薬湯で病気と怪我が良くなった人々からの手紙ですわ!
私は今日、リゼットからごっそりと手紙を受け取りましたわ。その手紙達は中には達筆なものもありましたけれど、あまり文字を書きなれていないだろう筆跡のものが多かったですわ。おそらく教会に出向いて、神父達に教わりながら書いたのだろうと見て取れますわ。
「お嬢様、もしかして湯治に来た人達からのお礼のお手紙ですか?」
「ええ、そうみたいですわ」
「こんなにもたくさんの方を助けられたのですね、お嬢様!」
「ふふ、お役に立てて良かったですわ」
手紙には、薬湯温泉を期間限定とはいえ無料で開放した私とシルヴェストルに対するお礼が書かれていましたわ。おそらくシルヴェストルも受け取っているでしょうね。
「なんて書いてありましたか?」
「身体が治った、ありがとうって書いてありますわ」
「嬉しいですね、ミシュお嬢様」
「ええ、頑張った甲斐がありましたわ」
手紙の内容は、様々ですわ。
『薬湯温泉のおかげで、自分の足で歩けるようになりました。娘を初めて抱き上げることが出来ました。愛犬と散歩にも行けるようになりました。妻の手を煩わせることももうないでしょう。本当に心から感謝しています』
『目が見えるようになりました。久々に世界に色が戻りました。ちょっとだけ、クラクラするほど眩い世界ですが幸せです。本当にありがとうございました。これからもどうか、薬湯温泉を続けてくださると嬉しいです』
『内臓の病気が治りました。余命宣告されていたのが撤回されました。これで息子達の成長をこれからも見守っていくことができます。気が早いのですが、孫を抱けるのが今から楽しみです。生きる希望と将来の夢を再び与えてくださったこと、一生忘れません』
…などなど、様々な人々からの感謝が綴られた手紙。私は全て胸にかき集め、ぎゅっと抱きしめましたわ。
「国民達の助けになれて、本当に良かったですわ。薬草はまだたくさんありますから、これからもたくさんの人を助けられますわ」
「けど、いつかは薬草も無くなっちゃいますからね…」
「そうですわね…助けを求める人達の声に応えて、これからも薬湯温泉を続けていけるよう、期間限定ではなくずっと続ける方法を考えますわ」
「…!お嬢様、そんなことできるんですか!?」
「んー。やってみないことにはわからない、ですわ」
「すごいです、お嬢様!」
ということで、私は薬湯温泉を続ける方法を考えることにしますわ。




