわ。きっと良い卒業パーティーになりますわ。

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